日本は終わるの?
気がつくと、この連載も四年目に突入していました。だからどうした、と言われたらそれまでですが。それはともかく、時代は令和に変わりました。が、このエッセイに変化はありません。続けられる限りは、今まで通りゆるーく続けていくつもりであります。
さて、ネットを見てみると……「オーワタオワッタ、日本が終わった」というような意見があります。が「日本は終わっていない」という意見もあります。
また「このままだと、環境汚染により地球が危ない」と主張する人たちもいます。おっかない目つきで、マスコミを睨んでいたグレタさんの映像はやたらとインパクトがありました。かと思えば「彼らの主張には何の根拠もない」と言っている人たちもいます。
どちらが正しいのか、私にはわかりません。ネットの意見を見ると、双方ともにもっともらしいことを言っているようには見えます。しかし、先ほども書いた通り、どちらが正しいのかはわかりません。そもそも、私は経済のニュースなど見ていても、出て来る用語の半分くらいがわからないような人間です。ましてや、環境問題のごときワールドワイドな話題など、語れるはずがありません。情報の真偽もわかりません。
それ以前の問題として、日本が終わろうが環境が汚染されようが大災害が来ようが放射能が振り注ごうが原発がメルトダウンしようが、私個人に打てる手など何もないんですよ。「日本終わるんだってよ。だったら、明日から何もかも辞めようぜ」と考えたとしても、それでは生活が成り立たちません。どんな状況であれ、生きていかなきゃならないんですよ。
結局のところ、一般市民は明日も明後日も自分に出来ることをやって、生きていくしかありません。日本が終わるからと言って、どこか他の国へ脱出するわけには行きません。また、日本経済が本当にヤバいのだとして、私は何をすればいいのでしょう。テロリストとなって、誰かを暗殺すれば済む話なのでしょうか。あるいは三島由紀夫のように、演説の挙げ句に割腹自殺でもすれば解決するのでしょうか。
はっきり言って、社会の底辺で生きている私に出来ることなど何もありません。今まで通りに生きていくだけです。本当に日本が終わろうとしているなら、修士まで行って査読論文を持っているような偉いインテリさんたちに、是非とも何とかして欲しいものですね。環境破壊についても同じです。問題意識を持っている裕福な上級国民の皆さんの力で、何とかしてください。
特に昨今の「日本オワタ」論を見ていると、新手の「今時の若い者は……」のように感じます。この多様性の時代に古い価値観を振りかざし「八〇年代や九〇年代はいい時代だった。その時代に比べて今は終わってる」という意見を並べる方がいますが、その根底にあるのは「俺の若い時は凄かった。それに比べて、今時の若い連中は情けない」という、おっさんに有りがちな自画自賛なのではないでしょうか。
少なくとも、昭和から平成という時代は児童虐待という概念すらなく、子供に対する暴力を「しつけ」という言葉で許容していた時代でした。私の学校にも、痣の絶えない子がクラスにひとりはいました。
また校内暴力も激しく、犯罪発生件数も今より遥かに上でした。隣町の中学校では、校舎で飛び降り自殺をした生徒がいましたが、夕刊の三行記事になっただけで終わりでした。同じ日に通り魔事件や飛行機事故など起きれば、記事にすらなっていないでしょう。
さらに、渋谷ではチーマーやギャングが抗争していましたし、友人や知人が巻き込まれて病院送りにされたりしていました。同じ渋谷のセンター街で、不良外国人が路上で薬物を売ったりもしていました。池袋や新宿に至っては、上野で偽造カード(昔はそんなのがありました)を売っていた不良外国人が「アソコハアブナイカラ、ショウバイデキナイ」と片言で語っていたのです。
そんな時代に比べれば、今はだいぶマシな気はするのですが。




