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針子の乙女  作者: ゼロキ
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呪霊師

「なんだっ!この糸はっ!」

ガッと腹を蹴られ、奴隷は目を覚ました。


あぁ、またか


キイキイと喚く、魔物の血縁のような・・・・今の、自分のご主人様

奴隷はほとんど見えない目を、それに向けた。

「何が質が落ちただ!出来損ないの針仕事など、家はヌイール家だぞ!?」

蹴りはそれほど痛くない。

短く太った足は、運動不足もあって体の動きとちぐはぐなのだ。

ただ手を踏まれるのは、その体重もあって、辛かった。

「アァアーーーっ!」

「加護縫いが出来るのは、ヌイール家だけだぞ!なのに、なんだこの糸はっ!力がほとんど入ってないではないかっ!」

虚ろな奴隷の反応がよいからか、ことある事に踏まれる手は赤黒く、骨の折れる音すらしなくなっていた。


彼女は呪霊師だ。

とは言え、その力は弱く師の所から、あっさり売りに出された娘である。

精霊を呼び寄せることしか出来ない。

捕らえて、力を奪うことは出来ない。

いや、呼び寄せることが出来るのは、呪霊師にもほとんどいない能力だ。

この力を知った時、師は彼女を褒め称えてくれた。

呪霊師は精霊に嫌われやすい。

だから精霊を呼び寄せる彼女の力は、呪霊師にとって宝物のようだった。

師が田舎の彼女のいた村に訪れたのも、精霊を捕らえるためだった。

ほとんどの村人は、呪霊師を嫌ったけれど・・

田舎の、貧しい農家の村娘は、自分の特別な力と、田舎では見かけない整った顔立ちの男・・・・師に熱を上げ、生家を捨てた。

それが運命の分かれ道であった。

もし彼女が、呪霊師に見つからなかったら

もし彼女を、見つけたのが、魔術師だったら


もし彼女が、精霊を大切に思っていたら


・・・・彼女の運命は、違ったものになっていただろう。



娘の力は、永久的なものではなかった。

精霊を意志あるものと、認識してない呪霊師は、精霊を搾取することしか考えない。

そして精霊は、意志があるのだ。

当然、精霊は逃げる。

呪霊師の味方になった彼女の力が、新たな地で通じるのは、3・4年だ。

精霊の逃げた地には、新たに精霊が産まれることも少なくなっていき、やがて産まれなくなるからだ。

呪霊師から呪霊師に、売り飛ばされ精霊を呼び寄せる餌として使われ、娘は嘆く。


どうして、私は幸せになりたかっただけなのに


「また高い金を出して、呪霊師を雇うはめになるのかっ!クソっ!」

ご主人様の喚く声が、頭に響く。

腹立たしく部屋から出て行く姿を、虚ろな眼で見送って・・・・

娘は師の顔を思い出した。

ギチギチ、ギィギィ

背中で蜘蛛が鳴く。

「ンフフフフフ」

精霊が欠片も気配を感じなくなって、蜘蛛は娘の力を食いはじめた。

蜘蛛は娘よりも、上手く力を使った。

ご主人様は、きっと師を連れてきてくれる。

「アハハハハハハ」

美味しく食べてあげよう。

蜘蛛の捕らえて奪う能力を、彼女は使えるようになっている。

彼女はとうとう、本物の呪霊師になっていた。

精霊を食い物にする呪霊師なのだ、きっと精霊より美味しいだろうと、彼女の口からはよだれが溢れた。


食べてしまえば、師は、彼は、

永久に私のもの


そしたら、きっと、幸せになれる。




奴隷の背中に張り付いた蜘蛛の腹は、彼女の体と一体化しつつあった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ない… [気になる点] 文章がとにかく読みづらい。誤字が多いし文章として成り立ってないところもしばしば。なろう小説だから仕方ないとは言え、先を読むのを諦めるレベル
[一言] 読みにくいにしても、このページに書くことじゃない気がする。 分かりにくかったページに書くと良いよ。
[気になる点] ここまで読んで感じましたが、文章が解りづらいです。書き慣れた人のテクニックなのかもしれませんが、私には難しく感じます。これは誰のセリフだったか?どんな情景を描いているのか?時々分からな…
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