最近の薬物事情
ちょっと前の話ですが、某ワイドショーにて、このようなニュースが放送されていました。
「ネットでは、◯◯、◯◯◯と検索すれば簡単に●◯が買えてしまう」
念のために説明しますと、●◯とは薬物です。◯◯は、その薬物の隠語であり、◯◯◯は「直接、顔を合わせて取り引きしますよ」という隠語です。件のワイドショーでは、伏せ字もピー音もなく全て隠さずに放送されていました。調べる気になれば簡単にわかるだろうとも思いますが、ここではあえて伏せ字にしています。
正直、私は半信半疑でした。いくら何でも、そんな簡単ではないだろうと……が、念のために予備の「ガラケー」で調べてみました。
数分後、私は唖然となっていました。ワイドショーで放送されていた◯◯、◯◯◯という言葉を検索したら、出るわ出るわ……売人のものらしい掲示板やツイッターでの呟きが、いくつも見つかったのです。しかも、テレグラムやスカイフォンの番号やメアド、果ては携帯電話の番号まで堂々と載せていたのですよ。
私は、自分が無知であったことを思い知らされましたね。まさか、こんなことになっていようとは考えもしませんでした。
ネットが今ほど一般的でなかった時代、薬物を買う連中は売人を見つけるのに、いろいろ苦労していたそうです。
ほとんどの場合、最初は友人や知人が仕入れてきた物を買う……ところが、その関係は長続きしません。仕入れていた友人知人が逮捕されたり、薬物をやめてしまったり、ヤバい人たちと揉めたりして行方をくらましたりして、薬物を手に入れるルートが断たれてしまいます。
そうなると、新しいルートを開拓しなくてはなりません。が、これが厄介なんですよ。基本的に、売人は繁華街に立っていたりします(昔の話です)が、それを見つけるのが一苦労です。仮に、それらしい人を見つけたとして……どうやって売買の話をするか、そこが問題です。人見知りするタイプの人には、まず無理でしょう。まあ、それ以前に初対面のチンピラやこわもての外国人に近づいていき「ネタある?」などと話しかけられるのは、普通の神経では無理でしょうね。
実際の話、売人との縁が切れてしまったために、薬物を絶つことが出来た人もいたそうです。つまり、それだけ新しいルートを開拓するのは難しかったようです。
ところが、今はネットで二つの隠語を組み合わせることにより、簡単に売人と接触できてしまう……らしいんですよ。これは、本当に驚きでした。どうやら今の時代、薬物を手に入れるのは昔より簡単なようですね。
もっとも、薬物というのは最初の一歩を踏み出すか踏み出さないか、そこが肝心なんですよね。薬物をやった経験のない人にとっては、いくら簡単に手に入ろうが、何の意味もありません。全く興味のないものが、ネットで売られている……その程度の認識でしかないでしょうね。
つまり、今は昔に比べ薬物は手に入りやすく、ヤク中にとってはありがたい。ただし一般人にとっては、あまり関係ない……という結論で終わりたいところですが、見ていて気が付いたことが、もうひとつあります。掲示板には「こいつ詐欺」「騙された」などという文も書き込まれていました。どうやら、薬物を売ると言いながら、偽物を売り付ける者がいるようです。
また、「叩きに遭った」「偽札つかまされた」などという書き込みもありました。叩きとは強盗の隠語ですので、売買の時に襲われた……ということでしょう。売り手と買い手のトラブルは、少なからずあるようですね。
念のため書きますが、こういう連中とは絶対に接触しないでください。裏社会の住人と接点を持っても、いいことなどひとつもありません。彼らは、最初は妙に礼儀正しかったりしますが……仲良くなるにつれ、本性を現してきます。また、この売人連中が逮捕されたら……スマホの記録などから、あなたの元に刑事が訪れたりすることもあります。つまらない好奇心から、連絡を取ったりしないでください。
最後にひとつだけ……冒頭で触れた番組は、『反社会的勢力って、何ですか?』の章で少し触れた、ピエール瀧さんをボロクソに攻撃していたワイドショーです。反社会的勢力がどうとか偉そうに言いながら、ネットにおける薬物の購入に必要なキーワードを、地上波のテレビ番組で伏せ字もピー音も無しで堂々と放送している……これ、倫理的にどうなんでしょうか。女の子の乳首にモザイクかけるよりも、遥かに配慮しなくてはならない問題なはずなんですけどね。まさに、反社会的勢力の商売を手助けしているようにしか思えないのですが。




