0324 <<幕間>> クックック
「クックック、ようやくだ、ようやく、帰ってきたぞ!」
そこはウイングストン、シュールズベリー公爵家の館。領主執務室。
その執務椅子に座り、抑えた声ではあるが、喜悦を隠し切れない様子の男……いや、少年。
その表情は禍々しい笑顔と言うべきか。
少なくとも、十三歳の健全な少年の笑顔とは、とても言えないであろう。
「リチャードのくびき、想像以上に頑強だが、これもあと少し……。この体を手に入れ、あやつに霊呪をかけることができたのが大きいな……どちらも、リチャードの血脈に近い……クックック」
少年は、嬉しさを隠し切れない。
その外見は、公爵権限を停止されている現シュールズベリー公爵、アーウィン・オルティスなのであるが……。
「とはいえ、南のフィンがさきに解放されたというのが解せぬ……。どう考えても、俺の方が百年は早く抜け出せると思ったのだが……何か、特別な種の魔力でも奪い取ったか?」
禍々しい笑いを引っ込め、首を傾げて考えこむ。
その様子は、十三歳の、本来のアーウィンの姿だ。
「まあ、いい。こうして、本体のすぐそばに戻ってこれたからな……。クリスタルパレスでは、さすがに遠すぎるわ。もう少しだ……もう少しでこのくびきを脱するぞ……クックック、今から楽しみでならんな。何をするかな……中央諸国を滅ぼすか? まあ、それは当然として……滅ぼし方も考えねばな……何か楽しい方法を……。クックック、楽しみだな。未来への希望? 素晴らしい言葉じゃないか、なあリチャード。お前はもういないが、俺様の未来は、希望に満ちているぞ? クックック」




