伏見印のハーブティー
こんばんは!昨日は150話でキリが良かったので以前からやろうと思っていた再編集作業を行いました。主に行間を変更しました、以後はこのスタイルで行きたいと思いますのでよろしくお願いします!
そんな感じで今回もよろしくお願いします!
イサベルにハーブティーの茶葉を渡し、帰した後、双魔は準備室でお湯を沸かし、来夏客用の所々少しほつれたソファーにだらりと身を任せて一人ルサールカに貰ったハーブティーを楽しんでいた。
「…………」
ハーブティーに関わらず、緑茶や紅茶、コーヒーなど、双魔は温かい飲み物を口にしながら考え事をする癖がある。
今考えているのはもちろん、イサベルの相談事についてだった。
(…………さてさて、何を相談されるのかね…………)
イサベルは魔術科でもトップクラスの実力を持つ故、勉学のことである可能性は低い。魔術もその特殊性からガビロール一門、特に現当主キリル=イブン=ガビロール氏に相談するのが一番いいだろう。人間関係なら梓織やアメリア、愛元に相談すればいい。
そう考えると双魔には相談事の内容が全く想像できなかった。
「…………んー…………ん?」
思わずうなり声を上げた時だった。今ではすっかり慣れた独特の気配が部屋に近づいてくる。如何やら浄玻璃鏡の歓迎会は終わったらしい。
バンッと勢いよくドアが開く。その衝撃で少し埃が舞い、仄暗い蛍光灯の下で輝いた。
「ソーマ!」
双魔に呼び掛けると共にティルフィングが一直線にソーマに飛び込んでくる。
「おっと!」
最早、ティルフィングの突撃にも慣れたもので、双魔は事前に来ると分かっていれば砲弾のように向かってくるティルフィングの小さな身体をしっかりと受け止められるようになっていた。
「フフフ……付き合いは短いのに、相変わらず仲良しね。貴方たち」
入り口からはティルフィングを送ってくれたのかアイギスが笑みを浮かべて立っていた。
「ああ、アイギスさん。ありがとう。アッシュは?」
「あの子は先に帰ったわ。私もすぐに帰るわ」
「そうか……ん、そうだ。これ、よかったら持って行ってくれ」
双魔は膝に乗ったティルフィングを降ろして隣に座らせると机の上に置いておいた大きめの紙袋から小さな紙袋を出してアイギスに差し出した。
「何かしら?あら、いい香り……」
部屋の中に入ってきて紙袋を受け取ったアイギスは漏れ出ている香りに喜びの表情を見せた。
「ハーブティーだ、よかったらアッシュと飲んでくれ」
「ハーブティー……ああ、噂の伏見印のハーブティーってやつかしら?」
「ん?なんだそりゃ?」
「噂になってるのよ、貴方が作っているハーブティーは美味しいってね」
「…………そうなのか」
双魔は思わず、首を傾げた。そんなに多くの人に配った記憶もないのだが、いつからそんな噂が出回っているのだろうか。
「ハーブティー、ありがたくいただくわ。それじゃあね」
「ん、ああ、アッシュによろしく」
アイギスはハーブティーが余程楽しみなのか上機嫌で準備室を出ていった。
「ティルフィング、浄玻璃鏡は?」
「あやつならキョーカと一緒に先に帰っていると言っていたぞ」
「ん、そうか……じゃあ、俺達も帰るか」
「うむ!」
双魔は立ち上がると机の上に出したままの資料を適当に整理して、使っていたマグカップを流しに置いた。水につけておいて後で片付ければいいだろう。
「よし、行くか」
鞄を持ち、ローブを着込んで明かりと暖房を消す。部屋の外から鍵をしっかりとかける。
ティルフィングと手を繋いで帰路に着く。
学園からアパートに着くまでの間、双魔はティルフィングが一生懸命にパーティーでの出来事を話すのに口元を緩ませて相槌を打ち続けた。
いつも読んでくださってありがとうございます!
今回は短めでしたがご容赦をば。
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