中居正広さんの報道を見て思い出したこと
最近、中居正広さんの件が、また再燃しているようですね。もっとも、私はこの件に関して何も言う気はありません。事情を何ひとつ知らないのに、したり顔でコメントする気もありません。また、この先どうなるのかについては興味も関心もありません。
ただ、中居さんの顔を何度も観ているうちに……ある人たちのことを思い出してしまいました。
このエッセイにも何度か登場している名取氏(『ギャンブル必勝法』の章など)は、中居さんのことが好きなようでした。昨今の言葉でいうなら、名取氏にとって中居さんは「推し」だったようです。
今も覚えていますが、名取氏と初めて会った時、彼はこう言っていました。
「俺さ、中居くん好きなんだよね」
いや知らねえよ、と思いました。もっとも私の口から出たのは、
「はあ、そうですか。僕はスマップのこと知らないし興味もないので、わからないですね」
という言葉でした。しかし、名取氏は懲りずに言い続けたのです。
「あっ、そうなの? いや、俺さ、中居くん超好きなんだよね」
などと、一方的に中居さんについて語ってきたのです。
私は初め「こいつは俺をカモにしようしているのか? そのため、中居の話をダシにして仲良くなろうとしているのか?」と思いました。この男は、スマップ好きと言っておけば大半の若者を取り込めると勘違いしているバカなのか? とも。
が、話しているうちに気づきました。どうも、そうではないようなのです。この名取氏は、本当に中居さんのことが好きなようでした。で、好きだから好きと言っている感じだったんですよね。
ちなみに、名取氏の身長は百六十センチ強です。中居さんと同じような体型でしたね。顔はともかく、服装や喋り方も、なんとなく中居さんを意識しているような節はありました。
ついでに、もうひとりのことも書きます。
このエッセイの準レギュラーとも言うべき与太郎氏(『武勇伝を語る男』の章など)ですが……彼は、木村拓哉さんの大ファンでした。
私は一時期、この男に軟禁されていました。そうなると、必然的に毎日顔を合わせることになります。
で、彼と話していると、やたら「ぶっちゃけ」という単語が出るのです。
とは言っても、若い人には何のことかわからないでしょうね。二十年ほど前、木村拓哉さん主演のドラマで「ぶっちゃけ」という言葉が使われており、当時の若者たちの間で流行ったようなのです。
与太郎氏は、ドラマが終わった後も「ぶっちゃけ」という単語を多用していました。また、二日に一度は必ず「キムタク格好いいよな」などと言っていましたね。
時には私にまで「キムタク格好いいと思うだろ?」みたいな話を振ってくることがありました。いや知らねえし興味もねえよ、などと思いつつ「はあ、そうですね」と答えていたのです。
この与太郎氏もまた、喋り方などが木村拓哉さんを意識しているようでした。もっとも、彼の顔は木村拓哉さんとは似ても似つかぬタイプです。はっきり言うと、おもちゃのシンバル猿を擬人化したような顔ですね。ただ、愛嬌はありますし愛想はいいのですよ。なので、人当たりは良いです。いや、良く見えるのですよね。
それはともかく、なぜに木村拓哉さんを模倣してしまうのだろう……という疑問は感じていました。
正直いいますと、当時の私にはふたりがアホに見えました。スマップのどこに憧れる要素があるのだろうか? とも思っていましたね。
しかし、今は違う考えを持つようになりました。
片や、大麻を吸い立場の弱い人間をカモにしてギャンブルで金をむしり取る最低のクズ人間・名取氏。
片や、三流以下の詐欺師でひとりの人間を自殺にまで追い込んだ言語道断の犯罪者・与太郎氏。
こんなふたりですらファンにしてしまえるスマップというグループは、やはり本物のスーパースターだったのですね。まあ私は、先ほども書いた通りスマップには興味も関心もありません。この先、どうなるかも知ったことではありません。
ただ、あちこちで叩かれ続けている今の中居さんに対し、名取氏が今も「俺、中居くん超好きなんだよね」と言っているのかについては、少し興味はあります。




