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【おかげさまで100万PV到達!!】ー盟約のティルフィングー  作者: 精神感応4
幕間『引っ越し?隠し子!?秘密の箱庭!!?』
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玄関前にいたのは?

 「…………」


 リビングに降りてきてからも謎の子供は左文に抱かれたままだった。恐る恐るといった様子でキョロキョロと周りを見回している。


 「…………」


 浄玻璃鏡も左文に抱かれた見知らぬ子どもを目にした時はピクリと眉を動かしたが、すぐに何かに納得したのかまた目を閉じてしまった。鏡華には何も教えてくれない。


 「…………」

 「っ!!……」


 鏡華とも何度も目が合うのだがすぐに目を逸らされてしまう。如何やら怖がられてしまっているようだ。


 (……知らない子に怖がられるって……なんかショックやね……)


 密かに傷ついている鏡華をよそにティルフィングは左文の周りをぐるぐると周りながら抱かれた子を見ていた。


 「むー……小さい子共というのは可愛いものだな!男の子か?女の子か?」

 「女の子のようですね」

 「分かるのか?」

 「ええ、分かりますよ……それにしてもこのくらいの歳なら少しは言葉が話せると思うのですが……お名前を教えていただけませんか?」

 「…………」


 左文に話しかけられた女の子は視線を下に落として何も言おうとしない。左文に危険がないことは分かっているようだが心は開いてくれないらしい。


 「お主話せるのか?我はティルフィングというのだ」

 「…………」


 やはり、ティルフィングが話しかけても女の子は答えてくれなかった。ティルフィングはがっかりしながらも離れるつもりはないようで左文の傍をぐるぐる回り続けていた。


 そのまま、時計の長針が半分ほど回ったころだったろうか。鏡華は迷っていた。


 (……見てもええけど……怖がらせたらあかんし……でも、少しだけなら……)


 鏡華が一度瞼を閉じ、紫色の瞳を左文に抱かれた女の子に向けたその時だった。女の子の頭の双葉がぴょこりと動いた。


 「っ!」

 「あっ!?危ないですよ?」


 女の子は何かを感じ取ったのか左文の腕の中から飛び降りるとリビングを出て廊下へと走っていった。


 「どこへ行くのだ?」


 ティルフィングがすぐに追いかける。廊下に出ると女の子は玄関へと一直線に向かっていた。


 「っ!っ!」

 「む?」


 一生懸命に足を進める女の子についていきながらティルフィングも何か感じ取ったのか首を傾げた。


 ピーンポーン!


 それと同時に呼び鈴の音が家の中に響き渡った。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 赤レンガのアパートで謎の女の子が発見された丁度その頃、双魔は家に帰るために学園を出たところだった。


 「相変わらずいい仕事だな……まあ、変わり者なのが玉に瑕……とは言っても職人気質なら珍しくもないか……」


 ブツブツと独り言をつぶやきながらふらふらとしたはっきりしない足取りで道を歩いていく。


 その表情は満足気で懐に片手を突っ込んで何かを大切に持っているように見える。


 今日は仕事をしに学園に行ったのではなくとある知り合いに頼んでいたある品が完成したと言うのでそれを受け取りに行ったのだ。


 その知り合いはかなりの変人なので”錬金技術科の怪人”と呼ばれている人物だ。あまり人は寄り付かないが腕は一級品で大概の魔導用具や薬物などはすぐに用意してくれる頼れる人物だ。が、やはり変人なので錬金技術科でも大分浮いた存在だ。頼み事をするのも双魔と限られた極数人、その点については依頼の報酬に求めるものが特殊だと言う理由もあるだろう。


 そんなことはさておき、望んでいた品を手に入れた双魔は珍しく軽やかに家路を進んでいき、普段よりもかなり早くアパートが見えてきた。


 「……ん?」


 そこで双魔は目を細めた。何やらアパートの前に大型トラックが一台止まっている。荷台に描かれた絵を見るに、如何やら引っ越し業者のようだ。さらによく見ると今は住民がいないはずの双魔たちの部屋の隣のドアが開かれて人が出入りしている。


 (…………なるほど、遂に隣に人が入るのか……誰だろうな?)


 双魔が住んでいるアパートはブリタニア王立魔導学園の教員寮の一つだ。学園から離れていて立地が悪いので人気がなく住む者がいなかった。そのおかげで生徒且つ講師という特殊な立場の双魔が住むことができている。隣に引っ越してくるもの好きがいると思うとどんな人物が越してきたのか気になるというものだ。


 (……まあ、二部屋しかないアパートに先住してるんだから向こうも挨拶に来てくれるとは思うが……?)


 頭を掻きながらアパートに近づいていくと双魔はまたあることに気づいたトラックの影になって見えなかったのだが、双魔の部屋の玄関の前で誰かがうろうろしている。しかも、その誰かは見慣れた人物だった。


いつも読んでくださってありがとうございます!レビューや感想お待ちしてます!

本日もお疲れさまでした!それでは、よい夜を!

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