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エッセイ書いたんだよ!  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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アーミッシュと、薬物

 皆さんは、アーミッシュをご存知でしょうか。アメリカ合衆国のオハイオ州・ペンシルベニア州・中西部などやカナダ・オンタリオ州などに居住するドイツ系移民(ペンシルベニア・ダッチも含まれる)の宗教集団……と、ウィキペディアには書かれています。正直、私も詳しくは知りません。ハリソン・フォードの『刑事ジョン・ブック』という映画にも登場していたようですが、詳しくは見ていません。

 このアーミッシュには、かなり特殊なしきたりがあります。基本的に彼らは「十八世紀以降の文明を拒否し、全ての快楽と虚飾を禁止する絶対禁欲主義」なのだそうです。酒、タバコは禁止。賛美歌以外の歌を唄ったり、ダンスも駄目なのだそうです。本も聖書以外はほとんど禁止だとか。やはり、ネットも禁止なのでしょうか。

 ある意味、日本の刑務所よりも厳しいしきたりの中で暮らしている気がする彼らですが、実はとんでもないイベントがあるのです。アーミッシュの信者は十六歳になると「ルムシュプリンガの期間」というイベントに参加します。若者たちは、先の人生を戒律に従って生きるか、アーミッシュを離れ俗世に入るかの選択をするため、外の自由な世界を体験するのです。

 この期間は、酒やタバコやセックスさらには様々な娯楽を試すことが出来ます。しかも、ドラッグも試していいそうです。ちょっと複雑なのですが、違法なドラッグをやったら警察には捕まります。しかしアーミッシュたちは、ルムシュプリンガにさしかかった子供が違法なドラッグをやっていても、完全に無視します。警察にも通報しないとか。何とも恐ろしい話ですね。

 不思議なことに、このルムシュプリンガの期間を終えた若者たちは、九割方がアーミッシュに戻ってくるそうなのです。

 と、私の中で疑問が生じました。窮屈なアーミッシュ社会に戻るというのは、選択肢としてはありでしょう。しかし、ドラッグをやっている人間もまたアーミッシュに戻ってしまったのだろうか、という疑問です。ドラッグといえば「一度やったら抜けられない」「薬物依存症は人間を破滅させる」という意見があちこちで聞かれます。

 ドラッグをやっていたにもかかわらず、九割がアーミッシュに戻る……ここには、何か秘密があるのでしょうか。その理由を、私なりに考えてみました。

 で、行き着いた答は、彼らのうち九割はドラッグを経験していないのではないか……ということです。

 彼らアーミッシュは、我々など想像も出来ないような厳格な子供時代を送っています。そんな少年少女たちが、いきなり目の前にドラッグのパケを置かれ「やっていいよ」と言われても、やることは出来ないでしょうね。精神的な重圧が強すぎ、手を出せない気はします。

 そもそも、何をどうすればいいのか、それすらわからないでしょう。知識として薬物を静脈注射することは知っていたとしても、それを実際に行うのは、一般人には不可能でしょう。結局のところ、恐る恐る微量を嘗めてみたり少量を鼻から吸ってみるのが関の山でしょうね。依存症に至るほどのことは出来ないまま「ドラッグってこんなもんか」という印象で終わるのではないかと思われます。

 ちなみに、アーミッシュたちは「ルムシュプリンガの期間」におけるドラッグの使用を認めています。が、警察は認めていません。したがって、違法ドラッグの使用所持が警察にバレれば逮捕されます。そのあたりも、彼らをドラッグから遠ざけるのではないかと。




 最後になりますが、両親がこうした厳格な掟を持つ宗教を信仰していた場合、子供がその影響から抜けるのは非常に難しいようです。仮に、子供が成長して自立し宗教から抜けたとしても、幼い頃から聞かされてきた教儀の影響は消えないとか。たいていの場合、いびつな人格となって残ってしまうそうです。周囲の人には、どこかおかしな印象を与え、結果的に他者と上手くコミュニケーションが取れず孤独に生きる人が大半だという話です。

 アニメや特撮では、悪の組織を裏切ったキャラは悲劇的な最期を迎えるケースが多いですが……似たものを感じてしまうのは私だけでしょうか。ちなみにカルト系の宗教団体の中には「我々の教団を抜けた者のその後の人生は、不幸であるケースが多い」などと信者たちに語るケースもあるそうです。これが何を意味するかは、言うまでもないでしょう。











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― 新着の感想 ―
[一言] 久し振りの更新お疲れ様です。  NET検索してたら偶々、この問い掛けの答えそのものなプロモーションビデオを動画サイトで見付け大爆笑したんで 情報提供しときます。 その昔マイケル・ジャクソ…
[一言] 刑事ジョンブック懐かしいですね。犯罪者が目撃者をさがして、トイレのドアを一つ一つ開けていくあのシーンは有名ですよね 厳格な集団で生きてきていると、やはりなかなか重度になるまでには至らないか……
[一言] アーミッシュのルムシュプリンガの期間に様々な娯楽を試すことは、  自分たちのイメージとしては、殻つきの牡蠣がいきなりドンと食卓に出されるような物なのでしょうね。  ――ご馳走なのはわかるけど…
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