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針子の乙女  作者: ゼロキ
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レストラーナ

金糸は、実体であって実体でないという不思議な素材でした。

針とか編み棒とか、預けてたから・・・・手元に無かったんだよね、ドレスでも持ち歩けるソーイングセット今度用意しよう。

だけど金糸の性質が、魔力を固めて作った針や編み棒に対応出来たのだ。

ある意味、金糸もアリアさんの超高濃度な魔力の結晶

私が固めただけの、簡易な魔力とは次元が違うから、実体があるらしい。

そこで気付いた。

あ、あ、

タペストリーの、修復に足りない要素!

それがコレだと分かる。

超高濃度な魔力の糸

ストールさんの鎧にも使われてた。

本当に足りなかったの、蜘蛛のレベルだわ。

あと、なにか・・・・・・・・

『タペストリー、これで、癒せ、る?』

『呪われた腕は切り捨てないとだから、風の高位精霊の力も必要よ』


切り捨て


癒やすことしか考えてなかったから、盲点だった。

そうか、手袋じゃもう駄目だったんだ・・・・腕自体を作り治せないとなんだな。

あと精霊さんと同時に、タペストリーも汚れてしまった部分を切り落として、糸を繋がないとだ。

ハーニァ様と精霊さんのドレス補正同時進行を、したみたいに。

明らかに、アレよりも難しい。

まぁ、そうさくっと修復とはいきませんよね・・・・

『切り捨てた腕を処理するのに、高位の炎の精霊・・・・は、居たわね』

『ハーニァ様、の?』

『豊穣の高位精霊と繋がっているから、浄化の炎が使えるはずよ』

あ、緑の精霊って、草木の精霊ってだけじゃ無いんだ?

そしてやっぱり、人サイズの精霊さんが高位精霊なんだ?

・・・・めったに見ませんね

と、言うか、風の精霊さん自体、判別がつきません。

『風の、精霊さん、色は?』

『あぁ、見たこと無いのね?』

アリアさんは指を立てた。

『基本、透明よ』

ん、それは見たこと無いわ。

『とても強い風の中なら、ガラス細工っぽい子とか、風属性の強い、混ざった子とか見れるけど』

私ほとんど外出して無いものね、ロダン様の屋敷近くの街とかでも、仕入れ用の荷馬車が送り迎えしてくれたし・・・・

そよ風なら浴びたことはあるけど、強い風は今世では受けた経験が無い。

そう言えば、精霊さんは大抵透けているけど、透けている感じの強い精霊さんもいた。

アレが、風属性と混ざった子なのかな?

『あとは迷宮品の、風属性な高位魔剣ね。そっちの方が出やすいかも』

あ~、その辺りは、私の管轄外ですね。


ボスの間ではアージット様達が、彼女・・・・の、首を落としていた。

何時の間にか、部屋は髪で黒く染まっていた。






部屋の中には、黒い人影が一つ

アージットは息を呑んだ。

「レストラーナ?」

色合いが違っても、その姿形、表情は間違えようもなかった。

「なるほど魔素は、あの呪いから持ってきたのですね」

老執事ウェルスが呟いたのに、ミマチが手を打つ。

「ユイ様が散らした呪いですね!」

アムナートはため息を落とした。

「うわ、間違えようもなく面影が残ってますね・・・・」

「へぇ・・・・あれがレストラーナか、化け物としてを差し引いてみても、美人よりの容姿なのに、なんか醜いな?」

メンバーの中で、唯一レストラーナという人物に会ったことのないハーニァは、首を傾げて呟いた。

ハーニァにとって、アムナートを害そうとした許せない存在だ。

その偏見のせいかな?と思ったのだ。

「最初は無気力な人だったんですよねぇ・・・・」

「確かに」

ミマチの言葉にストールが頷いて、思い出す。

「側付きの侍女が、またろくでもなくて・・・・アージット様に会う前に、まともな侍女の味方がいたら、あんな者にはならなかったかもしれませんね・・・・手遅れですが」

呟きながら剣を戻し、抜く。無意識に・・・・ユイに教えられた、伝説の・・・・柄だけだったモノから、炎が吹き出し剣の形となったのだ。

ぎこちなく不気味に笑った魔物・・・・前王妃の面影がある魔物に、軽く天井近くまで跳躍して切りかかる。

「ハァッ!」

その行動に上を向いた《彼女》の懐に、騎士が飛び込む首を一閃する。

首と一緒に切り落とされた髪が、蛇のようにのた打って部屋中に伸び広がった。

「くっ、ガハッ」

髪に押され壁に激突した騎士は、息を詰まらせながらも剣を振るい押し寄せる髪を切り払う。

首を失った体に、ストールの炎の剣が突き刺さり・・・・ボフッと呆気ない音を立て灰となる。

「なっ?」

「ストールちゃん!頭ぁっ!」

のた打つ髪が、落ちた頭を拾い運ぶ。




[ア"ぁ"ジ、っ"ド、様ァ"]




声が響いた。

不気味な、ひび割れた・・・・吐き気を誘う、甘ったれた、

女の声


アージットの二番目の妻だった、元王妃レストラーナの声が。

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