物理的に痛い話
いきなりですが、こっ恥ずかしい黒歴史を公開します。実は私、高校生の時にピアスの穴を空けたことがあるのですよ。
専門の店に行くと、プロが専用の器具を用いて、痛みも感じさせず一瞬でパチンと穴を空けてくれる……みたいな話を聞いたことがあります。が、当然ながら高校生の私には、そんな店に支払う金はありません。そもそも、行く気もなかったですが。
そこで私は、友人に協力してもらって穴を空けました。しかし、そのやり方というのがあまりにも原始的なんですよね。
まず、氷で耳たぶを冷やします。二十分から三十分くらい氷を当て続けていると、耳たぶの感覚がなくなるのですよね。
そこで、安全ピンを突き刺すわけなんですが……これがまた、変な感触なんですよ。痛みはないのですが、感覚は微かに残っています。そこに、無理やり安全ピンで穴を空けていく……文章では説明しづらいですが、もの凄く変な気分でしたね。
こうやって苦労して空けた穴ですが、当時は肝心のピアスがありません。そもそも、校則でピアスは禁止されていました。そこで、学校が終わると安全ピンを刺していたのですが……やがて面倒になり、そのまま放置していたところ、一年も経たぬうちに完全に塞がってしまいました。私は、いったい何のために穴を空けたのでしょうか……本当にバカなことをしました。
念のためですが、このやり方は絶対に真似しないでください。私は運よく無傷で済み、後遺症もありませんでした。が、耳たぶが化膿したり神経を傷つけてしまう恐れがあります。
当時、耳たぶに針でピアスの穴を空けたら、視神経を傷つけてしまい視力が悪くなった……などという噂がまことしやかに流れたことがありました。それは都市伝説のようでしたが、専門家に聞くと「耳たぶにも様々なツボがあるから、ありえない話ではない」と語っていたそうです。なので、絶対に真似しないでください。ピアスの穴を空ける時は、ちゃんとした資格(?)とまともな器具を持つ人にやってもらいましょう。
総合格闘技の選手には、タトゥーが入っている人が少なからずいます。また、やんちゃな人たちもタトゥーを入れるのが好きですよね。セルフで入れる「年少リング」は痛そうですが。
以前に付き合いのあった人は、私より五歳ほど年上ですが、とても変わったタトゥーを入れていました。肩に「虎」という漢字一文字が描かれていたのですが、その字が恐ろしく下手くそなんですよ。いたずら書きのような漢字が、肩に彫られていたのです。これは何なんだ……と思いましたが、聞いてはいけないような気がして聞いていませんでした。
しばらくして、謎は解けました。ある日、その人の方からタトゥーのことを語り出したのです。
「これな、教護院にいた時にリンチでやられたんだよ」
私は唖然となりました。聞いてみると、昭和の教護院ではタトゥーを入れるリンチが実際にあったらしいんですよ。まず、抵抗する気がなくなるまで数人から殴る蹴るの暴行を受けた後、千枚通しなどで無理やり彫られる……なんともひどい話です。昔は、そんなのが当たり前のようにあったとか。
ただ刑務所のような場所だと、そうしたリンチは少ないと聞きました。実のところ、かつて刑務所にて行われていた「カンカン踊り」(刑務官の前で全裸になり、両手を広げたり両足を上げたりするもの)は、作業場から余計なものを持ち込ませないためのルールだったようですが、リンチを防ぐという意味もあったようです。このカンカン踊りの最中、刑務官が受刑者の体に傷や痣などを発見し「おい、お前。その傷はどうしたんだ?」などと聞いてくる……そんなやり取りがあったそうです。
しかし最近では、カンカン踊りはほとんどの刑務所で廃止されたそうです。まあ、だからといってリンチが増えたりはしないでしょうが。
話がズレましたが、ピアスにしろタトゥーにしろ、自分でやるのは危険が伴います。下手すると、一生残る傷を負うことになります。なので、やるならきちんとした店でやりましょう。




