みんなでお汁粉っ!
世間はGWとかで……連休中くらいは頑張って毎日投稿したいと思います!よろしくです!
「うーん、おしるこ……おもちとあんこ初めて食べた……なかなか興味深いね?」
鏡華たちが戻ってきた後、各々お汁粉を食べる中、ロザリンが満足そうに唸っていた。既にお椀の中は空っぽだ。
「ロザリン様、おかわりはいかがですか?」
「うん、食べる。おもちもう二つ」
今は全員分のお茶を持ってあとから双魔の部屋にあがってきた左文が面目躍如といった様子でお茶とお汁粉の配膳をしていた。
受け取った椀に焼餅を二つ入れ、その上から汁粉を掛けてロザリンに手渡す。
「お熱いのでお気をつけくださいね」
「うん、ありがとう。フー……フー……あむっ……むぐむぐむぐ……」
「左文!我もおかわりだ!」
「はい、少し待ってくださいねー」
大食い担当二人の横では双魔と鏡華、イサベルがまったりと甘味を楽しんでいた。
「……優しい甘さ……やっぱり和食は興味深いわ……」
「お汁粉は和食でいいのか?ズズズっ……」
「うーん……ええんとちゃう?中華にも同じような甘味はあるやろけど、丸っきり同じじゃあないはずやし」
「まあ、そうか……」
「うーん……もぐもぐ……お餅っておいひいね……ごくんっ……びよーんって、伸びるし……私も日本の料理に興味ある……はむっ……むぐむぐむぐ……」
ロザリンがどこで覚えたのか箸で餅を伸ばしながら呟いた。
(……多分、イサベルとロザリンさんじゃ”興味”の意味が違うな)
イサベルは料理を作る方に、ロザリンは料理を食べる方にアンテナを立てているに違いない。
双魔は汁粉の中に浮かんだ栗を口に放り込みながらそんなことを思った。
「イサベルはんもロザリンはんも興味あるんやったら今度お弁当でも作る?」
「……おべんとう?」
「……本で読んだことあります!日本のランチパックですよね?私の国にはそういう習慣はありませんけ ど……興味あります!」
「へー……おべんとう、おべんとう……どんなのかなー?……」
珍しくイサベルが目を輝かせて身を乗り出した。自分でも言っているが結構興味があるらしい。確かにこちらでは外で食べたり、家に帰って昼を済ませる人間が多いので昼食を持ち運ぶと言う考え方が珍しいのだろう。
一方のロザリンは聞きなれない言葉何度か噛み締めていた。見たことのない”オベントウ”に思いを馳せているのだろう。
「そしたら、週明けの評議会の集まりに持っていこか。双魔、構へん?」
「ん?……いいんじゃないか?」
ロザリンは勿論、アッシュとフェルゼンも文句は言うわけはない。唯一の懸念はシャーロットだが、ロザリンが良しとすれば噛みついてくることもないだろう。本人は隠しているようだが、シャーロットはかなりロザリンに懐いている。
「決まりやね!ほほほほ、いっぱい作らんとあかんね?」
「「??」」
微笑みを向けられたティルフィングとロザリンが顔を見合わせて不思議そうに首を傾げた。二人とも手にしたお椀には四杯目の汁粉がよそられていた。
「ご安心ください、鏡華様。私もお手伝いしますので」
「左文はん、おおきに。よろしゅうな。そしたら献立を考えへんとねぇ……何にしようか?」
鏡華はすっかりやる気を出したようだ。片頬に手を当てて、目を瞑ると形の良い眉を曲げて考えに耽りはじめた。
(……弁当か、久々だな…………ん?)
「…………」
ブリタニアでの暮らしが長い双魔にとっても弁当は久々だ。しかも、鏡華が作ってくれるのだ。味も献立も間違いない。期待に胸を膨らませながら空になりかけた椀を覗き込む途中でイサベルが何かを考え込んでいるような表情が見えた。
「イサベル、どうした?」
「…………」
「イサベル?」
「……っ!?双魔君っ!何かしら?」
一度名前を呼んでも反応がなかったのでもう一度呼んでみると今度はパッと顔を上げ反応した。
「ん、何か考え込んでるみたいだったからな……どうした?」
「ええ……その、私もお弁当を作ってみようかしら……と思ったんだけど、双魔君はどう思う?」
「イサベルの弁当か……ん、いいんじゃないか?もし、作るなら楽しみだな。イサベルも腕は確かだしな。なあ、鏡華」
「せやねぇ、うちもイサベルはんのお弁当食べてみたいわ」
「そ、それじゃあ、私も作って持っていくわね、お弁当!」
双魔に褒められ期待され、鏡華も思いつきを歓迎してくれたのでイサベルはすっかりやる気になった。
「弁当作るのはいいけど……大丈夫か?」
双魔は口元に浮かんでいた笑みを消すと視線をイサベルから横にずらした。
「むぐむぐむぐ……」
「ズズズッ……甘くておいひい……」
その視線の先では食いしん坊コンビが変わらぬペースで汁粉を楽しんでいた。ちなみに左文の手許に置いてある鍋はもうすっかり空で小豆の一粒も残っていない。
「え、ええ……梓織に手伝ってもらうから……たぶん大丈夫だと思うわ……」
自信満々に返事をしたいところだったが何度も目にした二人の食べっぷりを見ると不安にならざるをえないイサベルだった。
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