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食材調査・流通管理機構



食材調査・流通管理機構「ISA(Ingredient Survey Authority)概要」



■ 正式名称:〈世界食材調査流通機構〉(WorldIngredientSurvey&DistributionAuthority)


◼︎略称:ISA

◼︎主な役割:七大陸および七洋域に分布する希少食材・食用植物・山菜・菌類・水産資源・魔獣由来食材などを「調査・分類・流通管理・品質保証」する国際機構。

◼︎設立背景:魔導文明期において貿易・航海・技術革新が進む中、食資源および希少素材の一極集中・乱獲・環境破壊が問題となった。特に魔力循環や属性バランスに対応する食文化的資源が急速に消失しつつあると判断されたため、帝国および各大陸連盟によって共同設立。

◼︎運営体制:本部をルミナス大陸・帝都セレスティア近郊の「食材学術塔〈グルメ=アカデミア〉」に置き、各大陸・各洋域に地方支部(Regional Ingredient SurveyBranch)を配置。MSM(魔獣管理・討伐機構)と協調関係を持ち、特に“魔獣由来食材”の安全性や流通認可を共同研究・監督。




■ 組織構成と部署


ISAは大きく以下の五局に分かれている。各局とも協働枠を持ち、「採取レベル」「流通認可」「希少性ランク」等の制度を運用している。


◼︎1) 調査分類局(Research & ClassificationUnit)

・新規食材・菌類・山菜・水産資源・魔獣由来資源のフィールド調査、採取条件記録、属性(光/火/水/風/雷/岩/闇)との関連付け調査。

・「採取レベル」制度を策定。採取レベルは 1(容易)~ 20(極希少)で分類。例えば、標高2,800m超の霧深地帯でしか採れず高属性変動影響を受ける山菜は “採取レベル18~20” に指定。

・各調査には「環境負荷点数」「魔力汚染リスク」「生態系回復速度」などを加味。


◼︎2) 流通監理局(Distribution ControlUnit)

・調査局からの「採取レベル」「希少性分類」に基づき、流通認可枠を設定。

・各大陸の“食材交易許可証”発行、食材の安全性(魔力汚染・毒性・変異可能性)検査、貿易品目登録。

・希少食材は「クオリティ・グレードA~C」「属性特化」「料理用途別推薦」として分類され、流通価格基準および輸送条件を管理。


◼︎3) 食材保全局(Conservation & SustainabilityUnit)

・採取過多・乱獲・環境変動による資源枯渇を防ぐため、生育地モニタリング、再生ロット設定、採取禁止区域設定。

・特定食材が「文化遺産食材」として登録された場合、採取年数制限・代替栽培研究が義務化される。

・魔獣由来素材などの流通による生態系影響も監督。


◼︎4) 教育普及局(Education & OutreachUnit)

・各大陸・地方自治体・料理学校・ギルド等を対象に「希少食材講座」「属性料理セミナー」「安全採取オリエンテーション」を実施。

・食材採取者・山菜摘み・漁師・山岳民などに対し、ISA認定「食材ハンター免許」を発行。採取レベル10以上の地域に入るには免許保持が義務。


◼︎5) 資源開発局(Resource DevelopmentUnit)

・食材の魔導応用、加工技術、保存技術、レシピ開発を行う。魔力耐性食材・属性相性食材などの研究。

・例:風貫菜の「魔力循環改善効果」の検証、風苔芋の粘性を利用した魔力回復食品化研究。

・また、希少食材配分制度(食材ボンド)や、属性バランスを意図した食文化提案も担当。




■ 採取レベル制度と運用基準


・採取レベル1〜20:数値が高いほど希少性・採取困難度・安全・価値が高まる。

・レベル1〜5:一般的に容易に採取可能な食材。流通も広く、価格は低~中。

・レベル6〜10:地方限定・採取時期限定の稀少食材。流通には認可が必要。

・レベル11〜15:標高・地脈・魔力環境などの制約が大きい。専用免許・保全措置あり。

・レベル16〜20:極地・古遺跡・魔獣由来・属性干渉を伴う超希少素材。採取は禁止または極限定量許可。


流通に認可が必要な食材の採取者は“採取報告書”を提出し、ISA調査員の監査下で評価・審査を受ける。無報告・違法採取の食材の売買・密輸は罰則および国際的な刑罰対象に科される可能性あり。




■ 世界各地支部と食材例


・風境山群(ルミナス大陸):風貫菜(採取レベル7)・風苔芋(採取レベル10)など。風属性食材を重点調査。

・イグニス大陸支部:火属性山菜・溶岩鍛造菌類・炎耐性根菜など。採取レベル12~19。

・ネプトラ大陸支部:深海藻・潮流貝・魔獣由来水産食材。採取レベル14~20。

・その他各大陸で食材カタログを保有、流通枠を設定。




■ 文化的・社会的意義


・ISAが管理する食材リストは、七属性バランス・魔力流通・文化交流・貿易政策に直結。

・希少食材を含む“属性食文化”は、各大陸のアイデンティティであり、観光・祭事・神事との結びつきも強い。

・食材の流通が停止すれば、地域経済・魔力循環・宗教儀礼に影響が出るため、ISAは「食材=文明インフラ」として認識されている。




■ 課題と展望


・採取の過酷化、魔力環境の変動、食材の資源枯渇が深刻。

・食材密輸・偽装品・無報告採取という闇流通も存在し、流通監理局の監査が追いついていない。

・科学的魔力検査・属性汚染チェックの非公開データが議論を呼び、「食材テロ」や「魔力汚染食材」などの懸念もある。

・今後の展望としては、希少食材の属性培養・人工増殖技術・食材サステナビリティの確立が掲げられている。



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七大陸における食材文化と環境特性


この世界において「食材」とは、単なる栄養源ではない。それは風土の記憶であり、文明の痕跡であり、神々が残した“土地の言葉”でもある。


七大陸はそれぞれに異なる自然環境、魔力の流れ、そして人々の暮らしと信仰を抱えており、そこから生まれる食材もまた、極めて個性的かつ多様である。


高地に吹く風が育む香草、溶岩の熱が鍛える根菜、深海の闇でしか育たない藻類――それらは単なる農作物ではなく、“土地と共に生きる術”そのものだ。


本項では、七大陸それぞれの環境に根ざした食材文化の特徴を紹介し、それがいかにして「大陸の個性」と結びついているかを明らかにしていく。




■ ルミナス大陸(光属性)


・光の神〈ルミナ〉の加護を受けた大陸であり、清浄な魔力流が地表・大気・水脈に流れている。

・食材の特徴として「輝き」「清冽さ」「癒し」の属性を帯びるものが多い。例:白光米(淡い金色の粒)、純水草(透き通った葉)、光菊根(根が白銀色で魔力浄化効果あり)。

・栽培・採取環境:高原地帯・渓谷の清流沿い。魔力汚染が少ない地域が多いため、食の安全性が高く、上流階級・宗教儀式用食材として重宝される。

・流通・文化的利用:聖堂への奉納、神事の献膳、貴族の晩餐会のテーブルに並びやすい。値も張るが「ステータス食材」としての役割を持つ。




■ イグニス大陸(火属性)


・火山帯・溶岩地帯・乾燥砂原が広がる、過酷な環境の大陸。魔力流も熱・炎の性質を帯びやすい。

・食材の特徴として「耐熱」「辛味」「香ばしさ」「鉄分・ミネラル豊富」が挙げられる。例:紅岩唐辛子(炎耐性のある唐辛子)、溶岩菌(高熱耐性キノコ)、火焼根芋(焼いて甘味が増す根菜)。

・栽培・採取環境:溶岩流跡、火山斜面、砂漠縁辺部。栽培には魔導灌漑・熱耐性土壌が必要。野生採取では高温危険・地形変動のリスクあり。

・流通・文化的利用:鍛冶場・軍用食・鉱山労働者の栄養補給用として使われる。強烈な味覚と栄養価で、肉料理・激辛料理と相性が良い。




■ ネプトラ大陸(水属性)


・河川・沿岸・湿地帯が広がる水豊かな大陸。海・潮・雨の影響が強く、食材も水由来・流動性の高いものが多い。

・食材の特徴として「瑞々しさ」「滑らかさ」「再生・浄化効果」がある。例:海晶藻(透明な海藻)、潮流貝(魔力浄化作用のある貝)、水滴米(湿地栽培で極上の水分を含む米)。

・栽培・採取環境:河口の湿地、沈む原野、潮流沿い。水深・潮汐・魔力濃度の影響を受けやすいため、採取環境の変動が激しい。

・流通・文化的利用:商業交易の中継地/港湾都市の特産品。料理では寿司、雑炊、潮汁など水の味を活かす料理に適する。




■ エーリア大陸(風属性)


・浮遊島・列島・風の大地が特徴。風・空・雲・高所という気候特色が食材にも影響する。

・食材の特徴として「軽さ」「香り」「旋風/揺らぎ感」がある。例:旋香菜(細長くねじれた葉、炙ると塩味を帯びる)、浮雲麦(高所栽培の麦で軽くて香ばしい)、空葉茸(風通しの良い高台に自生するキノコ)。

・栽培・採取環境:浮遊島の段丘、高原、風の強い尾根。採取リスクとして落下・突風・気流変動あり。

・流通・文化的利用:飛空船の食材、空賊団の補給品、高所巡礼者の携行食として用いられる。また香味野菜として料理のアクセントに使われる。




■ グラシア大陸(岩属性)


・山岳・鉱脈・氷原が広がる大陸。岩・地層・鉱石といった土の力が強い地域。

・食材の特徴として「重み」「ミネラル」「鉱質感」「保存性」が見られる。例:鉱脈根菜(鉄質含有量高)、岩茸(岩場に張り付くキノコ)、凍結根芋(氷原でゆっくり熟成された芋)。

・栽培・採取環境:山岳鉱山帯、地底洞窟、氷原縁辺。採取には登山・洞穴探査技術が必要。

・流通・文化的利用:鉱山労働者・城塞都市住民の常食。保存食としても優れ、旅の携行品・非常食にも使われる。




■ テネブル大陸(闇属性)


・霧原・地下洞・影の大地という暗く静かな風土。影・記憶・幻術といった要素が色濃い。

・食材の特徴として「深み」「苦味」「隠蔽性」「特殊効能」が挙げられる。例:影根草(暗所栽培、記憶強化効果あり)、幻蜃茸(幻覚誘発リスクを伴うキノコ)、闇藻(闇魔力を含む藻類)。

・栽培・採取環境:地下・霧中・洞窟・陰湿地帯。採取には照明・防霧装備・警戒が必要。

・流通・文化的利用:宗教儀式、魔導研究、幻覚宴、特定鍛冶素材として隠匿流通あり。一般食材としては流通制限がかかるものも。




■ エレトゥス大陸(雷属性)


・台地・雷嵐・機導文明が特徴。機械化・魔導器影響が強く、人工との融合が進んでいる。

・食材の特徴として「電荷反応」「金属味」「機械的加工適性」がある。例:雷葉野菜(稲妻を浴びて育った葉菜)、機導菌(電磁場で培養された菇類)、導雷魚(雷帯湖で育つ魚類)。

・栽培・採取環境:雷雲帯、高台、工業遺跡、魔導廃工場跡。採取には高電圧耐性、防雷装備が必要。

・流通・文化的利用:工業都市の食文化、高性能カロリー食、冒険者・飛空船乗り用食材として消費される。電磁加工・魔導調理に適す。

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