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500歳からの異世界奴隷召喚~召喚されたと思ったら500歳の魔女が奴隷だった~  作者: 絢野悠
7話 べ、別に真実なんて知りたくなんてないんだからね!
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 朝起きて、はじめに感じたのは違和感だった。


 それもそのはずだ。今まで寝食を共にしてきたノアがこの部屋にいないのだ。人ひとりいなくなるだけでこんなにも寂しくなるものなんだな。


「なに物欲しそうな顔してベッド見つめてるの? 怖いんだけど」


 と、ヴァルが俺の肩にアゴを乗せてきた。どうしてコイツはこんなにも甘くていい匂いがするのか。髪が長いからか、それとも女性特有のなにかがあるのか。


「重いぞ。それに怖いってなんだよ」

「怖いでしょ。女の子が二人で寝てるベッドを無表情で見つめてたら」


 ちなみに俺が見てるベッドにはガーネットとキャロルが眠っている。


 俺の好みとしてキャロルを見つめているのは正解かもしれないが間違いなくガーネットが邪魔だ。


「アンタ、また失礼なこと考えてたでしょ」

「別にお前に対して負の感情を向けてるわけじゃないんだからいいだろ。頭にアンテナでもついてんのかよ」


 っていうかなんでわかるんだよ。


「そんなに寂しかったら会いにいけばいいだけでしょ」

「まあそれもそうなんだが……」


 三日ほど滞在することになり、ノアはその間家族と暮らすことになった。いずれ帰ってくるつもりがあるのであれば家族との親交を深めるのも大事だと思ったからだ。というかリヴィアのあの顔を見ていたらそのまま連れ帰るなんてできるわけがない。


 その代わりに次からお母さんと呼ばせてもらうことに決まった。まあ勝手に決めたことだしノアにすごい顔されたけど。


「何年も離れ離れになってた家族がようやく同じテーブルを囲むことができるようになったんだぞ? 普通に考えて他人が介入する余地なんてないだろ。ちょっと寂しくなったからってノアの家に乗り込んでくなんてどんだけ空気読めない奴だっつー話よ」

「まあ、たしかにねえ」


 ヴァルが難しそうな顔をした。難しい、というのは表情から感情が読み取りづらいという意味での難しいだ。


「ほら、私家族っていうのはもうよく覚えてないから」

「ここで長生きの弊害出ちゃったかー」

「弊害って言いうな。でもなんだろ、ママのこととかパパのこととかもうほとんど覚えてないのよ。勘違いしないでほしいんだけど思い出とかは当然覚えてるからね? ただ、その、家族っていうのはどういうものなのかとか、家族に対しての感情だとか、そういう主観的な感情がよく思い出せないっていうか」


 眉根を寄せて顔を伏せてしまった。コイツはコイツなりに寂しがっているのかもしれない。誰かが隣にいないとか孤独だとかそういう寂しさじゃない。過去にすべてを置いてきてしまったことによる寂しさだ。ヴァルが生きていた時代を一緒に生きてきた人など誰も生きていないのだ。


 そんなこと、フェニックスの羽を食う前からわかってたことだろうに。


「寂しいのか?」


 ついそんなことを口にしてしまった。


「私が寂しそうに見える?」

「見えなかったら言わないだろ」

「じゃあ私が寂しいっていったらどうするの? なにかしてくれるの?」


 ヴァルが俺の肩からアゴを外し、そっと後ろに退いていった。後ろでは小さくため息が聞こえてきた。


 だから俺は振り向いて彼女の目を見つめた。


「な、なによ」


 顔を赤くしてヴァルがどもった。


 確かに男女が薄着でベッドの上で見つめ合ってるって考えればこの反応もまあそこそこ普通の反応なのかもしれない。


「遠慮はしなくていい」

「なにを今更遠慮することがあるって?」

「寂しかったら寂しいって言えばいい。解消できるかどうかは別の話としても、お前の感情や気持ちを共有することくらいはできるだろ」

「なによいきなり、どうしちゃったの?」


 へらへらと頑張って笑う素振りはしているが、俺の態度に戸惑っていることくらい手に取るようにわかる。


 ヴァレリアとは、きっとそういう女だ。


「取り繕わなくていい。いや、無理矢理隠したりしない時間があってもいい、って言った方がいいかもしれんな。年上だからとか魔女だからとか、たまにはそういうことを気にしなくていい時間があってもいいだろ」

「気にしたことなんてないけど?」

「嘘だ。バレてるぞ。まあそこまでしなきゃならないくらいお前の考えが強固だったら俺もこれ以上なにも言わないけどな」


 もう一度ヴァルに背を向けてベッドの脇に移動した。そして立ち上がろうかとしたその時、背中に柔らかな衝撃があった。


「ムカつく」


 抱きつかれたのだと気づくのに時間はかからなかった。


「気持ちが晴れないならやめとけばいいのに」

「アンタがムカつかせたんだからちゃんと責任取りなさいよね」


 なんていいながら腕に込められる力が強くなっていく。幸い痛いとか苦しいというのはない。

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