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ビターチョコとストロベリー  作者: 須谷
琴音久瑠実からのお話
18/40

大好き映子ちゃん

本編最終回です。

 高校生活ももう少しで終わりを告げる、そんな時期になりました。

この通り、私はいまだに敬語なわけですが…そんなことは今どうでもよくてですね!!

 映子ちゃんの初ドラマ出演&主演が決定したのです!!

 仕事の合間に縁起レッスンをひっそり続けていた映子ちゃんの頑張りがやっと報われました。

 高校の間で大分雰囲気が変わった映子ちゃんのうわさがドラマの監督さんの耳にも届いたようで、映子ちゃんのもとに仕事が舞い降りたのです。

 私としては映子ちゃんの仕事が増えるのはとてもうれしいです。格好良い映子ちゃんの姿がたくさん見られるわけですから。

 しかしその一方で、映子ちゃんの身体が心配ですし、少し会う機会が減ってしまうのもぶっちゃけ寂しいです。

 そして本題です。

 そのドラマ撮影により映子ちゃんが卒業式に出られなくなってしまったのです。撮影スケジュールに卒業式が丸被りしてしまい、卒業式への参加が不可能というわけです。

 理由はともあれ、学校を大切に思う映子ちゃんがみんなと一緒に卒業式を迎えられないというのは、主に私が悲しいのです。

 …勘の良い方はお気づきでしょう。そうです。私が映子ちゃんの卒業式をやって見せます!!

 あ、私はちゃんと大学受かっておりますよ。

 あ、映子ちゃんは大学に行かずにお仕事を優先されますよ。

 

 映子ちゃんのドラマ撮影が始まるのは、卒業式一週間前です。

今は卒業式の2週間前ですから、私には考える時間が1週間もあります。

 さて、まずいつ映子ちゃんの卒業式をやるかです。実際の卒業式の前にやるか後にやるか、そうするべきでしょうか。

 前にやればすっきりした気分(?)でドラマに望めるかもしれません。しかし、ちょっと早いのは少し気が引けるんですよね。自分だけ早く卒業しちゃった…とか言って悩んじゃいそうですから、あの人は。

 ドラマの後にやるとすると、ドラマ撮影終了のお祝いも兼ねられますし、いいですよね。映子ちゃんは基本的に私事を仕事には持ち込まない方だと聞いていますから、卒業してないんだよね…って感じの気持ちを仕事に持ち込みはしないはずです。

 よし後にしましょう。

 そういえば2年ほど前、私と映子ちゃんが1年生の時ですね。その時に映子ちゃんが私の誕生日会を企画してくれたことがありました。サプライズで。

 サプライズができる方ですから、やられてもうれしいと思ってくれますかね?

 私はサプライズ企画“映子ちゃん卒業式”を決行することにしました。

 …ドラマの撮影って長引いたりしますかね?予定表は毎月いただいているのですが、雑誌の撮影とは違って長引いたりしそうですよね…。

 そこはマネージャーさんにも連絡を入れることにしましょう。

 

 まず、両親に話をもちかけることにします。私の方の両親は、今回はあまり関係がないのでとりあえず今は置いておいて…。

 映子ちゃんのご両親ですね!

 映子ちゃんが仕事に言っているすきを見計らって、というか、普通に学校帰りに映子ちゃん宅にお邪魔することにしましょうか。

 もう来ることにすっかり慣れてしまった映子ちゃん宅のインターホンを押します。すぐに映子ちゃんのお母様が応答してくださいました。

「あれ、久瑠実ちゃん?まだ授業有ったかしら?」

 連絡カードを届ける習慣がありましたからね、その名残があるのは仕方がないです。

「もうありませんよ。本日は少しお願いがあってまいりました。」

「あらそう。まあ入って~~。」

 映子ちゃんのお母様がいつも通りの笑顔で対応して下さったので一安心。いや、べつに緊張と化をしていたわけではないのですが、どうでもいいことでくるなとか言われたら怖いですもん。そんな人じゃないですけど。


「映子ちゃんの卒業式を開いてあげたいのです。」

 映子ちゃんのお母様に何事なの?とふわふわした声で聴かれたので、私は即座に答えました。

 すぐに映子ちゃんのお母様の目じりが下がって、口元に笑みが浮かびました。

「それはいいわね。あの子もとっても喜ぶと思うわ。…で、日程とかを詳しく決めていきたいわけね?」

 さすが、お察しのいいことです。That is right!

「その通りです。私ひとりじゃどうにもできない部分も多々ありますから、手伝っていただけないでしょうか?」

「もちろん、構わないわ!むしろ大歓迎よ!」

 力強い味方ができました。

 詳しいことはまた後程…ということになり、映子ちゃんのお母様とメールアドレスを交換いたしました。なんか光栄です。


 映子ちゃんのお母様を味方につけられれば、あとはもう怖いものなしです。

次は映子ちゃんのマネージャーさんの五十嵐さんに連絡を入れることにしました。

 映子ちゃんと関わっていく中で、やはりマネージャー様とのかかわりというのはつきものなのです。

 今じゃすっかり仲良くなって、メル友みたいになっています。

 私の人間関係作りが役に立ちました。頼みごとがしやすいです…!

 個人的に大事な話なので、電話をさせていただくことにしましょう。

 映子ちゃんの仕事がおわり、映子ちゃんを自宅に送り届けた後ぐらいの時間を見計らい、電話を掛けます。

「もしもし。五十嵐さん、今よろしいでしょうか。」

「どうも、久瑠実ちゃん。今日は何事?」

 なんで今日はこんなに疑われたような聞き方をされるのでしょう。最も本人たちにその自覚はないと思いますが。

「すこし頼みたいことがあるのですが。」

「…久瑠実ちゃんには借りがあるからね。なんでもどうぞ?」

 映子ちゃんの取扱説明書を一度書かせていただいたことがありましたね…。大変不本意でしたが。

「映子ちゃんが高校の卒業式に出席できないので、私がやろうと思うのですが、ドラマの撮影って色々ありますでしょう?まぁそのへんを連絡していただきたいのですよ。それに合わせて予定は組ませていただきますから。」

「了解しました。確実にいたします…!」

 だいの大人に借りを作らせる自分って、どうなのでしょうか。一応まだ高校生なのに。


 人の手配が済んだので、あとは内容を決めるだけですね。

まぁ来賓紹介抜きの卒業証書授与式といったところでしょうか。あとは盛大にドラマ撮影終了兼卒業祝いパーティーでもやりましょうか。

 そのへん私の両親にも手伝っていただくことにしましょう。

 

 無事私の卒業式が終わり、映子ちゃんの撮影も始まりました。毎日映子ちゃんへのサプライズのことでいっぱいいっぱいの私は、卒業式の来賓紹介時に少し睡眠をとらせていただきました。反省しております。

 毎日いろいろ考えました。もう二度と学校という場所で会えない恋人のために。

 不思議でした。あんなに長く感じた高校生活が、もう終わりだなんて。毎日のように映子ちゃんのことを考え続けた生活がもうおしまいだなんて。


 映子ちゃんのドラマ撮影は四か月ほどだそうです。完璧に撮影が終わるのは、7月ぐらいだそうでかなり卒業式は遅くなってしまいそうです。

 映子ちゃんは念願のドラマ撮影ですから、苦を感じているわけではないと思いますが、卒業式に参加できないことを気に病んでいたので申し訳ないです。

 しかしドラマ撮影期間は主演だとほとんどお休みがないと聞きます。その貴重な休みを頂くわけにはいきません。

 心苦しいですが、やっぱり撮影が終わってからですね。


 私は大学生になりました。映子ちゃんは撮影時期の間だったのに、私の入学式を覗きに来てくれました。

 入学式以来全然会えていません。大学生というものは、そんなに忙しくないはずなのですがなぜか予定が合わなくて。それに映子ちゃんの休みも少ないですし、しっかり休んでほしいですし。

 しかし最愛の人に合えないというのは結構さびしいです。遠距離恋愛ってこんな感じなのかなと思うと、少しさびしい気持ちになります。

 大学でも問題なく友人を作ることができましたがやっぱり頭の中は、変わらず映子ちゃんのことばかり。しばらく会えない分、映子ちゃんの卒業式を最高のものにしなくてはいけません。

 私は、マネージャーの五十嵐さんや映子ちゃんのご両親と相談しながら、日程や段取りを決めていきました。

 

 七月の始め、ついに映子ちゃんのドラマ撮影が終わったとの報告がありました。五十嵐さんの声色はとてもうれしそうです。きっと時間も場所も不規則な撮影現場への送り迎えはしんどかったのでしょう。おつかれさまです。

 とりあえず撮影終了祝い、曰く映子ちゃんの高校卒業式をやる日が明日にまで迫っているわけです。

 ドラマの放映が始まったら宣伝でバラエティ番組などに出なければならなくなってしまうと思うので、早めにやらせていただきます。


「これは…?」

 映子ちゃんは結構驚いた様子です。喜んでくれるでしょうか?

「映子ちゃん、ちゃんと卒業式をやっていないでしょう?だから、撮影終了祝いも兼ねてやろうとずっと企画をしていたんです。私だけではできない部分もあるので、映子ちゃんのご両親や五十嵐さんにも協力していただきました。」

 にっこり笑ってみせると、映子ちゃんの目はどんどんうるうると…。

「…映子ちゃん?」

「ありがと、久瑠実。ありがと~…。」

 ぼろぼろ泣きながら私に抱き着いてくる映子ちゃん。お母様とお父様いらっしゃいますがよろしいのでしょうか?私はとてもうれしいですが。

「私が高校一年生の時、一度映子ちゃんがサプライズで誕生日会してくれたことを覚えてらっしゃいますか?とっても嬉しかったんです。だから、映子ちゃんにもあの感動を、と思いましてね。」

 映子ちゃんはぼろぼろ泣き続けています。こんなに泣くとは思いませんでした。喜んでくれて幸いです。

「映子ちゃん、たくさん準備してますから始めましょう。」

「うん…。ありがと~。」

 

 ずっと高校の方から預かっていた卒業証書を映子ちゃんに渡します。ちゃんと読みますよ。証書に書いてあること。

 渡す役は、映子ちゃんのお母様です。

「卒業証書。第2267号、森崎映子。…」

 卒業というのは、大事な過程だと改めて実感しました。

今まで卒業という過程をしっかり踏まなかった私には、そしてもう卒業しない映子ちゃんにとっては余計に。別れと環境の変化を感じました。

 でも、これは大事な成長の過程なんだと思います、自分の高校の卒業式では何とも思わなかったのに、すらっと細い映子ちゃんの背中を眺めていたら涙があふれてしまいました。

 私はもう大学生になって結構たっているのに、改めて映子ちゃんに高校という場所で会えないということを実感します。

 日数は少なかったけれど、映子ちゃんと過ごした時間は私にはとても長く感じる大切なものなので…。

「久瑠実?」

「映子ちゃん…さびしいです…。もう学校で会えないし、映子ちゃんの仕事も増えるし…。」

 ぼろぼろと涙があふれてきます。映子ちゃんを前にしたら、気持ちがあふれ出てしまったみたいです。

「ね、映子と久瑠実ちゃん。一緒に住んだらいいんじゃないかしら?」

「「え?」」 

 映子ちゃんのお母様の問題発言がさく裂しました。確かにもう大学生…18を超えているわけですから、親元を離れるのは問題ないのですが。…問題ないじゃないですか!!

 なんという不覚でしょうか。そんな手があったとは。もっとも、気づいていたとしても各両親が認めてくれる地震などなかっただろうので、言い出せなかったと思いますが。

「いまさら何驚いた顔してるのよ。とっくに考えてると思ってたわ。付き合ってるのなら、一緒に住んだらいいじゃない。」

 知っていたんですか?映子ちゃんに言いましたか?的な視線を向けると思いっきり首を横に振られました。…ということは。

「私も、久瑠実ちゃんのお母さんもとっくに気づいてるわよ。…何年映子の母親やってると思ってるのよ。…もう、いつ言い出すのかとどきどきしてたのに自分から言っちゃったじゃない!」

 私と映子ちゃんは呆気にとられたままです。ふつう娘たちが同性恋愛していたら、もう少し反応するものではないんですか?

「映子ちゃん…。」

「うん。」

 今じゃ、言葉なんてなくても会話できるわけですけども。

 私のお義母さんも、口を開きました。

「私も知ってたけど待ってたのに…。私も、二人は一緒に住んだらいいと思うよ。お金は出してもいいし。」

「本当ですか…?」

「いいのか!?」

 いつのまにか両親と五十嵐さんが、にっこり微笑んでいました。

「嬉しいです…。映子ちゃんは、私と同じ家に住んでもいいのですか?」

「ああ。もちろん。あ、家賃はあたしが出す。」

 映子ちゃんは両方のご両親の方を見据えてしっかりと言いました。

「久瑠実を養えるように頑張る。今までのも合わせて、どうにかする。あたしたちの問題だからあたしたちでどうにかする」

「私は何を…?申し訳ないです…。」

「大学卒業したらマネージャーでもやってくれよ。五十嵐さんにはお世話になってるけど、五十嵐さんにはもっと合う人がいると思うからそっちに行ってほしい。」

 普段は人見知り気味であまりはっきりものを言わない映子ちゃんの、仕事以外でのはっきりした口調です。

 両親と五十嵐さんは何かを悟ったのか、うなずいて微笑みました。

 そして五十嵐さんが一言おっしゃました。

「私はエコが望むなら、なんでも。」

 映子ちゃんと五十嵐さんはずっとマネージャーとモデルという関係でやってきました。でも今、それが一段とやわらかいものになった気がします。映子ちゃんは昔みたいな壁を持っていないし、五十嵐さんは変な期待をしなくなったし。

 私と映子ちゃんの関係だけじゃありませんでした。自分たちはもちろん、周りの人間も成長できていたようです。

「「ありがとうございます。」」

 どうかこれからも、この温かい人たちの中で生きていきたいです。


 無事卒業式とクランクアップ祝いを終え、私と映子ちゃんは映子ちゃんの部屋にいました。会場が映子ちゃん宅でしたから、そのままおしゃべりをしようと思いまして。

「なぁ久瑠実、ドラマの先行上映会があるんだけど、そこにあたしでるから、来ないか?」

「いいのですか?チケットとか…。」

「あたしの親族ということで、な?」

 先行上映会というと、インタビューとかあるあれですか。いち早く映子ちゃんの演技をする姿が見れるのはうれしいですね。

「行きます。」

 映子ちゃんは安心したようににっこり微笑みました。


 先行上映会は結構後の話。ドラマがテレビで放送されるのは冬からなので、それまでに家を探すことになりました。

 普通にいったら映子ちゃんと私の家、変な言い方をすれば愛の巣ですからしっかり選ばなくてはなりません。

 映子ちゃんは雑誌の取材などで今までよりも忙しくなってしまっているので、私が大学がお休みの日に不動産屋を回ります。

 結論として、風通しの良い小さめの一軒家が見つかりました。不動産屋見つけたわけではないのですが…私のお義父さんの友人夫婦が引っ越されるということで、そのお家を購入させていただくことになったのです。

 夫婦こだわりのお家だそうで、知らない人に明け渡すのが嫌だったらしく好都合でした。

私は、その方たちから見れば友人の娘ですし、なんと奥様が映子ちゃんの大ファンだったのです。

 ぶっちゃけお金持ちの方たちだったので、少し安くで譲っていただくことができました。


 税金やらなんやらで結構お金がかさみそうなのですが、映子ちゃんのお給料は今まで一切使われていなかったらしく、かなり膨大な量になっているらしく。やっぱり未成年なので親を通してですが、色々な手続も無事完了しました。

 あとは引っ越しですね。


 映子ちゃんに許可を頂き、私が荷物を運び出させていただくことにしました。もちろん自分の荷物も運びます。

 場所はお互いの家の間ぐらいにあるところで、引っ越しのトラックも必要ないというこの便利さ。

 なんというか順風満帆といったところでしょうか。中学まで、お互い事情は違うにせよまがまがしい感情を持たざるを得ない状況にいた自分たちが、やっと幸せになれる気がします。一緒に要られたら幸せだと言いますが、本当にそうですね。長い時間愛しい人と一緒にいられることは素晴らしいことです。

 一軒家ですが、かなり小さめの家なので結構時間をかけずに物を配置することができました。

 ついにこの家に映子ちゃんが帰宅します。


 

 先行上映会が始まりました。

 初めての映像作品出演のはずなのに、映子ちゃんは堂々たる態度の完璧な演技です。普段の彼女を連想させないような、まったく別人に見えるぐらい完璧な演技に周りの人も相当驚いている様子です。

「モデル出身なのにすごいな…。」

 そう口々に聞こえてくる映子ちゃんへの高評価に、心が温かくなります。やっぱり映子ちゃんへの高評価は自分のことのようにうれしいです。

(悪い評価は、大事な意見だと思って真摯に受け止めます。自分のことのように。)

 さすが映子ちゃんとでもいましょうか。とにかくすごいのです。オーラがほかの方とは違います。

 私は、映子ちゃんの演技にくぎ付けになっていました。

 1話分の上映が終了し、出演者が壇上に上がってきます。

映画やドラマの常連の俳優さんや女優さんの中にいるにも関わらず、変に浮いていない映子ちゃんの姿は、やっぱりすごいと思います。

 私の恋人はすごいです。

 出演者一人一人がドラマに対してのコメントを言っていく、そんなコーナーが始まりました。

 主演からではなく脇役の方から順番に、堂々たる態度で話をしていきます。

 そしてついに主演の映子ちゃんの番がやってきました。映子ちゃんは何を言うのでしょうか。

「今回ここにお集まりいただいたみなさんありがとうございます。改めまして、モデルやってます、エコです。初めてのドラマでしたが、ほかの出演者さんの手助けもあり、無事撮影を終えることができました。あと、個人的な話なんですが、プライベートの方で私を支えてくれた人がいまして…。」

 おお?といいながらシャッターを切る取材陣たち。…映子ちゃん、この場で何を話そうとしてらっしゃるのですか?

「高校生の時の同級生なんですが、本当にすごい人で。名前の通った私に普通の扱いをするんです。普通の高校生の扱いを。高校生になってから私がこんなに頑張れたのは確実に彼女のおかげです。いつもはあまり言えないんですが、この場を借りて言わせていただきます。いつもありがとう、大好きです。…この辺で。ありがとうございました。」

 映子ちゃんが頭を下げると会場にいた人たちが大きな拍手を送りました。

…私へのメッセージをこんな場で。映子ちゃんにとってとっても大事な場で言ってくれました。

 知らないうちに私は思いっきり泣いてしまっていました。映子ちゃん以外に、私を泣かせることができる人はいないでしょう。

 そのあと取材陣の質問とかいろいろあったんですが、聞いていたけど涙は止まりませんでした。

 家に帰って、いろいろ支度をした後に玄関先で映子ちゃんを待ちます。こういう時時間が経つのはとても遅いです。じーっとまっていたら、映子ちゃんが帰ってきました。私と映子ちゃんの家に。

「ただいま~。って、なんで玄関に…?」

「おかえりなさい、映子ちゃん。今日は…とっても素敵でした。」

 映子ちゃんは靴を脱ぎながらにっこり笑って私に言いました。

「来てくれてありがと。恥ずかしかった…いろいろ。ごめんな、久瑠実の話だしちゃって。」

「いいんです…。あの、えっと…。」

 不思議そうな顔で私の次の言葉を待っている映子ちゃん。そうやって待っていてくれるところとか、大好きです。

「大好き、映子ちゃん。」


 

 今日も何の変哲もない朝を迎える。同じベッドで寝ている愛しい人。起き上がって彼女を見つめる。

私が起き上がってことで、彼女も起きてしまったみたい。気づいたら目が開いていた。

「ああ、久瑠実…。おはよ。」

「おはよう。映子ちゃん。」


映子ちゃん視点をかくかもしれません。

番外編も考え中です。

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