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エッセイ書いたんだよ!  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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ハイエナ

 古い話で恐縮ですが、スーパーボランティアの方が話題になったことがありました。行方不明になっていた男児を救出するためボランティアとして現地に赴き、現地の捜索隊が三日間発見できなかった男児を、たった三十分の間に発見して救出したそうです。

 ただし、この尾畑さんを称賛する一方で「捜索隊は何をやっていたんだ」「無能な連中ばかりだ」などと、捜索隊を罵倒するような声もあったそうです。

 こんなことは、いちいち言うまでもないのですが……それまでの捜索隊の地道な活動があればこそ、尾畑さんは子供を発見できたのです。以前に捜索隊が探した場所を外して、いそうな所を絞りこんでいく……この過程がなければ、尾畑さんとて簡単には見つけられなかったでしょう。さらには、運という要素が多少なりとはいえ影響したことも否定は出来ません。

 ところが、世の中にはそんな簡単なことすら理解できず、結果……いや、又聞きの断片的な情報だけで有能か無能かを判断してしまう人が少なからずいるようです。なので、これから挙げるような人たちが出て来るわけなんですよね。

 なお、私は尾畑さんを誹謗中傷しているわけではありません。くれぐれも勘違いしないでください。




 ヤンキーの集団に必ずひとりはいるのが、喧嘩の時に最後だけ暴れる奴です。

 大抵、ヤンキー同士の喧嘩というのは血の気の多いひとりが先頭を切って殴りかかって行き、それが引き金となって全員が入り乱れての乱戦になるケースがほとんどですが……中には、その状況でも我関せずという態度の者もいます。周りで友人たちがド突き合っているのに、ひたすら傍観者に徹しているんですよ。

 ただし、このタイプが最後まで傍観者なのかというと……そうでもないんですよ。仲間たちの勝利が、ほぼ確定した……そうなった途端、猛然と相手に襲いかかるから始末に終えません。それまでスタミナを温存していた分、無茶苦茶に暴れたりするんですよ。

 で翌日には「俺たちが、奴らをボコッてやったんだよ」などと吹聴したりします。まあ、現場にいた人間は真実を知っていますが、そうでない人たちは「あいつハンパじゃねえ」などと評価したりしてしまうんですよ。

 もっとも、ヤンキーの喧嘩くらいなら可愛いものです。実は、どこの会社にもこの手の人物が必ずひとりはいるんですよ。

 大変な現場で、他人があくせく動いている中、自分も動いているふりをしてサボる。で、周りの働きでようやく落ち着いた頃、急にてきぱき仕切り出したりします。で、最後に「俺が仕切って上手く回したから、なんとか終わらせられたんだ」などと吹聴します。

 あるいは、時間をかけて少しずつ関係を築き、一進一退の話し合いを経て、ようやく最終段階にこぎつけた商談。そこにいきなり首を突っ込み、上手くまとまったら「俺がいたから、あの商談は上手くまとまったんだよ」などと周囲に語ったりします。

 要するに、ハイエナなんですよね。狩りの上手い動物が時間をかけて捕まえた獲物を、横からかっさらう……要領がいいと言ってしまえばそれまでですが、自分の獲物をかっさらわれたら不快ですよね。

 皮肉なことに、世の中には断片的なデータや伝聞などで物事を判断してしまう人が少なからず存在しています。また、ハイエナという人種は自分の手柄を声高に吹聴しますが……えてして、こういう声の大きな人の語る話ほど広く知れ渡っていったりもします。結果、ハイエナは大したこともやっていないのに出世してしまう……こともあるんですよ。もっとも、正体を見抜かれて周囲から嫌われるケースがほとんどかとは思いますが。

 この手の人種は、ある程度の規模の集団には、必ずひとりはいることでしょう。くれぐれも、あまりお近づきにならないようにしてください。

 念のため、もう一度書きますが、スーパーボランティアの尾畑さんがハイエナだと主張しているわけではありません。誤解しないでください。








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