連絡方法について
以前、夜中に帰りテレビをつけっぱなしにしながら、寝る用意をしていた時のことです。面白い話が聞こえてきました。
タレントが、とある場所で見知らぬ怖そうな人と言葉を交わしていたら「ここで会ったのも何かの縁。LINE交換しませんか?」と持ちかけられ、「すみません、今ちょっとスマホなくて……」のような断り方をしたそうです。
数分後、その怖そうな人はまた別の人と言葉を交わし、またしても「ここで会ったのも何かの縁。LINE交換しませんか?」と持ちかけていました。別の人は「いいですよ」と、あっさり承諾しました。さらに別の人は「ところで、仕事何してるんですか?」と聞くと、怖そうな人は、ものすごく有名な風俗店のオーナーであることを明かしたとか。
まあ、それが本当かどうかはわかりませんが……ビジネスで成功を収める人の中には、こういうグイグイ来る人が少なからずいるのは確かですね。
さて、話は変わって……刑務所の中では、他の受刑者と連絡を取ることが禁止されているそうです。中でもノートや筆記用具は購入できますが、必ず刑務官の検閲があります。この際、囚人の名前が書かれていると消すように言われるそうです。さらに、住所や電話番号など書かれていようものなら、それだけで懲罰だとか。
そう、刑務所の中では、受刑者同士の連絡は固く禁止されているのてす。これは、どこの刑務所も例外はないようですね。
しかし、それでも連絡を取ろうと試みる者はいるようです。
かつて刑務所にいたスミス(仮名です)は、十人ほどの人間の連絡先をメモしたノートを検閲されましたが、バレなかったとか。
スミスの場合、名前を全て暗号(ものすごく簡単なものですが)にし、適当な文章の中に混ぜてわからないようにしたそうです。
例えば、森永という受刑者がいたとします。連絡先をメモする場合「エンゼルパイを作る方法。砂糖○○グラム、マシュマロ○○グラム……」などと適当な名前とグラム数を書いていく。グラム数を繋げると電話番号になる、というわけですね。エンゼルパイはもちろん森永を指しているわけです。
他にも、縦読みしたら名前と住所と電話番号になる作文をノートに書いていた強者もいたそうです。ただ、縦読みが広まっている昨今では、逆にバレやすいかもしれないですね。
ただ、スミスはこんなことも言っていました。
「中にいる間と出た後では、事情が変わってくるからな。なまじ変な奴と仲良くなると、巻き込まれる怖さがある」
事実、スミスも一度家に警察が来たそうです。連絡先を交換した人間が、シャバに出た後で窃盗か何かで逮捕され、事情を聞きに刑事が家まで来たとか。それも、事前の電話連絡なしです。おそらく、事件の関係者だと思われたのではないでしょうか。まあ、この男は出所してからは真面目に暮らしていたため何事もなかったそうです。
また、刑務所で知り合った人間は、全て連絡がとれなくなるか、もしくは疎遠になっていったそうです。生涯の親友とも呼べるような人間とは出会えなかったようですね。
最後になりますが……マブチモーター社長宅殺人放火事件の犯人のふたりは、刑務所の中で知り合ったそうです。両方とも死刑判決を受けました。
まあ、これは極めて特殊な例かもしれないですが……刑務所の中で知り合ったという関係は、時としてこういう凄惨な事件を生み出します。
冒頭に登場した怖そうな風俗店のオーナーですが、こういう人は「連絡先を交換してはいけない」に対する嗅覚も優れているのかもしれません。もっとも、単に運がいいだけかもしれませんが。




