MSM公式登録魔獣データベース:獄牙巨獣ヘルビースト
【MSM公式登録魔獣データベース】
■ 登録番号:
MB-0003-Ω
※帝国特認個体/中央管理番号
(通常の地域別登録とは異なり、個体識別ではなく“種全体”を一括管理)
■ 一般名称:
獄牙巨獣ヘルビースト
Hellbeast
別称:
・「地獄門の番犬」
・「牙の災厄」
・「山を歩く破壊」
■ 魔獣分類:
獣型・超重肉体種(Beast Class / Ultra-Heavy Brute)
分類補足:
通常の生態系に属さず、魔力過剰環境でのみ成立する異常巨大獣。
生物というより「魔力と肉体が暴走的に融合した存在」に近い。
■ 生息地域:
・帝国南部 禁断地帯〈紅蓋荒原〉
・旧魔導戦争時代の大規模魔力汚染域
・地脈崩壊が発生した封鎖山岳帯
※自然環境下での生息はほぼ不可能
魔力密度が一定値を下回る地域では活動不能になると記録されている。
■ 出現頻度:
【単独個体・極低頻度】
ヘルビーストは群れを作らない。
同一地域に複数個体が存在した記録は皆無。
出現そのものが異常事態であり、
確認=即時災害警報発令対象。
■ 討伐レベル:
Lv.31〜34(帝国魔獣管理機構・危険度評価)
分類:
帝国特認災害級魔獣(準・国家危機対象)
※通常討伐は想定されていない。
※遭遇時は「排除」ではなく「封鎖・誘導・時間稼ぎ」が推奨行動。
■ 外見的特徴:
・体長:約20〜25m
・肩高:約6m
・推定体重:30〜35トン以上
・全身を覆う暗紅〜黒鉄色の角質装甲皮膚
・頭部は獣型だが、顎が異常発達しており、上下に三層構造の牙列を持つ
・最大の特徴は、口腔両脇から前方へ突き出した巨大な主牙(牙長2メルト超)
・背骨から尾部にかけて、魔力結晶化した骨棘が連なり、歩行のたびに魔力波を放出
視覚的印象は「巨大な牙を持つ四足の要塞」。
■ 能力・行動特性:
・超高密度魔力筋肉
単純な踏み込みだけで、地盤を崩壊させる。
物理防御・魔法耐性ともに極めて高い。
・魔力圧放射(Mana Pressure Burst)
咆哮や動作に伴い、周囲数十メルトに“圧”を放つ。
未熟な魔導士は立っているだけで失神する。
・牙衝撃(Hell Fang Crash)
突進と同時に主牙を叩きつける攻撃。
防御魔法・結界を物理的に破砕する記録あり。
・低知性・高反応型行動
戦術的思考はほぼ皆無。
だが刺激に対する反応速度は極めて高く、
「逃げる対象」を優先的に追う習性を持つ。
■ 食性:
・完全肉食
・捕食対象は大型魔獣・魔力生物
・通常の獣や人間は“栄養価が低すぎる”ため捕食対象にならないことも多い
・ただし魔力を帯びた存在(高位術者・契約存在)には強く反応する
食物連鎖上では、事実上の最上位。
■ 食材としての評価:
※原則:食用不可/流通禁止
・肉質は魔力過剰状態で不安定
・調理以前に、解体作業が困難
・一部記録では、長時間処理した筋繊維が「極端に滋養が高い」とされるが、
摂取後の魔力汚染・精神異常例が報告されている
※帝国料理連盟は
「理論上は食材だが、現実的には“禁忌”」と分類。
■ 注意事項:
・単独討伐は事実上不可能
・真正面からの戦闘は、ほぼ自殺行為
・地形破壊能力が高く、隠蔽・待避が困難
・強い魔力反応を示す対象を優先追尾するため、
“囮誘導”は可能だが成功率は低い
・封鎖失敗時は、都市規模の被害が想定される
■ 登録備考:
・初期記録:旧帝国魔導戦争期の戦場跡
・討伐成功例:正式な記録なし
・撃退・誘導成功例:2件(いずれも甚大な被害を伴う)
※近年は中央魔導研究所が極秘裏に研究対象として言及
ただし、制御・運用可能である証拠は確認されていない。
■ 総評(記録官備考):
ヘルビーストはただの魔獣ではない。
それは「力が行き場を失った結果、生き物の形を取った災厄」である。
戦うために存在するのではなく、
存在するだけで戦場を生む。
この個体が確認された場合、
それは単なる自然現象ではない。
記録官の最後の注記は、短い。
「遭遇した時点で、勝敗は問題ではない。
問題は、“なぜここにいるのか”だ」




