麻雀と野次の話
今回は麻雀の話です。ルールを知らない人にもわかるように書いたつもりですが、もしわからなかったらすみません。私の文章力のなさゆえです。
高校生の時、我々は地元の友人の家に集まり、毎日のように麻雀をしていた時期がありました。そこには六人から八人くらいの人数が常にたむろしており、溜まり場と化していたのです。
ここで一応、説明します。麻雀は、四人で遊ぶゲームです。しかし、五人以上いた場合は、誰かひとりが抜けないといけません。抜け番の人は、漫画を読んだりテレビを観たり抜け番の人同士で喋ったりゲームなどしたりしていたのです。
さて、とある日のことですが……思わぬ事態が起きました。私が学校の帰りに友人宅へ行くと、場の空気が凍りついていました。友人のAとBが、何やら言い合っているのです。どちらも殺気立っており、今にも喧嘩が始まりそうな雰囲気でした……私たちは、とりあえず二人の間に入り、なだめすかしてその場は解散しました。
その後、一部始終を見ていた者たちに事情を聞くと……抜け番だったAが、麻雀をしていたBの打ち筋を後ろで見て「何それ」「そんなの切るかなあ」「超下手だな」などと言い続け、Bがブチギレて言い返したということでした。まあ、有りがちな話ですね。
ところで、私は麻雀の強い人間、特に競技麻雀ではなく賭け麻雀で勝っている人間は……そのほとんどが、クズに近い人格の持ち主だと思っております。
どんな業界でも、強い人間というのは多少クセのある人格ですが……特に麻雀というゲームは、その性質上ウソやハッタリで他の者を騙したり、裏をかいたり引っ掛けたりという戦法が必要不可欠です。さらに、勝ち抜くためには相手に情けはかけられません。こいつツイてないな……と判断したら、その者をターゲットにして徹底的に叩き潰します。正々堂々と戦う、などという概念は、麻雀にはありません。
ましてや、賭け麻雀などは競技麻雀と違い「手段を選ばず弱い奴から金を巻き上げよう」という世界です。勝ち抜く人間は、本当にえげつないタイプが多いですね。ツイている奴にアシストして二人を徹底的に潰させ、自分はガードを固めて浮きの2位狙い……などという戦法は当たり前です。『ギャンブル必勝法』の章に登場した名取氏などは、麻雀の最中に相手の心をへし折るような言葉を何度も投げつけるそうです。
そもそも、本当に腕に自信があり麻雀が好きなら、競技の世界に行けばいいのに……その選択をせず賭けの世界に留まっていること自体、どういった人格であるかは言わずともわかるでしょう。
また、「俺は麻雀が強い」などと公言する人がいたら、あまりお近づきにならない方がいい気はしますね。その発言が本当であり麻雀が強いなら、性格が良くないのは間違いないでしょう。その発言が嘘であるなら、今度は見栄っ張りの嘘つきということになります。どちらにしても、あまり褒められたものではありません。あと、大したレベルでもないのに強いと勘違いしているケースもありますが、これはこれで面倒くさいタイプなので相手にしない方がいいかと。
もうひとつ、麻雀漫画では「裏社会の巨額の利権を巡り、ヤクザや裏の世界の大物が凄腕の雀士を代打ちとして雇い麻雀で勝負する」などという話がノンフィクションとして書かれていたりしますが、あれはフィクションであり現実には有り得ないそうです。私なんかが言わずとも、皆さん理解しているとは思いますが念のために書きました。
ちなみに、私の麻雀歴はそこそこ長いですが、はっきり言って弱いです。が、弱いことを恥じる気持ちは全くありません。むしろ、賭け麻雀の強い連中のクズさ加減をさんざん見て来ましたので、ああいう連中と同類にならなくてよかった……と、本気で思っております。
麻雀に関する話はここまでにしましょう。「岡目八目」という言葉がありますが、どんなゲームでも傍らで見ている側は無責任であり、好き勝手なことを言えます。そのため、思わぬトラブルも有りがちですね。
知人から聞いた話ですが、刑務所では人が将棋や囲碁をしている時に、他の人間が覗いてはいけないそうです。なんじゃそりゃ、と思いましたが……よくよく聞いてみると、受刑者同士の余計な争いを避けるためという理由があるそうです。横で見ている人間の軽口にブチギレたり、いい加減なアドバイスを真に受けて実行した挙げ句に負けた……それがきっかけとなり、喧嘩になることがよくあったそうです。それを避けるため「他人が囲碁や将棋をしている時は覗いてはならない」という決まりが出来たそうです。全ての刑務所にそんな決まりがあるのかは不明ですが、知人が行っていた某N刑務所には確かにあったそうです。
そんなわけですので……今回言いたいのは、人が何かをやっている時は、冷やかすような発言は控えましょうということです。軽い気持ちで言ったことに、やっている当の本人はブチギレる……という事態を、私は何度も目にしています。なので、友人同士のゲームの野次はほどほどに。なんか、ものすごくスケールの小さな話ですみません。




