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夏日備えるショッピング!

 本当にご無沙汰しております!年の瀬に何とか帰ってまいりました!少しずつ連載を再開できればと思っておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます!!

 各々が試験勉強に励み、無事試験を乗り切った翌日。ロンドン中心部のデパート。女性服フロアの一角にある喫茶店は、今日も有閑マダムたちの社交場として賑わっていた。その中の一つのテーブルに店内の平均年齢を下げる五人が優雅に紅茶と菓子を楽しんでいた。


 一人は、黒髪を長く伸ばした少女。いつもプライベートで身を包んでいる和服ではなく、今日は白を基調としたブリタニア王立魔導学園遺物科の制服だ。一人は、紫黒色のサイドテールを揺らす少女。たまには、と、普段はあまり嗜まないセイロン風のミルクティーを楽しんでいる。滑らかでコクのあるミルクティーのおかげか表情は穏やかだ。一人は、若草色の髪をポニーテールに纏めた少女。もぐもぐとスモークサーモンと野菜の挟まったサンドウィッチを両手に持って頬張っている。一人は、瓶底眼鏡に胸元辺りまである茶髪を三つ編みにした少女。レンズの下では、ちらちらと同席の少女たちの顔を見ている。緊張しているのか、彼女のティーカップは中の水深が浅くなっていくのが早い。最後に、黒髪を二つのお団子に纏めた日焼け少女。嗜むお茶は茉莉花。華やかな香りを漂わせながら、じっと大人しくしているのは少々苦手なのか、身体は小刻みに動いている。


 一つの小さな円卓を囲みながら、それぞれの時間が流れはじめて既に三十分を過ぎる。見かねたのか、イサベルはティーカップをテーブルに置くと、隣の鏡華に声を掛けた。


 「鏡華さん、今は何の時間ですか?」

 「今?お茶の時間やけど……あ、もしかして、口に合わへんかった?美味しいお店調べたんやけど……」

 「いえ、お茶もお菓子も美味しいですけど……」

 「そ?よかった。そしたら、もう少し楽しんで」

 「ええ……」


 (もう少し?もしかして、この後、何かあるのかしら?)


 イサベルがそう思った時だった。店に入って注文してから今まで、全く口を開かなかったクラウディアが、ティーポットから注いだ紅茶の湯気で眼鏡のレンズを曇らせながら、恐る恐るといった様子で声を出した。


 「あ、あの……あの……今日は、どうして私も……呼んでいただいたんでしょうか?」

 「拙も気になっておりました!」

 「朱雲さん、声を押さえて……」

 「っ!イサベル殿、かたじけない。拙もこうして皆様との茶会に呼んでいただけるのは、大変光栄なのですが……誘っていただける覚えもなく……」


 クラウディアと同じことを思っていたのか、思わず大声を出してしまった朱雲は、イサベルに窘められると声を潜めて気になっていたことを口にした。


 「覚えはない……ねぇ?」

 「う、うう……」

 「??」


 鏡華が意味深に呟いて、微笑むとクラウディアは、また緊張が増してきたのか、紅茶を雪いだカップを傾けた。朱雲も、首を傾げて、お団子から伸びた髪房をゆらゆらと揺らしている。


 「むぐむぐむぐ……ごくんっ。みんな、後輩君のことが好きだからじゃないの?」

 「ブッ!!?」

 「ああ……クラウディアさん、大丈夫?」

 「ゴホッ……イサベルさん……あ、ありがとうございます……」


 黙々とサンドウィッチを食べていたロザリンが、唐突に放った一言に、クラウディアが咽てしまった。イサベルはすかさず、ナプキンを差し出す。


 「好き……確かに、双魔殿のことは尊敬していますが……好きとは違う……違わない?」


 一方、朱雲は自問自答タイムに突入して、首を左右交互に傾けはじめた。真っ直ぐな性分と引き換えに、自分の恋心には鈍いが、薄々理解する兆しは見えてきているようだった。


 「ほほほ!全く違う、とはいわへんけど」

 「違うとは言わないんですね……」

 「うちが鋭いのは、イサベルはんがよぉく知ってるんと違う?」

 「はい……」


 初見で双魔への恋心を見抜かれて、その上自分というものがありながら、寛容に双魔への思いを遂げることを許してくれた鏡華には、敵わないイサベルであった。


 「ほら、ギリシアのビーチに行く、言うてたさかい……その、必要やろ……水着……」


 鏡華は、赤く染まった白い頬に手を当てて隠すようにしながら小声でそう呟いた。


 「そう言われてみれば、必要ですね。水着……」

 「うち、あまり外に出ぇへんから持ってなくて……どんなん選んだらいいか分からへんし……みんなに訊こ思うてな?」


 まさに、深窓の令嬢だった鏡華は海水浴の経験がないらしく、水着も持っていないらしい。が、イサベルもあまり変わらない


 「私も家族でバカンスに行ってはいましたけど、泳ぐことなんてなかったので……ロザリンさんは……」

 「うん?後輩君に助けてもらうまで、昼間はずっと寝てたから」

 「あ、そうでした……ごめんなさい」

 「ううん。むぐむぐむぐ……」


 デリケートなことを不用意に訊いてしまったとイサベルは後悔したが、当のロザリンは全く気にした様子もなく、今度はクロテッドクリームとハチミツをたっぷり付けたスコーンに齧り付いている。


 「そんでな、みんなで選んで双魔に喜んでもらえたらなって……一緒に行くなら、朱雲はんとクラウディアはんとも仲良うなっておきたいし……」

 「そ、そういうことだったんですね……お気遣いありがとうございます」

 「鏡華殿、かたじけないです。ですが……拙も水着に関しては……」


 鏡華の思惑が理解できてホッとした最年少二人組だったが、依然、この場には水着選びの経験者はいないようだった。しかし、鏡華の表情には余裕が窺える。


 「心配せんと、そろそろ助っ人が……」

 「鏡華さん、お待たせしました!」

 「ごめんなさいッス!愛元ちゃんが寝坊して……ほら、ごめんなさいするッスよ!」

 「あいやー、申し訳ないでありますよー」

 「あ、貴女たち!」


 優雅な時の流れる喫茶店に、少々騒がしく姿を現したのは、梓織、アメリア、愛元の魔術科三人娘兼、イサベル応援団の三人だった。


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