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いやー、いつ気付くのかなー(棒読み)

「あー! 抜かれたー!」


「ちょっと、そこでアイテム使うのは反則でしょ! コースアウトしたじゃない!」


「センパイ! そこでサンダーなんて使わないでください! せっかく一位だったのに台無しじゃないですかぁ!」


 監禁一日目、時刻は昼前。俺たちは現在、リビングに集まってゲームをしている真っ最中である。


「お前らふざけんなよ! 妨害行為ばっかしやがって! 普通こういうのは接待プレイして俺を気持ちよくさせるもんだろうが!」


「勝負にそんなものは無用ですー! 大体、こういうのは周りを蹴散らして勝ってこそ楽しいものじゃないですか! 接待なんてゴメンですよ!」


「アタシはそもそも慣れてないから余裕なんてないわよ! ちょっとは手加減しなさい!」


「うっせー! こっちだって余裕ねーんだよ! 一位かっさらわれてんだから無理だっての!」


 ぎゃあぎゃあと騒いでいるが、俺たちは高校生。場所が家の中ということもあり、周囲に遠慮する必要もないとなれば、盛り上がるのも当然と言えるだろう。

 まぁ俺以外のやつはバニーガール姿という、ちょっとどころではない場違いな部分はあるのだが。


「くっそー! 負けたー!」


「さ、最下位……ゲームってこんなに難しいものなの……?」


「うがー! こんなのカワイクないですー!」


 そうこうしているうちにファイナルラップに突入していたレースが終了。

 俺は無残にも二位で終わった。散々妨害されての不満しかない結果である。


「か、勝った……」


 悔しがる俺の隣でそう小さく呟くのは、俺から一位をかっさらった相手。舞白だ。

 どこか高揚したように頬を赤らめ、肩と胸を上下させている。


「またマシロセンパイがトップとか、これで何回目です!? なんでこんなに強いんですかぁ!」


「あ、あはは……その、ゲームは得意だから。昔からずっとやってたし」


「それは知ってたけど、本当に強いわね。アタシ、全然勝てなかったわよ」


「アリサちゃんは慣れてないだけだから、やりこめばきっとすぐに上手くなるよ。私が勝てたのは年季の違いってことで。ホラ、私やっぱりお姉さんだし?」


 ちょっとドヤ顔気味に言っていると感じるのは気のせいではないだろう。

 自分の得意分野で後輩にいいところを見せられたから、調子に乗っているというところか。

 それは別に悪いことではないし、案外調子に乗りやすい性格だと分かったのはこちらとしても収穫である。ただ——


「大体なんですかあの妨害の嵐は!? こっちがいい感じにスピード乗ってきたところで甲羅打ち込んだりジャンプしてる最中にサンダー落としたりと、嫌がらせばっかしてきたじゃないですか!? あんなの絶対嫌われますよ!?」


「うっ、だってこの手のゲームって相手の嫌がる行為をするのが鉄則だし。それが私のプレイスタイルなんだもん……」


 プレイの悪辣さを指摘され、途端に涙目になる舞白だったが、俺にはそれとは別に気になる部分があった。


(なんかこう、見覚えがあるんだよな。あのプレイの感じ……)


 相手を妨害するスタイル。思い通りにやらせないあの感じ。そしてゲームそのもののプレイスキルの高さ。

 どれもが身に覚えがあるというか、どこかで体験したような気がしてならない。


「ていうか、結構アイテム発動のタイミングが和真と被ってたわよね。嫌がらせするタイミングが妙に息があってたっていうか」


「え、嘘。そ、そうだったっけ」


「ホントですよぉ。タイミング自体はマシロセンパイのほうが早かったですけど、ふたりとも絶対相手に勝たせないって鉄の意志を感じましたもん。なんかやたら連携取れてましたし、おかげで上手く操作も出来なかったですよ。もう散々ですー」


 そう言ってガックリ肩を落とすルリ。

 慰めようかとも思ったが、それより引っかかるのはやはり舞白の方だ。

 喉まで答えが出かかっている感触が確かにある。この違和感は、きっと気のせいではない。


「あの、舞白さん」


「葛原くん、ちょっと……」


 だから問いかけるべく話しかけるも、向こうも俺に聞きたいことがあったようで、俺たちは声をかけるタイミングが被ってしまう。


「あ、えと」


「あ、あう……」


 こうなると、若干気まずくなるのが世の常だ。お互いそこまで仲がいいとは言いづらい関係であることも手伝って、つい二の句が継げなくなってしまう。


「カズくん、ゲーム終わった?」


 丁度その時、頭の上から声が聞こえた。

 座っていたソファーから首だけ動かし、声の方向を見ると、バニー衣装にエプロンをつけた雪菜が料理の乗った皿を手に、こちらへと歩いてきているところだった。


「ああ。今終わったところだ」


「そっか。ならタイミング良かったね。こっちも丁度料理を作り終わったところだから、休憩にしようよ。皆こっちに来てくれる?」


 にこやかに笑いながらテーブルに料理を置いていく雪菜。

 それに合わせるようにお尻のしっぽがフルフルと震えるのはいいが、エプロンと合わせると滅茶苦茶マニアックに見えるな。

 念のために言っておくが、これは別に俺の趣味ではない。流石にエプロンバニーなんて要求するほどレベルは高くないし、バニーはバニー単体で完結していて欲しいと思っているのが俺である。

 まぁ水着だったら考えなくもないが……いかん、思考が逸れたな。


「分かった、すぐそっち行くわ」


 とりあえず腹が減ったのは確かなので立ち上がってテーブルに向かうと、アリサたちもそれに続く。

 ……いやつくづくすげー光景だな、これ。


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