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カシアン・ルクレティア


挿絵(By みてみん)




ルミナス聖皇国第六王子


カシアン・ルクレティア


(Cassián Lucretia)



―― 「光の影に生まれ、影を正義と信じた王子」




■ 基本情報


【項目/内容】

□ 名称 / カシアン・ルクレティア(Cassián Lucretia)

□ 呼称 / 第六王子、白影はくえい、影の王子

□ 年齢 / 23歳

□ 身分 / ルミナス聖皇国・第六王子

□ 身長 / 178cm

□ 容姿 / 白銀に近い灰色の長髪、氷の光を湛えた青灰の瞳。

 常に穏やかな微笑みを浮かべているが、感情の底は見えない。

□ 性格 / 柔和・論理的・静か・徹底した観察者。

 外面は優しいが、本質は冷徹な合理主義者。

□ 特徴 / 諜報・心理・魔導研究の専門家。

 帝国の影部隊を実質的に指揮し、魔神細胞と零位核の研究を主導。

□ 特技 / 情報統合分析|結界魔導|幻光術|交渉術

□ 弱点 / 人間的な情緒理解(特に感情的な人物)/対人距離の調整が下手。




■ 人物描写


カシアンは、七王族のなかで最も“静かに動く”王族であり、

宮廷では 「優しい天使のような王子」 と評される一方、

諜報網の内部では 「微笑む刃」 と恐れられている。


表向きは礼儀正しく温和で、神学にも精通した優秀な王子。

しかし実際には、

帝国諜報組織〈蒼光庁〉を事実上掌握し、

国内外の政治・軍事の“裏側”をコントロールする存在。


誰に対しても丁寧だが、

その丁寧さは“心ではなく目的のため”に貼られた仮面であり、ほとんどの人間が彼の本心を見たことがない。


彼の微笑は優しさではなく、

“他者を読み切ったうえで、利用価値を測る微笑”。


フェルミナ王女は幼い頃から彼を

「優しい兄」と信じていたが、

成長するにつれ、

“どこを見て話しているのかわからない怖さ”

を感じるようになった。




■ 能力・特技



【能力名/概要】


幻光術ルーメン・ミラージュ

光と影を極微操作し、視覚情報を歪ませる諜報技術。

結界の突破や偽装、潜入に特化。


静域結界サイレント・ドーム

音・魔力・思念波を遮断する特級秘匿結界。

尋問・研究・密議などに使用される。


解析視アナライズ・サイト

対象の魔力循環や感情波のパターンを読み取り、嘘や緊張を見抜く。

クレアでさえ“完全な隠蔽”は不可能。


□ 魔導核干渉術

魔導核の振動位相を読み取り、結界や魔法式を解読・破断する能力。

これは、彼が参加する「零位核」研究によって飛躍的に強化された。


攻撃よりも、観察・分析・撹乱・制御に特化している。

“前線に立つタイプ”ではなく、

“前線を操るタイプ”。



■ 性格面の深層


・表面は柔らかいが、内面は極度に冷徹で合理的。

・“人の感情”に関心がなく、理解も苦手。

 利用価値としては理解できるが、共感はほぼできない。

・幼少期から「王族とは国家の秩序を維持する器」と教育され、

 兄姉のように政治的野心は持たないが、

 “王族はそうあるべきだ”という義務感が強い。

・フェルミナの奔放さは理解できず、

 彼女の行動は「不確定因子」としか認識されない。

・ゼンに関しては、

 「唯一理解不能な存在。だからこそ研究価値がある」と考えている。


「人は光ではなく影で判断すべきです。

光は容易く形を偽る。影こそ本質を映す。」




■ ゼンとの関係性(物語上の立ち位置)



【段階/内容】


□ 過去

終焉戦役後、ゼンが消息を断ったことを“興味深い逸脱”と認識。

ゼンの魔力痕跡を研究するうちに、

彼が“零位種”である可能性に行き着いた最初の王族。


□ 現在

フェルミナ王女の逃亡を「利用価値あり」と判断。

ゼンに直接近づく理由としてフェルミナを追跡している。

目的は、ゼンの零位核を解析し、

“人工零位核(Pseudo-Null Core)の完成度を高めること”。


□ 心理

ゼンを“英雄”とは見ておらず、

“世界の理を外れた珍しい存在=希少研究素材”と認識している。

殺すつもりはないが“道具化”する気は十分ある。


□ 物語的役割

・灰庵亭に迫る“帝国の影”

・ゼンの存在を脅かす“静かな脅威”

・第三勢力として、フェルミナクレアの中間に立つ存在



■ デザイン・ビジュアル指針


・髪:白銀に近い灰髪。光を受けても反射せず、淡く沈む色。

・瞳:氷灰青。感情の波が少なく、常に静止している。

・服装:白影団の軽装礼装。

 白を基調としつつ、蒼と銀の紋章が刺繍された“諜報用の簡易法衣”。

 表向きは神官にも見えるが、裏地には符術が刻まれている。

・持ち物:

 隠匿用光結界の短杖|多層分析神鏡|魔導記録札|

 零位核の研究ノート(極秘)


見た目は柔和で神官のようだが、

立ち姿は処刑場の刃のように静かで鋭い。




■ 名言・口調イメージ


「光は美しい。しかし、美しいものほど真実を隠します。」

「王女殿下。あなたの自由は尊重しますが、放置はできません。」

「ゼン・アルヴァリード……あなたの存在は、帝国の未来に必要です。

 どうか、協力を拒まないでください。」


→ 声は柔らかいが、圧力は静かで重い。

→ 感情を表に出さず、常に“選択肢を握る側”に立つタイプ。




■ 総評


カシアン・ルクレティアは――


・英雄を研究対象と見る冷徹な王子

・帝国の裏側を司る“影の統治者”

・人工魔導兵・魔神細胞・零位核研究の中心人物

・フェルミナの自由を利用しようとする“静かな脅威”


その存在は、

灰庵亭の平穏に忍び寄る、

“光の国が生んだ最も深い影”である。




■ Ⅰ. 生い立ち ― “光の王家の中で、唯一、光を信じなかった子”


カシアンは王家の六番目の子として生まれた。

兄姉たちは皆、“光の恩寵”と言われるほど魔力・容姿・才覚に恵まれた存在だったが、

カシアンだけは――光に対する適性が極端に弱かった。


・光魔力の反応が鈍い

・神聖文字を読んでも“共鳴”が起きない

・祝福儀式で唯一、光が宿らなかった


それでも彼は知性に恵まれていたため、

幼少期から政治・魔導・諜報の才能を発揮していた。


だが彼の原点となったのは、

10歳で参加させられた宗教儀礼の“裏側”を目撃したことだった。


神官たちが「民の救済」と称しながら、

異端者や貧民を“光の名の下に処理”していく光景。


その瞬間、カシアンは悟った。


「光とは理想ではなく、支配の道具だ。

ならば私は、その“影”を操る側に回る。」


ここから、彼は“光への信仰”を捨て、

“光の影を整える使命”だけを人生の軸へ据える。




■ Ⅱ. 職務と権力


● 諜報組織「蒼光庁」実質トップ


白影兵団の諜報部は公式機関だが、

実際はその上に影の中枢機関――「蒼光庁(Blue Radiant Bureau)」が存在する。


蒼光庁の役割

・国内外の監視

・異端認定と処理

・諜報・暗殺

・皇族管理

・宗教情報統制

・魔導技術の裏運用


カシアンは23歳にして、この機関の実質的最高指揮官となった。


「光が届かぬ場所で、帝国の均衡は守られる。」


それが彼の信念。




■ Ⅲ. 魔導研究所との関係


――「零位種研究」を起点に、人工魔導兵の開発へ


● 魔導研究所 《ルミナ大魔導理学院・深層区画》


帝国の研究機関は大きく3区画構造になっている。


【第一区画】公開研究区(学院生・魔導士向け)

【第二区画】軍事研究区(白影兵団の管理下)

【第三区画】“深層区画 《アンダーセクション》”

 → 帝国の最高機密技術、禁忌研究、量子魔導、古代遺構分析など


この深層区画こそが、カシアンが管轄する魔導研究の中心であり、

ゼンの異能 《零位種》についてもすべての資料がここに集められている。




■ Ⅳ. 魔導研究所の成り立ちと目的



● 創設:帝国暦890年


創設者は“光の異端学者”とも呼ばれた レア・アストラ博士。

彼女は神の沈黙を予見し、

“魔導の本質は属性ではなく、存在の波動である”

という仮説を提唱した。


その研究の核心こそが、


「魔導核(Arcane Core)の量子構造」


魔導とは目に見えない“意志波の干渉現象”と定義し、

世界の根本構造を「理の層界」と呼んで研究していた。


この研究所は、

神官からは“異端”として排斥されながらも、

帝国軍がその有用性に目をつけ、

以後500年にわたり軍事寄りの研究を続けてきた。



● 主な研究分野


・魔導核の量子振動解析

・魔素の統合と分解

・魂の波形マッピング

・属性断層の安定化技術

・人工魔導兵器(魔導鎧・魔導人形)

・旧文明遺構(アーケイン遺構)の調査


ここに“零位種(Nullborn)”が加わったのは、ゼンの登場以降である。




■ Ⅴ. なぜカシアンは「零位種研究」に固執するのか



● 1.ゼンを脅威として捉えている


カシアンが初めてゼンを見たとき、

その存在を“測定不能”と判断した。


・魔力ゼロ

・だが魔導干渉量は常人の100倍以上

・属性反応なし

・量子波動が“Null Point”に収束している


これは帝国の魔導体系の “例外中の例外” だった。


「世界の理から外れた存在は、

いつでも世界を壊し得る。」


それが彼の結論。



● 2.“零位種=神々の旧支配構造の鍵”


深層区画で発見された古文献にはこう記されていた。


『零位とは、属性に属さぬ“第八の座標”である。

これを得た者は、神々の理を繋ぎ直す“器”となる。』


カシアンはこれを逆手に取り、


「ゼンを研究すれば、

神々の理そのものを人工的に再現できる」


と考えた。



● 3.人工魔導兵の完成には「零位核」が必要


現在カシアンが進めるプロジェクト名は――


✦《タイプ・ゼロ計画(TYPE ZERO)》


“理に属さぬ魔導核を人工生成し、

人の意思を超える兵士(人工魔導兵)を作る”


この軍事計画には三段階ある。


1. 《零位核(Null Core)》の模倣

2. 宿主となる“人工魂(Synthetic Soul)”の生成

3. 量子魔導構造体「ゼロ・フレーム」への定着


ゼンの“オールノッキング”は、

この計画の基礎理論となっている。




■ Ⅵ. カシアンの目的 ― “帝国を守ること=監視すること”


カシアンが求めるのは、

力ではなく “統治の完全化” である。


彼は口癖のように言う。


「光の背後には必ず影が必要だ。

影が濃いほど光は輝く。」


帝国の矛盾や腐敗は理解している。

だがそれは“管理されるべき一部の汚れ”であり、

“体制を維持するために必要な影”だと考えている。


彼にとって“善”とは均衡であり、

“悪”とは予測不能な揺らぎ。


だからこそ――

ゼンのような“理外の存在”は最も危険。


フェルミナの逃亡を追跡するのも、

「ゼンに会うことで、自らの研究に役立てる資料が手に入る」

という理由からだった。




■ Ⅶ. フェルミナ視点の恐怖の正体


フェルミナはカシアンに対してこう語っている。


「優しいようで、どこも見ていない……

まるで、私の心を“情報”としてしか扱っていないみたい。」


カシアンが“微笑む”理由――

それは感情ではなく、


・相手の心理変化の観察

・会話の誘導

・表情筋訓練による印象操作


という、訓練された諜報術に過ぎない。


彼は人の心を理解せず、

ただ

“人間とは操作可能な変数である”

と捉えている。


だから、フェルミナには“優しさの欠片が無い”ように見える。




■ Ⅷ. カシアンとゼンの今後の軋轢


カシアンによるゼンへの認識はこうだ。


「あなたは世界の穴だ。

……塞げるうちに塞がねばならない。」


ゼンが戦場を離れ、

英雄として記録から抹消されたのも、

カシアン派が裏で調整したと言われている。


ゼンにとってカシアンは「帝国の現実」。

カシアンにとってゼンは「理外の脅威」。


この二人の衝突は、

帝国を揺るがす構造的必然となる。




✔ 総括:カシアンとは何者か?


・光を信じない王族

・“影による統治”こそ理想とする合理至上主義者

・蒼光庁の支配者

・深層魔導研究所の重役

・人工魔導兵計画 《タイプ・ゼロ計画》の主導者

・ゼンの存在を「世界の変数」として危険視

・フェルミナを「政治的資源」として評価



【要素/カシアンの狙い】

□ 外交 / 海洋国家ネプトラへの影部隊常駐=実質的影響力の獲得

□ 諜報 / 王太子妃護衛名目で宮廷と宗教勢力を監視

□ 軍事 / 水属性量子層データの取得 → 《タイプ=ゼロ計画》強化

□ 政治 / 祭祀派弱体化 → 王太子派強化 → 帝国派の間接支配

□ 研究 / 零位種研究と水魔導核研究の連動

□ 世論操作 / 婚約を“帝国安定のための義務”として正当化




────────────────────────



✦ 人造魔導兵士プロトタイプ計画


《タイプ=ゼロ計画:第一期/魔神融合兵研究》


――魔神族細胞 × 量子魔導核 × 人体工学

帝国史上最大の“禁忌研究”。



■ Ⅰ. 魔神族細胞の採取経緯(終焉戦役)


終焉戦役最終局面、

ゼンがヴァル=ゼルグを封じた「終焉の塔」には、

戦闘後も魔神族の残滓(霊素・肉片・黒炎性結晶)が散在していた。


白影諜報部と蒼光庁は極秘裏にこれを回収し、

次の三種類のサンプルとして保管した。


● ①《アビス結晶片(Abyss Crystal Fragment)》


魔神の霊素が凝固した黒曜石状の構造体。

量子振動が“負の属性波”を帯び、通常存在を侵食する。


● ②《魔神細胞片(Abyssal Cell)》


完全な生物細胞ではなく、半生体・半霊素の複合構造物。

・細胞核の代わりに“闇核(Dark Core)”を所持

・死後も周囲の魔素を吸収する“自己修復性”

・人の細胞に触れると、魔導回路を崩壊させる毒性


● ③《魂圧残留波(Soul Pressure Trace)》


魔神族が持つ精神波=「終焉の理」の断片。

生体に混ぜ込むと、精神汚染・狂化・破壊衝動を発症。




■ Ⅱ. なぜ魔神族細胞が利用可能となったのか


――背景:量子魔導核研究の飛躍


ゼンの《零位種(Nullborn)》研究を解析する過程で、

深層魔導研究所は“魔導核”の本質に到達する。


● 《魔導核は、属性ではなく「量子位相」から成る》


以下の3点が研究成果として確立した。


① 魔導核は“位相干渉体”である


→ 魔力は物質ではなく、意志と概念の波動。


② 零位核(Null Core)は位相の“完全中立点”


→ 外部属性を破壊せず吸収できる。


③ 魔神族細胞の“闇核”は位相が“負の極”


→ 中立点と接続することで、暴走を相殺できる。


つまり、

「零位の理」で魔神細胞の毒性を安定化できる」

という理論が確立した。


これにより、

魔神族細胞の使用が“初めて可能”になった。




■ Ⅲ. プロトタイプ兵士の設計思想


《魔神細胞 × 人体 × 人工魔導核(Null Core)》


目的は三つ。


1. 人間の限界を超えた魔導耐性

2. 自己修復性と持続戦闘能力

3. 感情や価値観に左右されない“従順性”


戦争で失われた兵士を、

魔神族の力で置き換えられると考えられた。




■ Ⅳ. 実験プロセス(詳細)


▼ Phase 1:魔神細胞の無害化(理論上のみ成功)


零位核の量子場を用い、魔神細胞を3段階に処理:


1. 負位相の反転

2. 魔素吸収の制限

3. 自己修復能力の管理化


→ ただし、これは「試験管内限定」の成功。



▼ Phase 2:魔導核結合試験(人体外)


魔神細胞を人工魔導核 《Null Core ω型》と組み合わせ、

半生命体ハーフバイオコア”を作成。


この段階での特徴:


・高い魔導出力

・暴走率98%

・知能なし

・破壊衝動のみ発生


研究員の間で次の名がついた。


《黒哭核(Black Wail Core)》


暴走時に悲鳴のような魔導波を発するためである。



▼ Phase 3:人体接合試験(問題発生)


人体組織と黒哭核を結合すると、

次の深刻な症状が発生。


● ① 精神汚染(末期では自我消失)

● ② 肉体が魔素化(結晶化・黒炎化)

● ③ 核の暴走による自爆

● ④ 魔神族の残留意識が干渉し始める


この段階で、

“人間兵士への接合は不可能”という結論に達した。


しかしカシアンは、


「ゼンの零位核構造を模倣できれば、

自我を保った魔導兵の生成も可能。」


と判断し、研究続行。




■ Ⅴ. 成功例?――プロトタイプ01号 《アーク・レムナント》


唯一、部分的に成功した模造兵士。


【名称】

アーク・レムナント No.01


【構造】

・人間の肉体に魔神細胞を3%移植

・心臓部に《零位模造核・試作γ型》を埋め込み

・精神制御に“従順の紋章オベディエンス・コード”を使用


【性能】

・身体能力=常人の5倍

・魔導耐性=高

・痛覚=低下

・再生能力=局所限定

・精神干渉=受けにくい


【欠点】

・寿命が極端に短い(約1年)

・魔神意識の逆流による「夢の侵食」

・ゼンの前でだけ魔導波が不安定化する

→ “零位種の本物”には核構造が耐えられないため。


研究員は “自我を保つ魔導兵士の可能性” と評価したが、

カシアンの評価は冷静だった。


「まだ“人間”の域を出ていない。

必要なのは、人を超えた兵士だ。」


彼の目標は、あくまで“神に近い支配兵”。




■ Ⅵ. 第2段階:ゼンのデータ必要性


プロトタイプの限界を突破するためには、

ゼンの零位能力 《オールノッキング》の

“波動記録(Null Wave Signature)”が必須とわかった。


だが――


ゼンの魔導波は存在しないはずなのに、

彼の周囲の物質・魔力が“零位化”する現象が確認されていた。


カシアンの結論:


「ゼン本人を観測しなければ、

完全な零位核は再現できない。」


=フェルミナの旅を利用してゼンに接触する目的の一つ。




■ Ⅶ. 研究が秘匿され続ける理由


表向き――帝国は魔神族研究を禁じている。

しかし裏では以下の理由から続行されている。


● ① 帝国の軍事的優位の喪失


神々の沈黙後、

光魔法の“神聖補正”が弱まり、

他国との魔導戦力差が縮小した。


● ② 雷・火・闇大陸の台頭


属性システムの不安定化に乗じ、

各国が新兵器開発を加速。


● ③ 聖皇国の内部混乱(派閥争い)


“次の聖皇”を巡り争いが激化。

軍事的切り札が欲される。


カシアンは、自派閥の力を維持しつつ、

帝国全体の崩壊を避けるために、

禁忌研究を“必要な影”と認識している。




■ Ⅷ. プロトタイプ研究はどこまで進んでいるのか?


現段階で完成に最も近いモデル:


✦《タイプ=ゼロ試作兵 005〜010号(試験済〜開発中)》


特徴

・魔神細胞を1%以下に抑え、暴走率を回避

・零位核の模倣度が上昇

・戦闘能力は人間の4〜6倍

・精神安定は薬剤で管理

・寿命は2〜5年に延長


問題

・核が“曖昧な人格”を生み始めている

→ 不意に詩を呟く/空の方向を見る/ゼンに似た波動に反応


これは研究班の間で


「意識の揺り戻し(Residual Self)」


と呼ばれている。

魔神細胞か零位模造核の副作用、もしくは両者の干渉だとされる。




■ Ⅸ. 今後の展望と危険性



● 完成形モデルの恐ろしさ


カシアンの最終目標は、


「神々の代替として機能する“無欠の兵士”」


である。


・痛みも迷いもない

・死んでも復元可能

・忠誠心は外部制御

・属性の理に干渉できる


こうした兵士が大量に生まれれば、

七大陸の均衡は即座に崩壊する。



● 最大のリスク


魔神細胞は本来“終焉の理”に属しているため、

大量に融合兵が作られれば、

世界そのものの魔力循環に「闇位相の歪み」が発生する。


最悪の場合――


世界が再び“終焉戦役”と同じ断層崩壊を起こす。


研究所の一部科学者は警告しているが、

カシアンはこう返す。


「必要なのは制御だ。

制御できないのは“光”も同じだ。」


これは、

ゼンの世界観“中庸の哲学”とは真っ向から対立する思想である。




✔ 総括:魔神融合兵研究とは何か?


・終焉戦役で採取した魔神細胞を利用

・零位核の量子的理解が理論基盤

人工魔導兵タイプ・ゼロ計画の一部

・プロトタイプは部分成功まで達している

・ゼンの存在は“究極のデータ”

・フェルミナの旅は、カシアンにとって重要な“誘導装置”


そして最も重要なことは――


この研究そのものが、第二の世界崩壊を引き起こす可能性を秘めているという点である。



────────────────────────



✦ 魔神細胞 ― 組織学的・量子構造学的分析


Abyssal Cell Structural & Quantum Analysis Report

/帝国深層魔導研究所・禁秘区画 第III層資料




■ Ⅰ. 《組織学的分析》――“細胞ではあるが、生命の形式に属さない”


魔神細胞は、通常の生物細胞とは以下の点で決定的に異なる。



● 1. 形態学的構造:三層複合体


魔神細胞は、次の三層で構成されている。


▼ ① 外膜層 《黒炎膜(Abyssal Flame Membrane)》


・黒炎エネルギーが“膜状に定着”したもの

・温度は実体としては低いが、触れた組織の魔力回路を焼断する

・化学的には物質反応を起こさず「魔力構造のみを侵食」


→ 物理的には無害、魔導的には“猛毒”。


▼ ② 中間層 《霊素繊維層(Spiritus Lattice)》


・糸状の霊素が格子状に組まれた半物質

・神経線維のような構造を持つが、情報伝達の代わりに“魔素吸引”を行う

・傷ついても周囲の魔素を吸い上げて再生する(再生速度は生物の百倍)


→ “自己修復能力”の源。


▼ ③ 核構造 《闇核(Dark Core)》


通常の細胞核に相当するが、以下の特徴を持つ:


1. DNAが存在しない

2. 粒子は不規則な量子揺らぎ状態

3. “負位相の魔導波”を放射

4. 霊素情報が常に書き換わっている(=安定しない存在)


→ これは「命令によってではなく“概念”によって動く核」である。



● 2. 生体活動の原理 ― 魔力を“生命エネルギー”として扱う


魔神細胞は、

魔力(mana)=生命力(vitality)

として扱う構造を持つ。


・栄養を必要としない

・酸素を必要としない

・物理的な代謝も存在しない


代わりに、


➡︎ 魔力を吸収 → 負位相へ変換 → 再生・増殖に使用


このため、魔力環境が濃いほど増殖速度が指数関数的に上昇する。

終焉戦役で魔神族が大陸ごと“侵蝕”を起こした理由はこれである。



● 3. 生体融合時の反応


魔神細胞は他種族細胞と接触すると次の三段階で反応する:


1. 魔導回路の“読み取り”

2. 適合・拒絶を判断(意志によらず)

3. 拒絶反応=対象細胞の魔力回路破壊

4. 適合時=対象細胞に“闇位相”を書き込む


→ つまり、魔神細胞にとって、宿主の魔導構造は“情報媒体”。





■ Ⅱ. 《量子構造学的分析》――“存在する前提が違う粒子”


魔神細胞の本質は、「量子魔導現象」である。



● 1. 魔神細胞の核には“実体”が存在しない


闇核は、観測すると存在状態が変わる

“量子不定性核(Indeterminate Core)”である。


・観測前 → 波として広がる

・観測後 → 点として存在

・観測終了後 → 再び波へ戻る


これは量子物理と霊素構造学の融合領域であり、

人間科学では扱いきれない。


研究班の評価:


“存在の前提条件そのものが、人間側と異なる”



● 2. 闇核が持つ「位相」


闇核は魔導量子が負の立場に偏っている。


【名 称/説 明】

□ 正位相 / 生命・創造・安定(主に光・火・水)

□ 負位相 / 終焉・破壊・再生(闇・深淵・魔神族)

□ 零位相 / 中庸・反転・吸収(ゼン、Nullborn)


魔神細胞は常に負位相へ偏り続けるため、

通常の魔導環境と“共存しない”。


→ この負位相を反転させる唯一の構造が零位核。


だからこそ、

魔神細胞研究はゼン(零位種)研究と直結した。



● 3. 魔神細胞の“情報構造”


闇核は、

魂圧(Soul Pressure)=情報波

として次の三要素を常に放射している。


1. 破壊衝動(End-Drive)

2. 存在否定波(Negation Wave)

3. 霊素記憶(Abyss Memory)


霊素記憶とは、魔神族が戦った時の記憶の断片。

魔導核に移植すると、


・幻視

・人格汚染

・精神崩壊


などの現象が起こる。


このため、

魔導兵開発では精神制御が重大課題となる。




■ Ⅲ. 魔神細胞と“量子魔導核”の相互作用


魔神細胞を制御するには、

量子魔導核の“位相中和”が必要である。



● 1. 零位核(Null Core)が必要不可欠な理由


零位核には次の性質がある。


▼ ▼ 1. 位相差を“ゼロ化”する


→ 魔神細胞の負位相を一時的に無害化。


▼ ▼ 2. 魔力を属性化せず“素のまま”扱う


→ 魔神細胞の魔力変換を阻害できる。


▼ ▼ 3. 核自身が“意志を持たない”


→ 魔神細胞の侵食に耐える。


カシアンがゼンの研究に執着する理由はこれ。


零位核の“本物”を再現しない限り、

魔神細胞の完全制御は永久に不可能。




■ Ⅳ. 魔神細胞の危険性(量子・組織の両観点)


魔神細胞は、

細胞でありながら“概念”として生きている。



● 1. 組織的危険性


・魔導回路を破壊

・生命組織の魔素化

・自己再生による不死化

・細胞間通信が暴走して広域汚染



● 2. 量子的危険性


・負位相の波動で周囲の魔力環境を乱す

・魔導装置の誤作動

・霊素に干渉し幻視・精神汚染

・魔神族の“残留意識”による人格侵入



● 3. 世界構造レベルの危険性


魔神細胞は“終焉の理”に属しているため、

一定以上の量が存在すると、


✦ 世界の魔力循環そのものを負位相へ偏らせる。


→ 七大陸の魔導流が乱れ、

→ 断層崩壊(終焉戦役時の環境汚染と同じ現象)が再発する。




■ Ⅴ. 総括:魔神細胞とは何か?


✦ 生物としての細胞ではなく、


✦ “終焉という概念を細胞化した存在”。


・物質と霊素の中間

・生命と概念の中間

・存在と非存在の中間

・自己修復を行い、

・魂に干渉する“情報体”であり、

・位相が負へ極端に偏った量子構造。


そして――


唯一対抗できるのは“零位(Null)”の理だけ。


つまりゼンの存在そのもの。


だからこそ、

カシアンはゼンを必要とし、

魔導兵計画は危険な均衡上で成立している。



────────────────────────



✦ 魔神細胞:霊素結晶化プロセス


Abyssal Cell → Spiritus Crystal Core への転位現象


――“細胞でありながら結晶へ変わる”禁忌の変質。



■ Ⅰ. 概要:「霊素結晶化」とは何か?


魔神細胞が一定条件下で

“細胞としての構造を捨て、結晶体へと変化する現象”

を指す。


この結晶は単なる鉱物ではなく、


・霊素(spiritus)

・量子魔導波

・負位相の概念情報


を凝縮した魔導的情報体(Information Crystal)であり、

終焉戦役で発見された《アビス結晶片》の生成源でもある。


結論を先に述べると、


魔神細胞の霊素結晶化とは、

“魔神族の死と再生のプロセス”の一部である。


魔神族は死しても“概念として再生可能”であり、

その中間段階として結晶形態になる。




■ Ⅱ. 結晶化の進行条件


魔神細胞が霊素結晶へ移行するには、

以下の4条件が重なる必要がある。



● ① 魔力濃度の極端な偏り


・高魔力環境(神殿核周辺、戦場の魔力暴走地帯)

・低魔力環境(魔力枯渇地、零位化空間)


どちらでも発生するが、性質が変わる。


【環境/結晶の特徴】

□ 高魔力環境 / 黒炎色・攻撃的・拡散性が高い

□ 低魔力|零位環境 / 無色透明・安定・情報核として保存される


ゼンの周囲で“透明結晶化”が起こっていた理由はこれ。



● ② 宿主の死または精神崩壊


魔神細胞は宿主生命力が失われると、

細胞としての活動を停止し、情報体へ“逃避”する。



● ③ 魔神族由来の「魂圧残留波」への共鳴


闇核が持つ負位相波が、

霊素を結晶の“格子構造”へと組む。



● ④ 位相差の固定


魔神細胞は本来、量子的に揺らいで存在するが、

以下の要因で位相が固定されると、

物質化(=結晶化)が起こる。


・強烈な魔導衝撃

・精神波の完全停止

・零位核との接触

・魔獣や魔導装置による封印術




■ Ⅲ. 結晶化プロセス(段階モデル)


魔神細胞が結晶化する過程は、

深層研究所では次の“六段階”として分類されている。



▼ Phase 1:細胞崩壊(Cellular Collapse)


外膜《黒炎膜》が消失し、

内部の霊素繊維が露出。


・宿主の死

・魔力暴走

・強い負位相刺激


によって引き起こされる。



▼ Phase 2:霊素凝縮(Spiritus Condensation)


細胞内部の霊素繊維が縮まり、

核 《闇核》へ向かって集中する。


目視では、

“黒い糸が核へ吸い込まれる”ように見える。



▼ Phase 3:量子位相の崩壊(Quantum Collapse)


闇核の“不定性状態”が限界に達し、

波動としての存在が崩れる。


この瞬間、


・負位相魔導波

・魂圧記憶情報

・霊素


がすべて一つへ統合される。


研究員はこれを、


“概念の圧縮”


と呼ぶ。



▼ Phase 4:結晶格子の生成(Crystal Lattice Formation)


統合された負位相情報が、

空間の魔導構造に干渉し、

独自の結晶格子(Abyss Lattice)を生成する。


これは本来の三次元格子ではなく、

部分的に“位相のねじれ”を含む多面的構造。


例えるなら:


・結晶の内部に“空間の継ぎ目”がある

・時間の流れが不均一

・魔導波が外部と混ざらない


など、常識外の性質を持つ。



▼ Phase 5:霊素の固定化(Spiritus Fixation)


霊素が格子に完全に組み込まれ、

結晶として独立。


この段階で、

魔神細胞は“生体”を完全に捨て、


→ 半物質

→ 半霊素

→ 半概念


となる。



▼ Phase 6:霊核結晶の完成(Abyss Core Crystal)


完全に結晶化した状態。


代表例:

《アビス結晶片》(終焉戦役で大量生成)


特徴:

・魔導波が外に漏れない

・空間を侵蝕しない

・高い情報密度

・魔神族の魂圧“断片”が残留する


これこそが、

魔導兵研究に利用されている“核心”である。




■ Ⅳ. 結晶化した魔神細胞の性質



● 1. 情報体としての側面


霊核結晶は、“魔神族の記憶”を保持する。


記録されている情報は:


・戦争の記憶

・属性への理解

・魔導の構造

・世界の成り立ち

・魔神族の“目的”

・恐怖・怒り・虚無 などの感情波


このため、魔導核に組み込むと、

感情汚染(Abyssal Echo)を引き起こす。



● 2. 魔導エネルギー体としての側面


・魔力を吸収せず

・魔力に干渉せず

・しかし魔力への“概念影響”は残る


これはつまり:


結晶自身は安定しているが、

周囲の魔力概念に影響する“影”を落とす。


これが魔導兵暴走の根本原因のひとつ。



● 3. “零位核”との特異的相性


零位核は結晶の負位相を

強制的に“中庸化”できる。


→ 本来は不可能な

「魔神細胞の制御」が可能になる。


ただし:


量子情報の一部が“流れ込む”可能性がある。




■ Ⅴ. 結晶化は「魔神族の死」か?


半分正しい。

半分は間違い。


魔神族は、肉体が消滅しても、


▼ 霊核結晶として“存在の種”を残す。


次の条件が揃えば再生可能。


・適切な魔力環境

・概念情報の補完

・負位相の揺らぎが戻る

・宿主となる器(肉体 or 魔導核)


つまり:


結晶化は、魔神族にとって“眠り”に近い。

再び世界へ戻る“中間形態”。


そのため帝国上層部は

結晶片の大量保管を極秘扱いにしている。




■ Ⅵ. 総括:霊素結晶化とは何か?


✦ 魔神族が死ぬとき、細胞は霊素へと縮退し、


✦ 概念情報を保持する結晶体へ変化する。


それは――


・魔力の負位相を凝縮

・魂圧と記憶を格納

・時間と空間に干渉

・“再生の種”として機能


そして唯一、

ゼンの零位核だけがこれを安定化できる。




■ 関連項目



✔ 魔神細胞の“霊素結晶化”過程

✔ 負位相波動の数学的モデル

✔ 闇核の量子状態の周期変動データ

✔ 魔神細胞と人類の遺伝子反応表

✔ 魔神細胞の完全融合実験の失敗例(倫理的描写含む)



────────────────────────



✦ 「零位核(Null Core)」


――“世界がまだ属性を持たなかった頃の核”



■ Ⅰ. 定義:零位核とは何か?


零位核とは、


*七属性が発生する以前の“原始魔導領域”に存在した、

すべての属性が分岐する前の*中性点(Null Point)を内包した核。


魔導核や魔神細胞を研究する中で、

“属性を持たない魔力領域”が確率的に観測されることがあり、

これがのちに「零位核」と命名された。


研究者が恐れと敬意を込めてこう呼ぶ。


「理に属さず、理を許容する核」


属性魔法の基盤(火・水・風・土・光・闇・雷)が

発生する前の原初のゆらぎを保持しており、

物理・魔力・精神波のいずれにも干渉せず、

しかし“すべてを受け止める能力”を持つ。


ゼンの《オールノッキング》は、

まさにこの“零位核の量子的特性”が生体化したもの。




■ Ⅱ. 発見の経緯


● 1. 終焉戦役後、魔神細胞の結晶化現象を研究


魔神細胞の“霊素結晶化”の解析中、

通常の魔導核では説明不能な“負位相の歪みを吸収する現象”が確認された。


● 2. 属性の干渉を「完全に無効化する領域」の存在


七属性のいずれも反応せず、

しかし魔神の負位相情報のみを中庸化できる領域が発見された。


● 3. ゼンの細胞に一致する特異位相


帝国魔導研究所は、ゼンの細胞・魔力痕跡を解析した結果、

その“空白のような波長”が同じ構造を持つことを確認。


→ ゼンが零位核の「生体コア」を持つ唯一の存在と判明。




■ Ⅲ. 量子魔導学的構造


零位核の構造は通常の魔導核とは根本的に異なる。



▼ ① “属性波”が存在しない


七属性魔力は波として分類されるが、

零位核ではそれが一切観測されない。


■ 通常の魔導核

火・水・風・土・光・闇・雷の波が層状に存在。


■ 零位核

波が“無波形(Flat State)”で存在。

しかし、外部の波を“吸収し、無形化(Flattening)”できる。



▼ ② 状態は量子揺らぎのまま“固定されない”


通常の魔導核は安定状態を持つが、

零位核は“常に未確定”であり、

確率分布のまま固定されない。


これは物理的にいうと、


観測するまで属性が決まらない“原始魔力”の特性を維持している。



▼ ③ 外界のエネルギーを「ゼロ座標」へ還元


どんな属性、衝撃、魔力、呪いでも

零位核はそのエネルギーを中性化し、


・消散

・拡散

・再放出(ゼンの必殺技)


と変換可能。


→ 《オールノッキング》の“受け流し”はこれ。



▼ ④ 魔神細胞の負位相を“浄化”可能


魔神細胞の負位相は通常の魔導核では暴走を起こすが、

零位核はそれを概念レベルで無害化できる唯一の核。




■ Ⅳ. 世界創成との関係


神話構造と一致するように、零位核は次のように説明される。



● 1. 神々誕生以前、“前界ゼロス”に存在した力


世界が七属性へ分岐する前、

ゼロスでは属性が未分化のまま漂っていた。


零位核は、

その“未分化魔力”の断片が生き残ったもの。


つまり、


零位核 = 世界そのものが持っていた“原初の基盤エネルギー”。



● 2. 神と魔神は“零位核”から分かれた


七神(創造)と魔神族(否定)は、

原初のエネルギー=零位から相反する方向に分岐した存在。


ゼンがその「中心」に立てるのは、

世界の理から見れば当然なのだ。




■ Ⅴ. ゼンの体内にある零位核の特性


ゼンの零位核は、生体化されている点で異質。



▼ 1. 魔力ゼロ体質は“欠落”ではなく“原初状態への回帰”


魔力がないのではなく、

すべての魔力が核に吸収され中性化されてしまうため、

魔法としての出力がないだけ。



▼ 2. 「外部魔力を一時的に蓄積し、再配置する」能力


核は外部の属性を

・受け止め

・崩し

・均一化し

・必要に応じて放出


できる。


ヴォイド・カウンターの原理はこれ。



▼ 3. 第三者に干渉されない


七神も魔神も、

ゼンの核へ干渉できない。


理由:

“属性を持たないものに、属性存在は触れられない”ため。


→ ゼンが神殿核の暴走を止められた物語上の合理性。




■ Ⅵ. 帝国研究所(カシアン派)が注目した理由


カシアンたち魔導研究機関が零位核に固執するのは、


■ 1)魔神細胞の暴走を抑える唯一のコアだから


魔導兵にとって最大の問題は“アビス汚染”。


零位核を模した人工核が作れれば、


・魔導兵の暴走がなくなる

・魔神の力を安全に利用できる

・新時代の兵器基準が確立できる


帝国の軍事的価値が跳ね上がる。



■ 2)属性文明の上限突破が可能だから


七属性は世界の理によって制限されている。


しかし零位核は“理そのものの外”にある。


つまり:


属性の制限を超えた魔導が可能になる。

(事実上の“禁呪の上位体系”)



■ 3)ゼンを“再現できる”可能性


帝国が密かに狙うのは、


ゼンの能力を人工的に再現し、帝国の盾とすること。


ゼン本人を利用するより、

“量産可能な兵器”を求めている。




■ Ⅶ. 零位核は複製可能か?


結論:


現在の技術では不可能。ただし“部分的模倣”は可能。


魔導研究所が作っているのは、

零位核そのものではなく、


・零位波干渉炉(Null Interference Reactor)

・中性化魔導核(Pseudo-Null Core)

・負位相遮断炉(Abyssal Shield Core)


といった“模倣構造”。


ただし、完全再現は至難。


理由:


零位核の本質は“未確定性”であり、

固定化した瞬間に零位ではなくなってしまうから。




■ Ⅷ. 世界への影響


零位核の存在は、

世界の理(七属性)の根本に関わるため、


・神殿機関は非公開扱い

・研究は国家機密最上位

・魔神族復活の鍵にもなり得る

・世界の均衡を揺るがす危険性


特に:


ゼンが死んだ場合、

零位核は“核崩壊(Null Collapse)”を起こし、

周囲の属性を中性化する属性死滅領域を形成する可能性がある。


カシアンが密かに

「ゼンが死ぬ前に核を回収すべき」と考える理由はこれ。




■ Ⅸ. 総括:零位核とは何か?


✦ 世界創世以前の“未分化魔力”。


✦ 七属性の源泉となる中性エネルギー。


✦ 魔神族の負位相を無害化する唯一の核。


✦ ゼンの能力 《オールノッキング》の根幹。


✦ 帝国が最も欲する“完全中和の理”。


✦ 世界の均衡を左右する“禁断の原始核”。


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