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0歳児スタートダッシュ物語  作者: 海華
要らないSSRの利用法(第4章)
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1


「じゃあ行ってきマース。りー姉いっぱいありがとうねえ。エルクにーも、お世話になりました」


そう言って1番優秀な生徒……フェルナンド様は、ぶんぶん手を振って馬車に乗り直して去っていった。


……母様の妊娠発表から四年。私が九つになると基本的な無詠唱を1番早くものにしたフェルナンド様が魔大国へと旅立つ前に挨拶に来た。


表向きは留学だがその実態は、先日国際発表された『魔力濃度と魔力塊、無詠唱魔法』の実演と、あと国家間の人質だ。

フェルナンド様は元々人質として差し出されることが決まっていたらしく、無詠唱の使い手のおかげで待遇めっちゃ良くなるよーと喜んでいたのだけが救いだ。


嫌々で始めた魔術教師も、4年もしていれば生徒に愛着もわく(ただしレナード様以外)


10歳からは魔力のあるものと貴族は学園に入学をするので、これで私の生徒から未就学はいなくなった。

それにより来年からは学園で魔法を教えることになっている。殿下方だけでなく学園の生徒たちに。


10歳で学園に生徒でなく教師で行くことになるとは思ってなかった。



「リリア、中へ戻りましょうか」


「はい」


身長差がだいぶ縮まったエルク様に促されて、屋敷の中に入る。

大人の色気がにじみだしたエルク様は4年前からうちで暮らしているが、先日母様が仕事に復帰したので今では王宮と家の両方で仕事をしている。


「ねぇたま」


「リーズレッド」


テテテテと駆け寄ってきた銀髪の美幼女を捕まえて抱っこをすると嬉しそうにエンジェルほっぺですりすりとされた。

そのあまりの可愛さにフェルナンド様との別れでしょんぼりした心が癒される。


今年3歳になる妹のリーズレッドは本気で可愛い妹だ。

しかも母様そっくりの美と銀髪でねえさまは日々悩殺されている。

うちのこかわいいいっっのおおおおお!!


「お嬢様、申し訳ありません!」


「ああいいのよ。ねえエルク様、仕事に戻る前にうちの天使とお茶でも飲みませんか」


「構いませんよ。リリア、リーズレッド嬢は私が抱きましょうか?」


「あら、エルク様でも天使を抱っこする姉の特権は渡せませんわ」


慌てるリーズレッドの乳母に茶の準備を頼んで、ゆっくりとリーズレッドの部屋に行く。

そしてエルク様と一緒に天使を愛でながら短いお茶会をしたーーーーー。



この4年、リーズレッドが産まれた以外は特に大した変化はない。

ああ新作魔道具の方は我が領地ではすっかり一般家庭にも普及し、違う地方にも広まっているようだが。


侯爵家お抱えの職人たちにより魔道具ギルドが作られ、その支店を他領の方にも作ってくれないかと打診が最近はよく来るくらいには大人気だ。

その打診も今後は他国からも来るだろう。


フェルナンド様にたくさんの護衛系の魔道具から、色々なものを押し付けたから。


……単身他国に行くって言うから色々と心配で。


カメラの方も、内蔵魔力の問題もなにも解決はしていないが。



「リリアそういえば私も教職の打診を受けたよ。来年からは同僚だね」


「まあ、でしたら私もエルク様の授業を受けたいですわ」


「リリアに教えるのは少し、恥ずかしいかな」



エルク様との仲は、ちょっと良くなりました。

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