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エッセイ書いたんだよ!  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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私がエヴァンゲリオンを観ない理由

エヴァンゲリオンのファンの方は、読むと不快になる可能性が高いので、この章は飛ばした方がいいでしょう。

 タイトルの時点で「んなもん知るか」といってブラウザバックされそうですが、既に書いてしまったので投稿させていただきました。なお、念のためもう一度書きます。エヴァンゲリオンが好きな方は、ここまでにしておくことをオススメします。



 

 先日、とある方の活動報告を読んで気づいたのですが、今は『新世紀エヴァンゲリオン』を知らない人もいるようです。というより、そちらの方が多いようですね。現在、十代や二十代の世代には「エヴァ? 何それ?」という人がほとんどでしょうね。

 しかし、今から二十年ほど前でしょうか……エヴァンゲリオンという作品がブームだった時がありました。とはいっても、世間一般の人にとっては「エヴァンゲリオン? ああ、聞いたことあるよ。なんか凄いアニメらしいね。観たことないけど」という程度の認識でした。

 私も、その程度にしか捉えていませんでした。実際、再放送を二話まで観てはみました。が、主人公が年上の綺麗なお姉さんと同居するという少年マンガに有りがちな展開を見て「こういう作品なわけね」と勝手に解釈し切りました。

 ところが、当時はエヴァンゲリオンの熱狂的な信者……エヴァ厨と呼ばれるマニアがいまして、この連中が本当にうっとおしかったですね。

 そもそも、この章を書こうと思ったのは、最近ネットの記事で「ラーゼフォンは真面目に作ったエヴァ。魅力がない」というような文章を読んだからなんですよ。ちょっと驚きました。未だに、こんなことを言っている痛いエヴァ厨がいるのか……と。




 まず、エヴァンゲリオンとは何かといいますと……一九九五年にテレビ東京系列で放送されたロボットアニメ(厳密には違うそうですが、面倒なのでロボットアニメということにします)です。放送時の視聴率は低かったが、放送終了後に斬新なストーリーが話題となり『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』と並び、後のアニメへ影響を与えた第三世代のアニメ作品でもあり、爆発的なアニメブームのきっかけとなった……などとウィキペディアには書かれていますが、先ほども書いた通り、一般的にはその内容すら知らない人がほとんどでした。これは間違いありません。

 ところが、この時期に出現したのが……エヴァンゲリオンの痛すぎるマニア、俗にエヴァ厨と呼ばれる人種です。彼らは、ことあるごとにエヴァの「凄さ」について、ベラベラと一方的に語りました。こんな感じです。


「エヴァがアニメという概念そのものを変えた」


「エヴァ以降に作られた創作物は全て、エヴァのおかげで一段上のレベルへと上がった」


「日本の歴史を、エヴァが変えたといっても過言ではない」


 信じられないかもしれないですが、九〇年代の後半から二〇〇〇年代の頭あたりには、こんなことを真顔で言っていたエヴァ厨がいたんですよ。どっかの宗教団体もチビるような信者ぶりですね。

 さらに彼らが、ことあるごとに言っていた言葉があります。


「この作品は、エヴァのパクリだ」


 そう、彼らはアニメを観ると……いや、ハリウッド映画など観ても「このシーンはエヴァの影響を受けてる」「エヴァがなかったら、この作品は誕生していない」などと真顔で言い出すんですよ。個人的に特にひどいと感じたのが、ラーゼフォンというアニメに対する言葉でした。


 ラーゼフォンとは、二〇〇二年にフジテレビで放送されたロボットアニメです。この作品ですが、当時はエヴァ厨から「エヴァのパクリ」だと攻撃されていたらしいんですよね。

 実のところ、私はこのラーゼフォンという作品をリアルタイムでは観ていません。ゲーム『スーパーロボット大戦』に登場していたのを見て興味を持ち、調べてみたのですが……まあ、ひどいものでした。調べている過程で「エヴァのパクリ」という言葉が、あちこちで見られたんですよ。

 そこで私は、その両方を見たことのある知人に聞いてみました。エヴァとラーゼフォンは、そんなに似ているのですか? と。すると「世界観や醸し出す空気など、確かに似ている部分はある。だが、全てにおいてまったく別の作品。北斗の拳をマッドマックス2のパクリというのと同レベルの発言」と言っておりました。

 また、この章を書くにあたり、SF作品に造詣の深い方にも意見を聞きました。すると、大変に気合いの入ったメッセージをいただいてしまいました。こちらに、その一部を掲載します。


 ・・・


 『ラーゼフォン』に関して私なりにまとめますと。


出渕裕いづぶち・ゆたか監督がかねてからやりたかった世界観を作品化した初監督作品。

○『仮面』『ミリタリー』『勇者ライディーンへのオマージュ』など、監督の思いの丈が詰め込まれている印象が非常に強い。

○絡み合う伏線など、とても安易な覚悟(パクリ意識のみ)で作られたとは思えない物語構造。

○ただし、『新世紀エヴァンゲリオン』の重力に引っ張られた印象は否めない。

 ・味方の秘密兵器(ヴァーミリオン、シュヴァルツァー)が実は敵の巨大ロボット(ドーレム)のコピー。→エヴァンゲリオンが使徒のコピーという相関に酷似

 ・シュヴァルツァーの操縦士はクローン。→ただし重大な伏線に絡んでおり、安易なパクリとはとても思えない。

 ・「世界を調律する」というTERRA(というより上位のバーベム財団)の最終目的。しかしながら結論は『新世紀エヴァンゲリオン』の逆だが、「世界の姿を強制的に書き換える」という点では共通。

 ・主人公(やや後ろ向き)とその周辺の人間模様に『新世紀エヴァンゲリオン』との類似性はある。ただし練り込まれた感も非常に強いため、どちらかと言えば『影響は受けたが、それを踏み台に咀嚼・昇華して己の血肉とした』と私は捉える。

 ・それでも重厚型作品に対する追い風を受けて制作されたであろう背景は、明らかに『新世紀エヴァンゲリオン』のもたらした恩恵に乗ってはいる。ここにスポンサの『パクれ圧力』(※後述)がなかったとは思えない。ゆえに、『故意に類似性を持たせた』可能性を私は指摘する。


 というところです。

 ここで『パクれ圧力』(※)と申しますのは、庵野秀明監督が『不思議の国のナディア』制作にあたってスポンサ(NHK:日本放送協会)から「『ラピュタ』を作ってくれ」という発注を受けたという事実と、それに類似した現象を指します。


 いわゆる『エヴァ厨』の「ラーゼフォン=パクリ」論は、言ってしまえば「少しでも似ている要素は“害悪”」とする論であり、極言すれば「『ふしぎの海のナディア』(庵野秀明監督)は『天空のラピュタ』のパクリであり、『トップをねらえ!』(庵野秀明監督)は『トップガン』と『エースをねらえ!』のパクリであり、『新世紀エヴァンゲリオン』(庵野秀明監督)すら数々のオマージュ元のパクリであり、要するに自分たちの信奉している作品は庵野秀明監督の作品を含め、全部“害悪”である」と断罪する盛大なブーメランに過ぎないわけです。


 『ラーゼフォン』『ガサラキ』(高橋良輔監督)などの制作当時、背景にあった『パクれ圧力』を否定することはできないでしょう。なので、あとはいかに『新世紀エヴァンゲリオン』の影響を昇華させて自作品の糧とするか、その真摯度を見極めるしか切り分ける術はありません。


 結局のところ、『パクリ疑惑』なるものが行き着く果ては盛大なブーメランでしかありません。見るべきは『「安易な創作姿勢」と「覚悟を込めた創作姿勢」を見分ようとする意志』でありましょう。そしてここに明確な基準はありません。


 要するに。

 『ラーゼフォン』に対して『パクリ論』を展開する『エヴァ厨』を初め“極論者”は、そもそも論点を履き違えているのです。

 もっと踏み込むなら、『パクリ論』自体が議論の土俵にすら乗っていません。よって『パクリ論』そのものには真面目に論ずる価値はないものと、私は判断します。


 ・・・


 完璧ですね。こうなると、もはや私のような無知な愚か者に付け加える言葉はありません。一刀両断、という感じでしょうか。まあ最終的には、ラーゼフォンに対する「エヴァのパクリ」「真面目に作られたエヴァ」という意見が正しいかどうかは、あなたが両方を観て判断してくださいとしかいいようがないですが。

 ただ、私は今後もエヴァンゲリオンという作品を観る気はありません。エヴァ厨の狂気めいた「エヴァこそ最高のアニメであるマンセーハラショーブラボー」な言葉や態度、さらに他の作品を「エヴァのパクリ」と決め付ける姿勢は、当時から本当に不愉快でした。今も、心底から不快なものを感じています。おかげで『残酷な天使のテーゼ』『魂のルフラン』のイントロを聴くだけで反射的にイラッとくるようになってしまいました。

 念のためもう一度書きますが、私はエヴァンゲリオンを観ていません。ですから、エヴァンゲリオンという作品そのものに対し思うところは何もありませんし、批判する気もけなす気もありません。ただただ、エヴァ厨が嫌いなだけですので。

 あと、どうでもいい情報ですが……いざという時「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」という、有名な例のセリフを言い続けるのは、逃げることを強く意識してしまいかえって逆効果になるそうです(個人差はあるかもしれませんが)。むしろ「お前を殺す絶対に殺す」というような言葉を言い続ける方が、土壇場では効果的だとか。武道家としても有名な故・真樹日佐夫先生は「死ぬ気になったらダメだ! 相手を殺す気で行け!」と弟子に激を飛ばしたそうですが……逃げちゃダメだ、よりは効果があるような気はしますね。


  

 最後に、エヴァ厨がどんな人か知りたければ、Amazonの『ラーゼフォン-ヘミソフィア』のCDのレビュー欄にある「比べてしまうのは仕方ない」というタイトルの痛すぎるレビューを読んでください。ここで私が書いていた文章が、嘘でも大げさでもないと理解していただけると思います。








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― 新着の感想 ―
[一言] まずは投稿お疲れ様で御座います。 エヴァンゲリオンと言えば当時上から目線の解説本がやたら出回って心底閉口した記憶が有ります。 "宗教じゃねーんだから皆んな落ち着け"とアレに嵌った信者と飲み…
[一言] エヴァンゲリオンについて。二十年くらい前に、テレビ放送分をビデオで観ました。結構面白かったのですが、最後のシーンが自己啓発セミナーみたいで、一気に醒めました。巨大さの表現とか、生身である部分…
[良い点] ラーゼフォンとエヴァンゲリオン、似ているといえば似ている作品でしたね。でもそれぞれに面白いものでした。 けれどラーゼフォンに対する評価がパクりと評されていることは、自分も聞いたことがあり…
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