酒、タバコ、ギャンブルはバカがやるものですか?
先日、ネットにてこんな意見を見ました。
「俺は酒、タバコ、ギャンブル、薬物などのバカがやるものは一切やらない」
ほほう、と思いました。まあ、言っていることは立派でしたが……そもそも、この人が本当に立派なのかどうかはわかりません。実際に見てみないと、なんとも言えないですからね。
ひとつ言えるのは、この意見はあまりにも短絡的だということだけですね。
私は、基本的に酒は飲みません。酒飲みの友人や知人には、これまで散々な目に遭わされてきました。
人に迷惑をかける酒飲みに共通していえるのは、酔っ払って暴言や暴力を振るった挙句「覚えていない」という言葉を口にします。これは、本当に腹が立ちますね……などと酒の悪口を書いていくと、キリがないのでここまでにします。
ここからが本題なのですが……酒というのは、結局のところ「バカになる」ために飲むものではないでしょうか。
人間、いつまでもバカではいられません。学生時代と違い、社会人になるとバカになれる時というのは限られてきます。その「バカになれる時」が、酒を飲む時なのではないでしょうか。
当然ながら、社会では真面目さが要求されます。真面目に仕事をしていなくては、我々はいろいろとまずいことになります……なんかバカみたいな文章で恐縮ですが、とにかく真面目に働かないといけないわけです。
かといって、二十四時間ずっと真面目でいる……これは、確実に頭が狂います。実際、精神科医の先生にも言われましたが、ずっと同じ状態でいる人間というのは、精神的におかしくなってしまうそうです。
そう、人間にはバカになる時間が必要なのです。そのバカになるために「酒、タバコ、ギャンブル」があるのではないでしょうか。
私は、格闘技とウエイトトレーニングをやっていますし、また執筆活動もしています。実のところ、私にとってこれらのものは「バカになる」ためにしていることなんですよね。
考えてもみてください。いい年齢の大人が、裸に近い格好でグローブをはめ殴り合う。あるいは、おっさん同士で取っ組み合う……客観的に見れば、かなりバカな光景ですよね。
しかし、私はこの時間が何よりも大事です。なぜなら、バカになれるからです。「おっさん同士で殴り合う」というバカな時間をバカになりきることで費やし、明日への活力を得ているわけです。
筋トレも同様です。いい年齢のおっさんが「さーて、今日は百二十キロのバーベルに挑戦してみるか」「今日は腰痛いから、軽めの重さで三十回挙げるのを目標にしてみるか」みたいなことを大真面目に考え実行する……こんなバカなこと、ないですよね。
しかし、私はこのバカな時間にバカになりきってバーベルを挙げることが大好きですし、また生活になくてはならないものとも思っております。
さらに執筆活動ですが「やっぱり、あいつは殺すか」「いや、こいつは生かそう」「次の作品には、あの作品で主役だったこいつを出そう」などなど……いい年齢のおっさんが、こんなことを考えてるんですよ。どう見てもバカですよね。しかし、この作品のプロットを考えたりキャラの行く末に迷ったりしているバカな時間が、これまた私にとって必要な楽しい一時でもあります。
要するにですね、人間にはバカになる時間が必要だということです。そして、そのバカになるための手段もまた人それぞれであって、他の誰かが口出しすべきことではないのですよね。まあ、他人に迷惑をかけない……という最低条件をクリアした上で、という注釈は付きますが。
仮に、人生においてバカになる瞬間がまるでない人がいるのだのとしたら……その人間は、真性のバカなのではないかと思います。
ただ、最後にひとつだけ……違法薬物や、違法ギャンブルだけはやめましょう。失うものが、あまりにも大きすぎるからです。




