資格
私は目を丸くした。
「え? センリさん、も、」
転生者なの?
と、問いかけようとしたけれど、音が消えた。
「 なの?」
わわ、何これ?
「ユイ様、ユイ様は なのですか!? っ!?」
私とセンリさんは口を押さえた。
そして脳内に再び声が響いた。
《禁則事項・です》
なんでちょっと楽しそうなの?
それから私とセンリさんの資格は、消えた音の秒数から違うもののようだった。
「禁則事項! 確かに当然ですな! お待ち下さい、私、ただの人族! ちょっと怪力なだけの! ・・・・・・・・・・・・・・・・巨人族の血筋の方がまだ現実的!」
センリさんは床に突っ伏して、両手を床にたたきつけた。
ドゴンッと大きな音がして、地震のように揺れ、ストールさんに抱き上げられた。
床には大きな亀裂が・・・・・・・・壁の方まで伸びていたが、それは少しして跡形もなく消えていった。
え? どうなってるの? 他の人達は平然としている。
「ここ、一応迷宮内ですから、迷宮の破損は大抵自動的に直ってしまうのです」
エンデリアさんが私の疑問に気づいて教えてくれ、そして問いかけられた。
「お二人とも、もしかして資格にかんすることが話せませんか?」
「私はお祖父様とお祖母様が、 で・・・・・・・・話しているはずなのに、唇も動いてませんな」
『 』
試しに日本語で話してみようとしたが、センリさんの言うように唇は動いてなかった。
えっと、さっき聞いた竜脈水路って、アリアさんが落ちて神様達と会ったって、話していたような・・・・・・・・王宮の位置にもあったね、ゲート。
王宮、元々はアリアさんの親がラスボスの迷宮だったっけ・・・・・・・・
「アリアさん、ゲート登録している?」
《第三級資格保持・ゲートキーパー・アリアドネ・転移しますか?》
ブワッと蜘蛛が光った。
「まって!だめ!」
キュッと抱きしめると光はすうっと小さくなっておさまってくれた。
あっぶな!
「ユイ様、大丈夫ですか!?」
「あの台座に居なくても、作用を?」
ルゥルゥーゥさんが首を傾げ、センリさんを見て何か納得したようだった。
「センリにも声? が届いていたのですものね」
「あぁ、いったいこの声は、あなた様は何者ですかな!? 第三級資格保持とか、ゲートキーパーとは何なのでしょうか!」
《ゲートキーパー・ガイドと・申します。第三級資格保持は・転生者であります。センリ様は・第二級資格保持で、 で・あります。資格に関しての情報は・制限させていただきます。ゲートキーパーとは・ゲートを管理説明する・存在・を示します》
「アリアさん、ゲート、言わなかったの、なぜかな?」
蜘蛛を見てみると、不思議そうに首を傾げられた。
《現在・ゲートキーパー・アリアドネは・ゲートキーパーの役割を・封じられ・ております。ゲートに関して・情報公開・も封じられてます》
「え? 封じられてって、誰に?」
《ゲートキーパー・アリアドネ自身と・神々に》
「あ、もしかして、アリアさん、正式なキーパーじゃ、ない?」
人間になりたがっていた人が、面倒そうな役目を背負う訳がない。
ピンポーンピンポーンピンポーン♪と、軽い正解音が響いた。
《基本・キーパーは全て・私・ガイドで・あります》
ちょっと誇らしそうな声だった。




