高校生の薬物
少し前の話ですが、どこかの高校で生徒が大麻を所持していたとして逮捕されました。ワイドショーなどでは「高校生の麻薬汚染!」などと騒いでいた記憶があります。
そして先日、たまたま空いている時間に再放送のドラマを観ていたら、医療用大麻推進を訴える女優さんが出ていました。その女優さんは大麻所持の容疑で逮捕されていたため、この件を思い出してしまいました。
というわけで今回は、高校生の薬物について語ります。念のため言っておきますが、私は今時のリアルな高校生とは全く付き合いがありませんし、接触したこともありません。なので、今時の高校生に関してはほとんど触れていません。
私が高校生の時にも、薬物をやっている者はいました。それは間違いありません。
ただし、今とは大きな違いがあります。当時は、薬物を手に入れるためのハードルが高かったんですよ。
事実、高校生だった私は、同じく高校生でありながら薬物をやっているコロスケ(仮名です)に聞いたことがあります。
「ねえ、どんな奴から買ってんの? ヤクザ? それともチーマー? 俺の知ってる人?」
念のため書きますと、私の高校時代はチーマーの全盛期でした。コロスケは顔が広く名前の知られた男で、ヤクザからチーマーまで知り合いが多かったのです。
そんなコロスケは、苦笑しつつ答えました。
「お前には教えられない」
これは当然なんですよね。売人の情報を私みたいな人間に下手に教えたら、その後どうなるかわからないわけですよ。私が別の人間に漏らし、その別の人間がまた友人に……という具合に、情報を知っている人間がネズミ算式に増殖してしまう可能性があるわけです。つまり、芋づる式に逮捕される可能性も高くなるわけです。
そのため、高校生で薬物を購入できるのは、それなりに信用のおける人物なんですよね。仮に逮捕されても、こいつなら口を割らないだろう……という信頼を得た人物なわけです。
そのためには、まず上下の繋がりが必要です。チーマーの先輩や、ヤクザの先輩から「あいつなら大丈夫だろう」という信頼を得なくてはなりません。さらには、横の繋がりも必要です。「あいつ根性あるから、逮捕されても口を割らないっスよ」という評判も必要なんですね。
結果、エリートヤンキーな人間だけが、ヤクザやチーマーから薬物を購入できたわけです。学校内でイキっているだけの高校デビューしたようなヤンキーでは、まず手に入らなかったですね。
余談ですが『ビーバップハイスクール』という漫画があります。映画化もされたヤンキー漫画ですが、この作品の中に面白いエピソードがあります。
ある日、主人公であるヒロシとトオルのクラスに転校生がやって来ます。転校生はふたりに対し、妙に横柄な態度で接してきました。頭にきたヒロシとトオルは叩きのめそうとするのですが、転校生からの「お前ら、バイトやんねえか。覚醒剤の売人だよ」という言葉に怯んでしまいます。つまり、当時のヤンキーたちの間では、薬物を扱えるということだけで一目置かれる存在になってしまうのですよ。まあ、この転校生はただの嘘つきであることが判明するのですが……。
ついでに言っておくと、このビーバップハイスクール(映画版ではなく原作の方です)は、基本的にヤンキーたちの日常を描いたギャグよりの漫画です。しかし、たまにヤンキーのものすごく嫌な部分や救いようのない部分をリアルに描いていたりするのですよ。大半のヤンキー漫画がファンタジーなのに対し、ビーバップハイスクールはそのあたりが違っていましたね。
話を戻します。昔は、高校生が薬物を手に入れるには、上下左右の付き合いに加えいくつかのハードルをクリアする必要がありました。学校の中だけでイキっているような少年では、手に入れるのはまず不可能だったのです。
ところが、今はネットで簡単に手に入ってしまう時代なのですよ。昔より、薬物が手に入りやすくなっているのは間違いないですね。また余談になりますが、昔はなじみの売人が逮捕されたおかげで薬物が手に入れられなくなり、結果的に薬物をやめられた(厳密には違いますが)というケースが少なくなかったようです。しかし、今は売人を見つけるのも簡単な時代です。そのため、昔よりやめにくくなっているようですね。
結論を言ってしまうと、最初から薬物なんかには手を出さない……それが正解ですね。
指摘を受け、急遽書き直した部分があります。




