統合戦力評価体系
《オーダーフレーム・システム》
● 概要
《オーダーフレーム・システム》は、帝国戦術局と帝都学術院が共同開発した「統合戦力評価体系」である。
本来は軍事用途として戦士・魔導師・騎士・魔獣などの能力を定量的に把握・比較・管理するための指標であったが、
現在では民間の冒険者協会、王立研究機関、商業ギルドなどにも広く応用されており、いわば“この世界における戦闘・異能評価の共通言語”となっている。
● 構造:属性×等級の二軸評価
オーダーフレームは、すべての対象を以下の2軸で分類する:
・属性カテゴリー(全7種)
・等級ランク(1〜7等級)
これにより、例えば「火属性 五等級」「水属性 三等級」など、対象の能力傾向と戦闘力水準を一目で把握可能となる。
● 七属性カテゴリー(セブン・アトリビュート)
各個人の魔力傾向・魂の性質・能力特性により決定される。属性は複数保有することもあるが、基本的には最も強く現れる主属性が記録対象となる。
【属性/特性キーワード/解説】
□ 火 / 攻撃、爆発、支配 / 破壊力と瞬発性に特化。近接戦や高出力魔法に優れる
□ 水 / 回復、再生、流動 / 再生と浄化、柔軟性。治癒魔法や環境適応に強い
□ 風 / 感知、機動、隠密 / 高速移動、索敵、遠隔操作系に適性。回避性能も高い
□ 雷 / 連撃、変換、加速 / 複合技術に優れ、物理・魔法の複合火力が特長
□ 岩 / 防御、安定、堅牢 / 強靭な肉体、耐性、守護結界などを操る
□ 光 / 秩序、強化、浄化 / 状態異常回復、強化系魔法、結界術などに適性あり
□ 闇 / 制御、吸収、記憶 / 精神干渉、呪術、記憶封印などサポート・妨害型
● 等級ランク(Combat Order Index)
1〜7等級(戦闘異能指数)
《オーダーフレーム》における等級は、「異能の性質」と「戦闘運用における実用性」をもとに評価される。
単なる魔力量や身体能力ではなく、“その力がいかに戦術的優位性をもたらすか”が基準である。
あくまで“実戦的適応力”を基準とした評価であり、純粋な魔力量・知識量とは異なる。
◆ 1等級【ノヴァ(NOVA)】
・戦術的評価:未成熟域
・内容説明:
異能の構造が未解析、あるいは顕在化していない状態。
能力の発現に不安定さが見られ、持続・制御・応用いずれにも欠ける。
・実際の使用例:
・無自覚な瞬間発火、意図しない魔素漏出など、戦闘に応用できないレベル。
◆ 2等級【リーフ(LEAF)】
・戦術的評価:基礎運用域
・内容説明:
異能としての特性が安定し始め、明確な行動と結びつけられる。
単独行動では限定的だが、補助・支援枠での運用が見込まれる。
・実際の使用例:
炎を灯す、傷の治癒速度を微増させる、風圧で小物を飛ばすなど。
◆ 3等級【クロウ(CROW)】
・戦術的評価:応用形成域
・内容説明:
異能が戦闘行動と直結可能な構造を持つ。
攻撃、防御、索敵、補助のいずれかで“戦術単位”として成立。
能力の再現性と持続性に信頼性が生まれ始める。
・実際の使用例:
火矢を飛ばす、身体の一部を硬化させる、狭範囲の敵を感知するなど。
◆ 4等級【ヴァイン(VINE)】
・戦術的評価:戦局形成域
・内容説明:
異能による“局面操作”が可能。
効果範囲・持続時間・影響密度のいずれかが実用戦術を支える。
戦場における支配圏(Zone Control)を一時的に獲得可能。
・実際の使用例:
接地範囲全体を凍らせて動きを封じる、敵の攻撃範囲を意図的にずらすなど。
◆ 5等級【ドラフト(DRAFT)】
・戦術的評価:領域支配域
・内容説明:
異能が“複数戦域における影響力”を持つ。
単独で中隊規模に干渉可能な演算密度・出力制御を備える。
異能同士の“連携・拡張・対抗”を自力で行える存在。
・実際の使用例:
術式を多層展開しながら、複数の敵を同時制圧する。
魔素環境を操作して、天候や地勢を自陣有利に誘導する。
◆ 6等級【ルート(ROOT)】
・戦術的評価:領域圧倒域
・内容説明:
異能が単一戦場における“法則性”すら書き換えるレベルに達する。
制御・解析・融合いずれも自律的に行い、即時的な状況支配が可能。
オーダーフレーム内では“戦略変数”として特別警戒対象。
・実際の使用例:
光の屈折を自在に操って周囲を不可視化する空間を作る。
魔導回路を一時的に“封じる”空間を展開する、など。
◆ 7等級【コア(CORE)】
・戦術的評価:概念操作域
・内容説明:
異能の行使により“根本的な法則の変更”すら可能な、構造超越者。
発動条件、再現性、周囲への影響範囲すべてが理論外。
オーダーフレーム上は“特異個体”として取り扱われ、軍事的な分類外。
・実際の使用例:
重力方向を一時的に書き換える。
他者の異能そのものを強制遮断する。
自身の存在情報を一時的に“なかったこと”にする。
● 備考:評価の本質
《オーダーフレーム》において最も重視されるのは、「その異能が、状況をどれだけ制御し得るか」である。
単純な“強さ”ではなく、“戦術的な価値”――つまり、その力がどのように“戦局へ干渉”するかがランク評価の軸だ。
たとえば、破壊力だけなら三等級の火炎術者が五等級の癒し手を上回る場合もある。
だが、“戦場に長く干渉し続ける存在”としては、癒し手の方が格上と評価されることもある。
この“戦術干渉指数”こそが、オーダーフレームにおける等級の真価である。
● 特例枠:無属性
七属性のいずれにも属さず、魔力の偏向が一切存在しない“完全中庸”の属性。
自然界・人類を含むあらゆる生命の中で、公式にこれが確認されたのはただ一人――
ゼン・アルヴァリード
彼の属性判定欄には“属性なし(Null)”と記録されており、
このため帝国戦術局は《Null-Class》という独自の分類を設けた。
“無属性”とは、何色にも染まらぬということ。
これは裏を返せば、“すべての色を否定せず、すべてと共存できる”という極限の適応性を意味する。
また、七属性間の干渉や相克(例えば火と水、光と闇など)を受けないという特性も持つため、極めて稀少かつ危険な分類とされている。
ゼンはこの《無属性 七等級》として公式記録され、
「存在するだけで評価基準を塗り替える男」として学術記録にも掲載された。
● ランク表示例
・【帝国精鋭騎士・ロイド】
属性:火 / 等級:五等級
→ 火炎魔導剣術を用いた重突撃型。攻撃に特化した純正英雄級。
・【空賊団長カイ=ルーミナ】
属性:風・雷(複合) / 等級:五等級
→ 高機動戦闘に長け、斬撃と回避を両立する速度特化型。
・【ゼン・アルヴァリード】
属性:無 / 等級:七等級
→ あらゆる干渉・制御を拒む例外的存在。解析不能の中庸戦士。




