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ボクっ娘ギャルとかキャラ弱いよね……

「え、あの、か、夏純さん?」


「おいこらなんだもっと言い方ってもんがあるだろうが。ギャル舐めんじゃねーぞ」


 夏純はキレていた。

 そりゃもう、ものの見事にキレていた。

 額に血管が浮かぶのが見て分かるくらいにガチギレしており、ハッキリ言ってかなり怖い。


「えっと、なんか怒ってるみたいだけど、俺なりにちゃんと褒めてるつもりなんだぞ?」


「それで喜ぶと思ってんのか! クラスで五、六番目って微妙すぎるだろ! 全然嬉しくないんだよ!」


「いや、だってホラ。まずうちのクラスには雪菜とアリサがいるじゃん? あいつら現在進行形で人気アイドルだし、基本誰が可愛いかって話になったらまず名前が挙がるのはあのふたりだろ」


「ぐっ、そ、それは……」


 雪菜たちの名前を出すと、さっきまでとは一転、怯んだ様子を見せる夏純。

 怒ってこそいたが、内心ではさすがに現役アイドルに勝てるとは思っていないのだろう。この隙を見逃す俺ではない。


「この時点で一番二番が埋まる。で、三番目となると伊集院か姫乃のどちらかだ。伊集院は変人だけどなんだかんだでかなりの美人だし、姫乃も負けず劣らずの美少女なのは間違いないからな」


 途端、後ろで「そんな、ご主人様。可愛いだなんて……」なんて声が聞こえてきた気がするが、今回はスルーさせてもらう。


「なにより、このふたりにはお嬢様とメイドという属性が付いている。アイドルの肩書きほどじゃないが、まず大抵の美少女じゃ太刀打ちできない属性だ。転校生のふたりでさらに三番目と四番目の枠が埋まるから、猫宮や夏純たちが五番目以降になるのはしょうがないんだよ。分かるだろ?」


「ギャ、ギャルだって負けてないだろ! 人気属性だし、ボクはオタクにだって優しいつもりだぞ!」


 冷静に諭したつもりだったが、夏純は食い下がってくる。


「まぁ確かにオタクに優しいギャルは強いな。それは否定するつもりはない」


「だろ!? だったら……」


「でもさ。悪いけど、そのギャルって属性、ツンデレのアリサと微妙に被ってるんだよね」


「かぶっ!?」


「あと雪菜は普通にオタクに優しいし、そこの強みも被ってるな。まぁ要するに……キャラが弱いんだよ、お前」


「キャラが弱い!? そこまで言う!?」


 よほどショックだったのだろう。

 俺の言葉を受けて、驚愕に目を見開く夏純。


「そもそもギャルがボクって言ってる時点で食い合せが悪い。ぶっちゃけボクっ娘ギャルとか需要あんまなさそうだしな」


「ぐ、ぐぐぐ……」


「だが、そんな夏純に朗報だ。ここにバニーガールの衣装がある。これを着れば、瞬く間にボクっ娘ギャルバニーにジョブチェンジだ。すぐにキャラが強くなるぞ」


 もう一度バニー衣装を眼前へと掲げる。

 先ほどは拒否されたが、今の夏純の目に否定の色はない。

 むしろ必死な様子さえ伺えるくらい焦っていることが伝わってくる。


「ほ、ほんとに? バニーを着れば、ボクもキャラが強くなるの!?」


「ああ、勿論だとも。間違いなく強くなるぞ。バニーはとても強い属性だからな」


 もはやまともな思考をする能力は残っていなかったのだろう。

 ぐるぐると目を渦巻かせる夏純の言葉に、俺は力強く頷いた。

 こういう時、迷いは決して見せてはいけないことを、俺は経験からよく知っていたのだ。


「着る! ボク、バニーを着るよ! そしてキャラを強くするんだ!」


「よし、交渉成立だ。姫乃、悪いが夏純を居間まで案内してくれるか? 着替えたら、俺の部屋まで着てくれ」


「かしこまりました」


 姫乃はうやうやしく頭を下げると、夏純の手を取り先導していく。

 俺の意図を察してくれているのだろう、考える隙を与えない、実にスムーズで手際のいい動作だった。


「いやあ、いい仕事したなぁ」


「おにーさん、無駄に口が上手いですね。さすがです!」


「ふっ、そう褒めるなよ。なにも出ないぜ?」


 ドアの向こうへと消えていくふたりの背中を見送りながら、俺はケラケラと楽しそうに笑うルリとともに、二階にある自分の部屋へと向かった。


 そして、約十分後。


「ふざけんなコラァッ!」


 冷静さを取り戻したギャルバニーが、俺の部屋のドアを蹴り破り、勢いよく怒鳴り込んできたのであった。


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