諦めって大事だよね!
「なんで? もしかしなくても味方いない? 正気なのは私だけなの? むしろこの状況では私の方がおかしかったりするの? 正しいって一体なに?」
頭を抱えて哲学的なことを考え始めているあたり、舞白のSANは現在ガリガリと削られていっている真っ最中なのだろう。
このままでは脳がやられかねないし、そうなればアイドルとしての活動にも悪影響を及ぼす可能性があるな。
舞白は仮にも『ダメンズ』のリーダーなんだから、そうなったらこっちも困る。
「舞白さん。落ち着いてください。俺も正気です」
もうひとりの正気を保っている人間として、俺は助け船を出してやることにした。
「く、葛原くん……?」
「舞白さんの言っていることはおかしくないし、この状況のほうがおかしいのは間違いないですよ。自分がおかしいなんて思い詰めないでください」
「や、やっぱりそうなんだよね!? よ、良かったぁ。てっきり私、もう駄目かと……あのままだと、間違いなく頭がおかしくなるところだったよ……」
「でしょうね」
そりゃそうだろ。男ひとりにバニー四人で食卓を囲んでいる状況を疑問に思わなかったら、そいつは常人とは言えない。
「じゃ、じゃあ葛原くん! この状況なんとかしてもらっていい!? 流石に私じゃどうにもなりそうになくて……」
リーダーとしてそんな情けないことを言っていいのか、とは言うまい。
舞白でなくともまともなやつに、こいつらをなんとか出来るとは俺だって思ってない。
そしてこの俺も、そんなまともな常識人のひとりである。つまり。
「大丈夫です、舞白さん」
「葛原くん……!」
「状況はおかしいですが、俺にはどうにもできません。ここはひとつ、考えるのを辞めて流れに身を任せるのがベストだと思いますよ。コスプレ、頑張ってください!」
「葛原くん!?」
爽やかな笑顔を向けつつ、サムズアップで応援するのが精一杯なのだった。
だって無理なものは無理だもんよ。
「なんで葛原くんなんかが頼りになると思っちゃったんだろ! この人普通にクズだしこの状況におけるそもそもの元凶じゃない! やっぱり私駄目になってるー!」
頭を抱えて天を仰ぐ舞白だったが、のけぞった反動で大きなお胸がばるんばるん揺れていた。
その光景は大変素晴らしいものでつい見入ってしまいたくなるが自重する。
「「…………………………」」
だって両隣に座る幼馴染たちが怖すぎるからな!
いや、お前たちだって十分巨乳の部類なんだから別にいいじゃん、なんて茶化せたらどれだけいいだろうか。
俺からは決して視線を向けることはしないが、黒いオーラが膨れ上がっているのを感じる。
「私だって大きいもん。舞白さんやアリサちゃんには負けるってだけだもん。カズくんのこと、絶対満足させてあげられるもん」
「アタシだってまだ大きくなってるし。あと一年あれば舞白にだって追いつけるし。尽くしてあげる気持ちなら誰にだって負けないし」
ひたすらぶつぶつ呟くのやめてくれない?
嫉妬してるにしても、それは隠してもらったほうが俺だって助かるんだが?
お前ら本当に俺のこと好きなの?
ただちょっとそれを上回る規格外のおっぱいが目の前で揺れてたんだから男なら普通見るもんじゃん?
言いたいことはたくさんあるが、やっぱり言えない。
俺は決してヘタレではないが、世の中には怖いものや逆らってはいけないものがあるのは確かなのだ。
「アハハハ! おにーさん大変ですねぇ。ルリは一番年下ですし、将来性抜群なのでこれからいくらでも大きくなる余地あるので余裕ですけどねー。あ、せっかくですし、おっぱい揉みます? そのほうがおっきくなるって言いますもんね!」
勘弁してください、マジで。幼馴染たちの目、さらにヤバいことになってるよ……。




