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針子の乙女  作者: ゼロキ
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 「地震?」

 「迷宮が変動する時の揺れ、ですね」

 ルゥルゥーゥさんはエンデリアさんの言葉に、少しだけほっとして顔を上げて、更に青ざめて口を覆った。

 「地面揺れ、恐いです~、くらくら目眩みたいで、気持ちわる、ユイ様、ユイ様は大丈夫ですか?」

 「大丈夫」

 私はつらそうなルゥルゥーゥさんの頭を、支えるように抱きしめて撫でた。

 「人魚でも苦手なの? 地震」

 ミマチさんの問いかけに、ルゥルゥーゥさんは震えながら頷いた。

 完全に腰が抜けて、地面に座り込み、私の腰にしがみついた姿が可哀想で、ベンチが欲しいなと思う。

 「水中とかけっこうゆらゆらしない?」

 「自分で動けない海流に巻き込まれそうな感じで、人魚だからこそ、無理です~っ」

 なるほど?

 


 「火を使った屋台は、火を消せ! 商品を守るより、自分の身を守れ! スープがひっくり返ったら火傷するぞ、離れろ!」

 アージット様が屋台の一つを見て叫んだ。

 パニックになったのかいきなり立ち上がり、スープ鍋を持ち上げかけていた人が、アージット様の声に固まり、周りの人に引き剥がされて再び地面に伏せた。

 別の人が震えながらも、火を消して離れる。

 「このくらいなら、崩落もおきないくらいですけどね。うわ、公園凄い光ってる」

 ミマチさんの声は、地震よりも人々の反応に戸惑っていた。

 「この国で地震は珍しいからな」

 「あ、迷宮の周りに柱が立っているみたい」

 「ミマチ、見えるのか?」

 「見えませんけど、土の精霊の動きで分かります」

 地震は小さくなり、広場の光が消えるのと同時におさまった。

 何もなかったはずの広場には、ベンチとそこに木陰をつくる木と少しの草花がセットで、何ヵ所か設置されていた。

 草木が生えている場所意外は、薄い黄色のレンガのようなタイル張りになって……新たに増えた土の柱の周りで使用方法を赤茶色にして絵と文で示している。

 「終わった?」

 「ベンチと草木は分かりますけど、あの土柱は何でしょう?」

 ミマチさんは指を目元でわっかにして、背伸びをした。

 「遠見」

 小さく呟くと、周囲から魔力が指で作ったわっかに集まるのが分かった。

 望遠鏡みたいな能力なのかな?

 でも精霊による力ではなかったようだった。

 私だと、両手を筒のようにしないと、使えないなと思う。

 「遠見」

 両手で作った筒を覗きこんで、両手を回してピントを合わせる。

 ぼんやりと想像した物が、ちゃんと出来ていて感動した。

 自動販売機サイズのガチャである。

 コインを入れて回す場所と、大きな取り出し口があった。

 「ユイ様、遠見スキルあったんですか?」

 私の腰にしがみついたままだったルゥルゥーゥさんが、見上げながら聞いて、ミマチさんが「えっ?」と振り返った。

 「スキル?」


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― 新着の感想 ―
[一言] >遠見 あったね...指で輪っかを作る技法 >なんでや! 中世に【自動販売機】が
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