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帝国魔導師団


【帝国魔導師団 組織概要資料】


発行:帝国戦略軍統合本部


編纂日:帝国暦1385年3月



■ 帝国魔導師団(Imperial Mage Divisions)


帝国魔導師団(ていこくまどうしだん、Imperial Mage Divisions)は、アルザリオス帝国において編成される国家直属の魔導戦術部隊群である。セレスティア帝都軍に所属し、全十二の特化師団で構成されている。各師団は魔導適性や専門分野に応じた独立編成を行い、戦場における“戦略的魔導展開”の中核を担う。防衛・攻撃・情報・召喚・時空操作といった多岐にわたる任務に対応し、帝国軍の中でも最も機密性と魔導技術水準の高い部門とされている。




■ 概要


帝国魔導師団は、従来の歩兵・騎士団・空挺部隊では対応が困難な超常戦域・異界干渉・高度戦術戦に対処するために編成された精鋭部隊である。その起源は数世紀前の「第一次大陸統一戦争」に遡るが、現在の形で制度化されたのは、魔導文明の高度発展期である第三期歴後期とされている。


各師団は独立した指揮系統を有しており、師団長・副団長による指揮のもと、戦略・戦術・研究・支援などの多段階任務を遂行する。帝都セレスティアに本拠地を置き、帝国全域および対外作戦への迅速な出動が可能なよう、戦術転送術・飛空挺・魔導通信網などによる即応体制が整備されている。




■ 帝国魔導師団:戦略的構成一覧


帝国魔導師団は、以下の十二師団で構成されている。各師団は明確な術式専門分野を持ち、戦場での運用において“多層的な魔導連携”を実現している。



【師団名/通称/戦術分類/創設年/本拠地】

□ 第一師団 / 白翼師団 / 皇都結界防衛・聖術運用 / 帝暦1202年 / 聖域塔セラフ

□ 第二師団 / 紅の大盾 / 前線防衛・重術機構戦 / 帝暦1202年 / 鉄陣砦バルデン

□ 第三師団 / 翠翼の眼 / 情報諜報・霊視分析 / 帝暦1205年 / 星視の尖塔

□ 第四師団 / 雷鋼連隊 / 電撃機動・機械戦支援 / 帝暦1211年 / 雷軌要塞

□ 第五師団 / 竜の矛 / 航空戦術・雷風特化 / 帝暦1214年 / 空挺基地スカイグリッド

□ 第六師団 / 翠穹の梢 / 環境制御・補給線構築 / 帝暦1215年 / 森境中枢ノア・グローヴ

□ 第七師団 / 戦場の紡ぎ手 / 兵站管理・戦線制御 / 帝暦1216年 / 軍営都市マクレイル

□ 第八師団 / 幻影律団 / 召喚術・異界干渉 / 帝暦1216年 / 幻域拠点ティル・ノ・ナグ

□ 第九師団 / 血契の紅星 / 禁呪・契約術 / 帝暦1216年 / 血印聖堂ナムラト

□ 第十師団 / 獣月の縛鎖 / 獣化術・奇襲戦 / 帝暦1216年 / 月荒原ズィ・ラガーン

□ 第十一師団 / 時環の巡礼者 / 時術・確定未来操作 / 帝暦1216年 / 転界宮フォル・クロノス

□ 第十二師団 / 魔導解析院 / 研究開発・技術支援 / 帝暦1220年 / 魔導学院クレメンタ




■ 組織戦略的役割と特色



◆ 第一〜第三師団:皇都防衛・情報制圧軸


・第一師団「白翼師団」:神聖術と白魔導の精鋭部隊。皇族直轄の防衛任務を担い、帝都全域の“結界中枢”と連動する。攻めではなく守りの要。帝国の心臓とも言える存在。

・第二師団「紅の大盾」:前線戦術の主柱。魔導装甲による正面制圧能力で、帝国軍地上部隊との連携を最も重視する師団。災害時には“移動要塞”として市民を守る役割も。

・第三師団「翠翼の眼」:霊視・幻術解析を駆使する情報部隊。作戦支援、結界探知、心理干渉任務に特化し、他師団への戦術助言・戦況解析を行う“帝国の目”。



◆ 第四〜第六師団:戦場制圧・環境掌握軸


・第四師団「雷鋼連隊」:雷撃術と機械術の複合戦術。短時間で敵陣に突入し殲滅する“突撃専門師団”。都市制圧・要衝奪還作戦に頻用される。

・第五師団「竜の加護と魔導の矛」:空中戦術を担当する空挺戦部隊。飛空挺の開発と実戦運用を担い、“制空権”の確保という点で帝国唯一無二の部隊。

・第六師団「翠穹の梢」:水・植物・生命術の制御により、戦場環境を“味方に変える”師団。防衛線の再構築や包囲網からの脱出支援にも活躍。



◆ 第七〜第九師団:後方戦略・特殊作戦軸


・第七師団「戦場の紡ぎ手」:通信・補給・転送術により、戦線全体を“制御”する戦術中枢。各師団の“心臓部”と呼ばれ、補給ミスが許されない部隊。

・第八師団「幻影律団」:召喚術の専門師団。戦場に霊獣や異界の存在を展開し、現実法則そのものを変える。リスクは大きいが、戦況を一変させる力を持つ。

・第九師団「血契の紅星」:禁術・契約・儀式を司る代償魔導専門部隊。極限的な状況で“死を越える力”を行使し、損耗覚悟の一撃を担う“戦術の切り札”。



◆ 第十〜第十二師団:奇襲・時間・学術支援軸


・第十師団「獣月の縛鎖」:獣化術と奇襲を得意とする“攪乱部隊”。変身術・呪獣使役による“非人間的戦法”で、遊撃・偵察・暗殺任務に対応。

・第十一師団「時環の巡礼者」:時間魔導に特化。未来予測による戦局支配、戦術遅延、戦闘介入を得意とする。記録上“存在しない師団”とされる機密組織。

・第十二師団「魔導解析院」:全師団を支える学術中枢。前線には出ないが、新術式、魔導兵装の開発・実験を担い、事実上の“軍の頭脳”。




■ 現在の情勢下における戦略的価値(1385年時点)


・帝国周辺諸国との緊張関係、ならびに霊素異常の頻発を受け、各師団は分散配備から中央集約型待機体制へと移行中。

・特に「第十一師団」および「第九師団」は、未確認魔導災害への対応・調査任務を頻繁に行っており、機密度の高い作戦が増加傾向にある。

・「第一・第三・第七師団」は、帝都防衛における三重結界の中核を形成しており、有事には即座に“皇都自壊阻止作戦”を展開する任務を負う。




■ 特徴



◆ 特化編成と独立性


帝国魔導師団は、各分野において「最大戦果」を引き出すことを目的とし、各師団の術式・運用規格が完全に最適化されている。師団間連携は存在するものの、現場での即応を最優先とするため、各師団は独立した判断・戦術遂行が可能な構造となっている。



◆ 高度な任務遂行能力


一般兵士では対処できない超常災害、異界災厄、幻術戦、時空変異などにも対応可能。特に第11師団「時環の巡礼者」や第9師団「血契の紅星」など、禁術・時間干渉・霊素操作を行使できる部隊は、存在そのものが軍機密に指定されている。



◆ 組織的補完性


後方支援・治癒・戦術管理(第6・7・12師団)と、前線戦術(第2・4・5・10師団)、情報諜報(第3師団)などのバランスが巧みに取られており、単独師団による自立行動と、複数師団の連携行動のいずれにも対応できる柔軟性を持つ。



◆ 運用体制


本部はセレスティア帝都の軍中枢区に位置し、各師団にはそれぞれの専門分野に応じた研究塔、演習場、召喚円、霊素解析棟などが配備されている。部隊の移動には「魔導転送術」や「軍用飛空挺」が主に使用され、常時即応可能な「高速展開部隊」も存在する。


各師団の師団長は軍中将または少将相当の階級を持ち、帝国議会からの要請、もしくは皇族からの特命を受けて行動する場合もある。副団長以下には術式開発担当、戦術統括官、召喚管理官などの特任役職が設けられている。



◆ 評価と懸念


帝国魔導師団の存在は、他国との戦力格差を大きく拡げる要因とされており、国際的な魔導兵力均衡に対する懸念も存在する。一部の師団(第9・11・8など)に関しては、その力が“軍事的枠組み”を超えた異能干渉領域に達しており、使用制限や監視機関の必要性が議論されている。


また、戦後には“非人道的術式”の使用や、“魂位転換術”による兵士損耗の問題も浮上しており、帝国上層部は段階的に倫理監察部の権限強化を進めている。



◆ 関連項目


・セレスティア帝国軍

・魔導兵装

・時間魔導

・禁術分類リスト

・終焉戦役(過去の魔導大戦)

・黒鐘局(情報特務機関)




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



■ 帝国軍第一魔導師団 ― “白翼師団ハクヨクしだん


【概要】

帝都セレスティア防衛を一手に担う、対魔防衛と結界展開に特化した守護師団。白魔導と神聖術に秀でた術士たちで構成され、都市結界の維持・聖域管理・災害対応なども任務に含まれる。最も“皇都直属”色の強い師団。


【師団長】

◉ セリス=リューウェル(Celis Luwel)

“聖域の盾”の異名を持つ白銀の結界術師。冷静かつ理論重視だが、私情を挟まない信念の強さから皇族からの信頼も厚い。


【副団長】

◉ フェルナ・ルーシェ(Ferna Roushe)

若き才媛の神官術師。回復・浄化に特化しながらも戦場での指揮力に優れ、後方支援の天才。




■ 第二魔導師団 ― “紅の大盾クリムゾン・バリスタ


【概要】

重装術師と魔導装甲兵による“正面突破”に特化した重戦術部隊。術式による物理防御・魔力増幅装甲・陣地制圧能力に優れ、帝国軍の“矛と盾”の“盾”にあたる存在。


【師団長】

◉ ハルザン=ゴルヴァ(Halzan Golva)

鉄壁の巨漢。土と火を複合させた“マグマ装甲術”を操る戦場の巨神。直情型だが部下想いで人気が高い。


【副団長】

◉ マリア=エルステア(Maria Elstear)

補助結界術に長けた策士型の副官。ハルザンの豪胆さを計算と知略で補い、戦術バランスを保つ。




■ 第三魔導師団 ― “翠翼のエメラルド・サイト


【概要】

偵察・索敵・対幻術戦に特化した諜報支援部隊。霊視・透視・結界探知・幻影解析などに長け、情報操作や幻影魔術の対処では軍内随一の精鋭を誇る。


【師団長】

◉ ヴァイン=レクタス(Vine Lectas)

“視る者の王”。千の視点を操る霊視術者。感情を見せないが、全師団を把握する観察力で絶大な統率力を持つ。


【副団長】

◉ エリカ=ラヴィス(Erica Lavis)

幻術に精通した女性術師。奇策を好み、敵に対して“見せたくない現実”を幻として具現化させる。




■ 第四魔導師団 ― “雷鋼連隊らいこうれんたい


【概要】

雷属性魔導に特化し、空間加速・電撃戦術を展開する高速強襲部隊。特に機械兵団や空挺隊との連携運用に長け、連鎖雷撃を用いた“面制圧”に強みを持つ。


【師団長】

◉ ガロム=ヴェルスタ(Garom Velsta)

放電陣の巨人。雷電を肉体に纏いながら突撃する“人体落雷兵”。雷の魔導兵装を軍に導入した立役者。


【副団長】

◉ リア=ナースベルグ(Ria Narsberg)

空間雷撃の権威。精密射撃型の術士で、狙撃雷術で敵指揮官を無力化する暗殺的戦術を好む。




■ 第五魔導師団 ― “竜の加護と魔導の矛”(※先述内容参照)


【師団長】

◉ グラハム=レオニード(“雷の獅子”)

風雷剣の使い手。戦場を縦横無尽に駆ける戦術家。


【副団長】

◉ ミルディア=クルス

航空術式開発者にして“空の設計者”。




■ 第六魔導師団 ― “翠穹のすいきゅうのこずえ


【概要】

植物・水・生命操作系術式に特化した環境適応型部隊。戦場そのものを“緑化”し、敵の行動を封じる“自然制圧戦術”が主軸。後方治癒・補給にも活躍。


【師団長】

◉ イルメリア=フォーン(Ilmelia Forn)

森の巫女と呼ばれる自然魔導士。生態系に溶け込むことでその場の“神意”を感じ取るという。


【副団長】

◉ ラズ・アグレイル(Raz Agreil)

医療魔術と毒草術の使い手。治癒と破壊の両極を操る“笑わない薬草士”。




■ 第七魔導師団 ― “戦場の紡ぎバトルワーデン


【概要】

前線司令・通信・補給・交戦区域制御を担う“戦場管理特化部隊”。主力戦術よりも兵站構築、魔導ルート制御に長け、“勝たせるための師団”として知られる。


【師団長】

◉ ヴェルド=ミルゼ(Verde Milze)

“戦場設計者”の異名を持つ男性将官。味方全体の動線を可視化し、魔導線を最適化する。


【副団長】

◉ トリナ=ケイレル(Trina Keiler)

空間転送術の権威。前線補給部隊を“次元跳躍”で支援する。




■ 第八魔導師団 ― “幻影律団げんえいりつだん


【概要】

召喚術特化部隊。幻獣、霊獣、古代霊といった存在を召喚し、戦場に“異世界の法”を展開する。扱いが難しく、失敗は大惨事を招くが、その力は絶大。


【師団長】

◉ ファウスト=ラーディア(Faust Radia)

異界と交信する召喚師。口数少なく、己の理論と霊獣たちとだけ会話する。


【副団長】

◉ ノエル=ユステリア(Noel Yusteria)

制御型召喚術に長けた女性。ファウストの危うさを補佐する調整役であり“異界の飼い主”。




■ 第九魔導師団 ― “血契の紅星けっけいのこうせい


【概要】

契約魔術・血魔術・儀式術に長けた“代償魔術”専門部隊。術者自身の代償や禁術を許容し、極限的な状況で戦果をもぎ取る“禁忌戦闘師団”。


【師団長】

◉ ディス=マクヴェル(Dis Makvel)

“契約の書”を纏う血魔術の第一人者。禁呪により寿命を十年単位で削っており、影の英雄として扱われる。


【副団長】

◉ ミネア=クローディス(Minea Clodis)

“儀式管理者”。契約違反の制御・誓約違反時の粛清も彼女が担う。




■ 第十魔導師団 ― “獣月の縛鎖じゅうげつのばくさ


【概要】

獣化術・変身術・呪獣制御に特化。人と獣の狭間で戦うハイブリッド型部隊で、奇襲・攪乱に長ける。


【師団長】

◉ カロ=フェンガル(Karo Fengal)

狼獣人の長で、自らも完全変身可能。人外の規律を軍に持ち込んだ野性と理性の狭間の男。


【副団長】

◉ セリーナ=ナスティ(Serina Nasti)

呪獣専門調教師。己の身体に封印した“獣”を使い分ける。




■ 第十一魔導師団 ― “時環の巡礼者クロノ・ウォッチャー


【概要】

時間魔導と未来予測系術式に特化。時系列を限定的に操作し、“確定未来”を一手だけ変える。機密性が高く、師団そのものが存在しないと記録されることも。


【師団長】

◉ アル=シェイド(Al Shaid)

時間の監視者。過去に干渉せず、未来のみを見通す男。“一歩先”の指揮を下す。


【副団長】

◉ クラリス=ヴェント(Claris Vent)

“時間封印術”の開発者。緊急時には時間を“止める”禁術を行使可能。




■ 第十二魔導師団 ― “魔導解析院アーケイン・アカデミア


【概要】

軍属の研究機関。新術式、魔導兵装、霊素論、霊獣学、異界干渉理論など、魔導の学術全般を担う。戦場には出ないが、その知識は全師団の礎。


【師団長】

◉ リュシア=フロース(Rucia Frosse)

“静寂の観測者”。白衣の知将にして、魔導学の権威。理論と倫理の両面を重んじる。


【副団長】

◉ カデル=トマニク(Kadel Tomanic)

戦術解析と魔導兵装設計を主に担当。現場主義の技術屋。


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