『ジョン・ウィック』 キアヌのアクションに脱帽(違う意味で)
今回は、キアヌ・リーヴスのファンにとってかなり不快な内容となっています。なので、キアヌに対する悪口を目にしたくない方は、これ以上は読まないことをお勧めします。
今回は映画『ジョン・ウィック』について語ります。とは言っても、主人公を演じたキアヌ・リーヴスの演技やストーリーについて深く語るつもりはありません。あくまで、アクションシーンについてのみ語るだけです。なお、念のためもう一度書きます。キアヌのファンの人には、ここでブラウザバックをお勧めします。はっきり言って、読んで不快な気分になるのは間違いありません。
この『ジョン・ウィック』、あらすじを簡単に書きますと……足を洗った伝説の暗殺者が、最愛の女を病気で失った上に女の遺した犬をロシア系ギャングに殺され、ギャングに復讐していくという話です。「キアヌのアクションが素晴らしい!」「ガンフー最高!」などと言う称賛の言葉を、かなり目にしました。シリーズ三作目まで公開されているので、人気作であるのは間違いないですね。
先ほども書きました通り、私はストーリーに関し文句を言うつもりはありません。むしろ私は、単純なストーリーのアクション作品は好きです。ただ、キアヌのアクションについては文句を言わざるを得ないですね。正直、とてもがっかりさせられましたので。
まず、アクションシーンを観ていて感じたのは……全体的に「キアヌ鈍臭い」ですね。格闘したり攻撃を避けたり走ったり……全てにおいてトロく鈍いんですよ。おそらく元々の運動神経が悪いのではないかと思われますが、動きが固くてぎこちなく見えました。
特に打撃の攻防においては、見ているこっちが「あちゃあ」と頭を抱えたくなるシーンの連続でした。相手を蹴る、という動きは、もろにアクションの上手い下手が出てしまう気がしますね。
また、この作品でキアヌはブラジリアン柔術の動きを見せています。ひょっとすると、格闘技を知らない人たちには柔術の動きが新鮮なものに見え「アクション凄い!」という感想に繋がったのかもしれません。
私は観ていて、全く違う印象を受けました。寝技に入る前のひとつひとつの動作が固く、そのため打撃よりさらに鈍臭い動きに見えてしまうんですよね。三角絞めや腕十字にいくまでの動作が、本当に固いんですよ。柔術黒帯の人たちの流れるような動きを見ていただけると、違いがはっきりわかるでしょう。まあ黒帯の人たちと比べるのは酷でしょうが、日本の俳優でもキアヌより上手い人はいます。
どうせ柔術やるなら『凶気の桜』で須藤元気が巨体の外国人相手に食らわした飛びつき三角くらいのことはやって欲しかったですね。あるいは『ワイルド・スピード』の一作目にて故ポール・ウォーカーがヴィン・ディーゼルに下からの腕十字を極めたが、ヴィンが力任せに片腕で持ち上げバスターで叩き付けて外した……くらいの場面を作って欲しかったです。
あと、わかっていない人が多いようなのですが、この作品のキアヌの戦い方には、リアリティなどありません。リアリティがないのに、動きが鈍臭く見える……これ、殺陣としては最悪な気がします。
とにかく、私はこの作品のアクションシーンは、全く評価できなかったですね。「キアヌ鈍臭い」の一言で終わりでした。「アクション凄い!」「ガンフー最高!」というような評価しか見ておらず、かなり期待していたんですが……がっかりでしたね。
ただし、これはあくまで私個人の感想です。格闘技をやってない人には、動きの鈍臭さが気にならないのかも知れません。また、これから『ジョン・ウィック』を観ようと思っている人は「キアヌ鈍臭い」「動きが固い」という事実を念頭に置いておけば、逆に楽しめるのかも知れません。
蛇足かも知れませんが……かつて『リベリオン』という映画がテレビで放映されました。「あれはマトリックスのパクリだ」「ありきたりのディストピア映画」という評判を聞いていたので、大して期待もせずに観たのですが……衝撃を受けました。内容については語りませんが、クリスチャン・ベールの演技やアクションが本当に素晴らしかったですね。『マトリックス』の主役であるキアヌとの動きの差は歴然としていました。「マトリックスのパクリ」などと聞かされていたリベリオンでしたが、アクションシーンに関しては完全にマトリックスを超えていたように思います。ちなみにリベリオンは、後の様々な映画やゲームなどにも影響を及ぼした作品です。
なので、前評判によるハードルの高さというのは、かなり大きいですね。『ジョン・ウィック』も、前評判さえ聞かないで素の状態で観ていれば「キアヌ鈍臭いけど、まあまあ面白かったな」で終わっていたかもしれません。
ただ、鈍臭いアクションでも客を呼べるあたり、キアヌが本物のスーパースターであるのは間違いないですね。




