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蒼髪の少女の名

 第1部の最後、60話から出てる蒼髪の遺物の名前がやっとこさ判明です!長かったですねぇ…………え?「他にもいろいろ謎がある」って?それは今後のお楽しみということで…………

 「……んっ……んんっ……あら?……私……」

 「ソーマ、起きたみたいだぞ?」

 「……何ともタイミング悪いな……」


 (お姉さまの声……それと…………)


 レーヴァの耳にティルフィングの声とどこかで聞いた覚えのあるような男の声が届く。


 (……私……気を失って?)


 段々と記憶が甦ってくる。確か、ティルフィングとやりあっていた時に背後から何かに衝突されたのだ。


 (…………私、落ちたはずですわ……どうして地面に落ちていないのかしら…………っ!?)


 聴覚に遅れて視覚も回復し、初めはぼんやりと、徐々に鮮明変化していく。


 そして、レーヴァの視界に映ったのは見覚えのある魔術師の覇気に欠けた顔だった。


 「なっ!ななななななななっ!」


 驚きすぐ手上手く言葉が出ない。瞬時に理解したが何故かティルフィングの契約者、名前を確か双魔と言ったか、に抱き留められているのだ。


 「ん、完全に目が覚めたな……ちょっと立て込みはじめたからな……立てるかっ……と!?」

 「いっ、嫌っ!」


 レーヴァが叫ぶと蒼い剣気が迸り空気を焦がす。そうなることを察知したのか双魔は間一髪で離れて何とか火だるまになるのを回避した。


 「わっ!私に何をしたんですの!?こ、答えなさい!」

 「っ!」

 「ソーマ!危ないっ!」


 レーヴァの動揺に剣気も乱れているのか蒼炎の塊が双魔に向けて飛んでいく。何故か避ける素振りを見せない双魔を横からティルフィングが飛び込んできて救い出す。


 「貴様っ!ソーマに何をする!ソーマは貴様を助けて足に怪我を負ったのだぞ!」


 ティルフィングが激高し紅の剣気を迸しらせ、空気に紅氷の欠片が舞った。


 「……お姉様?何をおっしゃりますの?どうしてその方が私を助けるんですの!?」

 「我は貴様の姉ではないと言っているではないか!理由など我には分からぬ!ソーマに聞け!」


 ティルフィングは憤りが収まらないのかそう言った切り口を噤んでしまった。


 仕方がないので気だるげな契約者の顔を見遣る。隠しているつもりのようだが顔には僅かに苦痛が滲んでいるようだった。


 「…………」

 「ん?助けた理由か?……まあ、俺にもよく分からん……気にするな……それと、こいつも返しておく」

 「っ!?貴方……今何をしたんですの?」


 レーヴァは驚きの余り瞠目した。突然、双魔の手許に自分の白い帽子が現れたかと思うと、彼はそれを自分に投げて寄越したのだ。


 「……クックック……秘密だ。お前さんも秘密が多いだろ?何か話してくれたら教えてやるよ……」

 「……お礼は言いませんわ……私、ご主人様のご命令を遂げなければなりませんから。失礼しますわ」

 「貴様っ!礼も言えないのか!」


 帽子をかぶり、踵を返した蒼髪の少女の背にティルフィングの険を帯びた声が飛んでくる。


 「……ーヴァ……ン……」

 「ん?」

 「私の名、レーヴァテインと言いますの……今度会うことがあったらそう呼ぶといいですわ!それでは、御機嫌よう!」

 「あっ!貴様っ!待て!」

 「ティルフィング」

 「む?ソーマ、追わなくてよいのか?」

 「名前を聞けただけで十分だ……それよりもロザリンさんが心配だ。ティルフィング、俺を背負って動けるか?」

 「……うむ!我に任せておけ!」


 ティルフィングは双魔の足の状態がかなり悪いのを察し、元気づけるように力強く頷くと小さな背中に双魔を背負った。


 「ソーマ、大丈夫か?」

 「……ん、大丈夫だ。行ってくれ」

 「うむ、ではいくぞ!ふっ!」


 ティルフィングは双魔を落とさないようにしっかりと足を抱えると飛び上がった。そのまま、勢いに乗って戦いを繰り広げているロザリンと神獣を目指す。


 夜空に不格好な影が舞う。風に当てられた双魔のローブがバサバサと音を立てて靡いた。



 いつも読んでくださってありがとうございます!よろしかったらブックマークしていただけると嬉しいです!レビューや感想もお待ちしてます!

 本日もお疲れ様でした!それでは、よい夜を!

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