若き犯罪者たちの行き着く先
闇バイト、なる言葉を初めて聞いたのかは、数年前からでしょうか。一時期、銀座での強盗事件を受けて連日のように報道されていますね。中には、未成年もいたとか。
強盗がいかに割に合わないかについては、当エッセイでこれまでに何度も書いています。また、様々な番組などで闇バイトの危険性について報道されてもいます。ここで、いちいち私が書くまでもないでしょう。
そこで今回は、捕まった後のことについて書かせていただきます。これは、本当にキツいのですよ。
世間の人々に意外と知られていないのが、少年刑務所の存在です。未成年は全員が、少年院に入れられると思っている人が多いようですね。
少年院と少年刑務所の違いですが……ものすごく大雑把に言いますと、二十歳未満で微罪による補導歴が重なると少年院に入れられ、十六歳以上で強盗のような重罪を犯した者や二十六歳未満の犯罪者は少年刑務所に入れられる、と覚えておけば問題ないでしょう。例外はありますが、だいたい当てはまるものと思います。ちなみに銀座の強盗事件の容疑者ですが、全員が少年刑務所行きになるのではないかと(断言は出来ませんが)。
ついでに、彼らは初犯であったとしても、最低でも求刑六年の実刑四年は言い渡されると思われます。これ以上、重くなることはあっても軽くなることはないのではないかと。念のため、もう一度書きますが、この求刑六年実刑四年という予想はあくまで最低ラインですからね。求刑八年で実刑七年あたりも、充分に考えられます。また、それよりさらに重い刑が言い渡されても不思議ではありません。無論、執行猶予はないです。
さて、少年刑務所ですが……まず分類で、AとBに分けられます。Aは初犯、Bは再犯もしくはヤクザの構成員と見なされた者のことです。ちなみに、Bは準構成員やヤクザとの付き合いが深い人のことも含むようです。
このAが行く少年刑務所ですが、まあひどいものです。ここからは、そのひどさを大まかに書いていきます。以前に書いた『川越少年刑務所の巻』の章と重複する部分もありますが、ご容赦ください。
まず、少年刑務所の上下関係は異常ですね。雑居房に入れられると、新入りは「サラ」と呼ばれ室内のいろんなことをやらされます。部屋の掃除、布団の上げ下ろし、その他もろもろの雑事などをやらされるのですよ。
しかも、先輩の言うことは絶対です。部屋によっては、購入する本や日用品まで先輩に指示されるそうです。逆らおうものなら、部屋にいる全員からの凄まじいイジメにあいます。そのため、サラのうちはひたすら耐えて自分の番手が上がるのを待つしかありません。
そうこうしているうちに、新しい人間が雑居房に入って来たとします。ここで、ようやくサラ脱出……と言いたいところですが、油断は出来ません。後から入ってきた人間に、番手を追い抜かされることもあるらしいのです。新入りが、様々な面で有能であり作業もよく出来て刑務官からの評価も高い時……新入りの方が、番手が上になることがあるようです。こうした下剋上のごとき現象が、少年刑務所ではちょくちょく起こるようです。
こういう環境は、俗にいうZ世代の方々にはキツいのではないでしょうか。パワハラと呼ぶのも生ぬるい異常な環境の中に、いきなり放り出されるわけですからね。
ちなみに、『またしても、ちょっと怖い話』の章に登場した京極(仮名です)は、川越少年刑務所に四年ほど入っていましたが……その間、懲罰に六回いったと言っておりました、一応、説明しますと……懲罰とは、刑務所にて喧嘩や違反行為をおこなった者に対する処分です。この京極は、度胸と行動力があり頭も悪くなく、また集団の中で上手くやる術を心得ている人間です。そんな男が、六回も懲罰にいくとは……なんとも恐ろしい所だ、と思いましたね。
ついでに、この京極は成人の刑務所にも行っております。少年刑務所と成人刑務所、どっちがキツかったか聞いたところ「川越の方がずっとキツかった」と言っておりました。
もし若くして、遊ぶ金欲しさに強盗……などと考えている人がいたら、私は「やめましょう。少年刑務所で苦労しますから」と言います。少年刑務所のような狂った場所で、貴重な若き日の時間を空費する……これほどバカバカしいことはありません。事実、二十五歳で逮捕された人間の中には、少年刑務所に行きたくないがゆえに、わざと裁判を長引かせる者もいるらしいです。シャバに出られる時は確実に遅れますが、そうまでして行きたくない場所らしいのですよね。
今は防犯カメラもあちこちに設置されていますし、強盗のような犯罪は捕まる可能性は非常に高くなっております。しかも、捕まったら少年刑務所のような場所にて人生の貴重な時間を空費する破目になります。とにかく、強盗だけはやめましょう。




