63.真相
”白の宮殿”の当主か。
王は心の中で呟くと授賞式の中止を宣言するとマリアと王直属の護衛を伴って会場を後にした。
王はそのまま護衛とともに別室に入ると防音魔法を掛けすぐにマリアに視線を向けた。
「こちらを。」
マリアは持ってきた書類を王に提出した。
王は渡された書類を黙って受け取るとそれに目を通した。
そこには代々の王の妃の何人かが城に仕えている使用人を生贄にしてその美貌を維持してきたことが時系列で書かれていた。
しばらく無言で書類をめくっていた王の手が止まると鋭い視線でマリアを睨みつけた。
「真実か。」
「”白の宮殿”の当主として”真実”と宣言します。」
「だが今この書類に書かれているのはすべて状況証拠ばかりではないか。」
王はバンと書類を床に叩きつけた。
「ですので”開かずの間”での封印の儀式を了承していただけませんでしょうか。」
フッハハァー
「バカも休み休み言え。”開かずの間”は開かないからそう呼ばれているのだ。そこで封印だと何を・・・。」
王は真剣なまなざしでこちらを見てくるマリアに笑い声をあげるのをやめた。
「開けることが可能なのか。」
「はい。」
王はしばらくマリアと無言でにらみ合った。
大きくため息を吐くと額に手を当ててから視線を戻した。
「いいだろう。”開かずの間”を開けられるというなら許可しよう。ただしその封印の儀には私も立ち会う。」
今度はマリアが唖然とした。
「危険です。」
「だがこれが真実なら王である人間が立ち会うのが筋であろう。」
「ですが。」
「”白の宮殿”の当主は”力こそ正義"だと豪語しているのであろう。ならその力で王である私を守ればよい。」
マリアは王の正論に黙って頭を下げた。




