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ビターチョコとストロベリー  作者: 須谷
森崎映子からの話
29/40

久瑠実に口調の話をした日

今回は、あたしのちょっとした暴露話だ。ほんとうに大したことはない。


 あたしは結構男っぽいしゃべり方をする。たまぁに女子が戻ってくるけど、だいたいだろとかだなとかを使ってしまう。

 一度意識してなおそうとしてみたが、似あわないし違和感凄いからやめろと言われた。

いろいろあって今の感じで丸く収まっている。

 しかしやっぱりもともとこんな口調だったわけではなく、れっきとした理由があるのだ。


 せっかく進級して、久瑠実とあたし。同じクラスになれたということで、もっと仲良くなろうということでお互いの知らなさそうなことを発表することにした。

 言いだしっぺはあたしだ。単に久瑠実のことが知りたかっただけである。

 それであたしは口調の話をして、久瑠実は自分の部屋にあたしを招待すると、そういうことになった。

 実はあたしは久瑠実の家に一度も言ったことがなかったのですごく楽しみだ。どんな場所で生活しているのかがわかるんだぞ!?


 土日であたしの仕事がない日に。さっそく企画を実行することにした。まずはあたしの番だから、あたしの家に久瑠実を呼ぶことにする。

 さっそく訪れた当日にどきどきが止まらない。紅茶なんかを飲みながら、優雅に暴露することとしよう。大した話じゃないけど。

「さて。始めましょうか、映子ちゃん。私結構楽しみなんですよ?」

 そんなに楽しみにしてくれるな。ハードルが上がるじゃないか。

 でもまだ誰にも話したことがないことだから、けっこう希少率は高いんだろうなと思う。

「そうだな。ごっほん。口調の話…これ誰にも言ったことないんだよな…。心して聞いてくれ。大した話じゃないけど。」

 久瑠実はつばを飲み込んで、じっとあたしの方を見る。…恥ずかしい。恥ずかしい!!

瞬間あたしの顔がボッと赤く染まった。

「映子ちゃん?」

 なにしらを切ろうとしているんだ…!お前のせいだろ!…まぁいい。話をしよう。

「そんなにじっとみるな!!!…まあ、いいや。えっとだな、あたしの話だな。あれは、小学生の時だ。近所にな、女みてぇな男がいた。」

 懐かしいな。すごい女まがいでよわっちくて。それなのに家はすげー怖い人ばっかで。

「そいつのしゃべり方がな、また女みたいでよわっちいんだ。そのうえ、あたしに手本をしろと言ってきた。それであたしが手本ってことでこんなしゃべり方をして、それがそのまま今まで続いてきてしまったってわけだ。」

 手本を見せろと言われて、その通りにしてしまうあたり、あたしは結構なお人よしかもしれない。

「じゃあ、人のためにそのしゃべりかたになったと、そういうわけですね?」

 そういわれるとなんか、気恥ずかしいけれど。まあそういうことだろうな。

「そういうことだ。」

「それでその少年はどうなったんですか?」

 …これ言ってもいいのかな。

「あいつは…やくざの跡取り息子で…今、背高くて格好良くなっている。そして強い。」

 この前久しぶりに連絡が来て、こっそりあったけど高校生なのにすごい身長が高くてだな。相当なイケメンになっていた。もう芸能界の奴らなんか比べ物にならないくらい。でもまあ裏の人間になってしまったので、こっそりしか会えないけどな。

 これってばれたら、暴力団と取引とか言ってニュースになるのか?あいつらはいいヤクザだぞ。悪いことはしていない。らしい。

「そうでしたか。良かったですねご立派になられて!!」

 予想外の久瑠実の反応に驚いた。だいたいこういう話すると、きゃあとかいうものだろう。したことないから知らないけど。

「引かないか?」

「まさか。私はどんな職業の方でも自分の道を貫かれるお方を尊敬していますよ。」

「そうか…。それならいいんだけど。」

 ほっとした。久瑠実が寛大な人間で良かった。

「映子ちゃんの口調の理由も、すごい素敵で感激しました。」

 久瑠実の言葉を聞きほっとして笑顔になる。

 ちょっと緊張していたから。久瑠実に言葉をもらえれば一安心だ。

 大した話じゃなくて本当に申し訳なかったけれど、あたしにはこれぐらいの話しかない。

「なぁ久瑠実。このまま久瑠実の家に行こう。迷惑じゃなければ。」

 あたしは久瑠実にふっかける。だってこんなに早く話が終わるとは思っていなかったから。

「構いませんが、結構な有様ですから覚悟なさってください。」

 有様?覚悟?汚いのか…?まさか、久瑠実に限ってそんなことはないだろう。

 まあいい。みてから感想は言うことにする。

「さあ行こう。久瑠実の家にれっつご~!」

 あたしは楽しみすぎてテンションが高い。


 今回はここまで。続くぞ。


まだまだ続きます。

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