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エッセイ書いたんだよ!  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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ある日のニュース

 先日のことです。

 自宅に帰った私は、とりあえずテレビのスイッチを入れました。時刻は十一時近かったでしょうか。私は画面もほとんど見ず、着替えていました。

 その時です。テレビから、覚えのある名前が聞こえてきました。その名前には特徴があり、私の記憶の片隅に引っ掛かっていたのです。

 思わず画面を見た私は、唖然となりました。そこには、かつての知り合いが映っていたのです。

 とある事件の、容疑者として……。




 その男・ボウ(もちろん仮名です)と会ったのは、二十年近く前のことでした。友人を介して知り合いになったのです。

 ボウは、はっきり言ってバカでした。小学校すら、まともに行っていないのではないか……と思わせるような言動が目立っていたのを今も覚えています。しかも喧嘩早く、シンナーを吸っているという話もしていました。まあ、よくいるチンピラですね。

 もっとも、彼の境遇には同情する部分もありました。ボウは施設で育っており、周囲はとんでもない不良少年ばかりだったとか。彼の言っていたことが、どこまで本当かはわかりません。が、当時の施設にはよくない噂が多かったのも聞いております。少なくとも、ボウの育った環境が少年の健全な成長に最適なものでなかったのは確かです。

 その後、ボウはシンナーを吸いすぎて暴れ、警察に逮捕されたという話を聞きました。その後、今に至るまで噂すら聞いていなかったのです。

 まさか、こんな形で再会(?)するとは思いませんでした。


 約二十年ぶりに、テレビの画面越しに見るボウは老けていました。髪はだいぶ薄くなっていましたし、当時はかけていなかった眼鏡をかけていました。もっとも、昔から目は悪かったのかもしれませんが、私の前で眼鏡をかけていなかったのは確かです。

 ガラの悪いおっさんと化して、手錠をかけられ警官に連行されていたボウ。しかし、その顔には若い時の面影がはっきりと残っています。私は、なんともやるせない気持ちに襲われました。かつて、彼と交わしたしょうもない会話の記憶が呼び起こされ、その日は寝付くまで時間がかかりました。

 彼の起こした事件は、幸いにも死人も怪我人も出ませんでした。しかし、実刑は免れないでしょう。ボウは、これから刑務所に行くこととなります。

 出所した時、彼はさらに年をとり、今よりもさらに住みにくくなった社会にたったひとりで放り出されるわけです。自業自得と言ってしまえばそれまでですが……彼は、自身の行く末に希望を見いだすことが出来るのでしょうか。そのことを考えると、なんとも言えない気分になります。




 ここからは、完全に余談ですが……私は、はっきり言って宗教は嫌いです。どちらかといえば無神論者ですし、どこの宗派にもかかわりたくありません。

 しかし……もし許されるなら、ボウのような人間こそ、宗教が救ってあげて欲しいと本気で思います。刑務所を何度も出入りし、自らの行く末に何の希望も見いだせないような人たちの心を救済し、嘘でもいいから希望を与えて欲しいです。それが洗脳と呼ばれるようなものであったとしても、罪を重ねた挙げ句に他人を傷つけるよりは、ずっとマシではないでしょうか。某学会でも某光でも某証人でもなんでもいいので、是非ともお願いしたいです。

 もっとも、かつてのオウム真理教のようなものも、未だに存在するかもしれないですからね……難しいところではあります。が、彼らのような人間を救う手段のひとつとして、宗教もありなのかな……という思いがあるのも確かですね。






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