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エッセイ書いたんだよ!  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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強盗だけはやめましょう

 最近(二〇一九年の二月から三月)、アポ電強盗なる言葉をよく耳にします。もっとも、某芸能人の薬物事件による逮捕のため、だいぶ影が薄くなった気がします。

 このアポ電強盗ですが……手口としては、まず今の懐具合や家族状況を調べるための電話がかかってくるそうです。で、家に金があることを確認したら、家に強盗に入る……まあ、押し込み強盗の進化型でしょうか。

 二月には、アポ電強盗により八十歳の老人が亡くなりました。何とも痛ましい話です。犯人は、二十代の若者三人だそうですが、私には何も言えません。まだ二十代の若さで、残りの人生を閉ざしてしまうとは……彼らの未来には、まだまだ様々な可能性があったはずなのに。こんなことを書いていると「お前は犯罪者の味方をするのか」などとお叱りを受けそうですが、やりきれないものを感じてしまいます。

 私がここで何を書こうが、たいした影響がないのはわかっています。私が何を言おうが、現実に犯罪に手を染めている人には何の効果もないでしょう。

 ただ、これだけは言わずにはいられません……強盗は本当に割に合わない、と。ひとりでも多くの方に、このエッセイを読んで、強盗という罪のバカバカしさを知っていただきたいです。 



 以前にも書きましたが、強盗とは本当に割に合わない犯罪なんですよ。

 例えば、百万円を無人の家から盗んだ場合は窃盗です。この場合、初犯なら一年半から二年くらいが相場だそうです。しかも、執行猶予の可能性も低くはありません。恐らくは、六割以上が執行猶予でしょう。

 それに対し、どこかの店に刃物を持って押し入り、店員に「金出せ! 殺すぞ!」などと言って百万円を奪ったとしましょう。この場合は強盗です。初犯でも、五年以上の実刑は免れないですね。執行猶予は、九割方ありえないでしょう。

 しかも、店員がおとなしく金を出してくれればいいですが……抵抗してきたなら、さらにとんでもないことになります。この場合、選択肢は二つです。諦めてさっさと逃げるか、あるいは戦うか。

 仮に、逃げるを選んだとしましょう。はっきり言えば、それが正解です。金が取れないなら、長居は無用でしょうね。でないと、確実に厄介なことになります。

 では、戦うを選んだ場合……これは最悪の選択ですね。店員に怪我をさせたら、強盗傷害です。この場合、どうなるか正確なところはわかりません。が、確実に罪は重くなります。知人は、強盗が未遂だったにもかかわらず、傷害が付いてしまったため五年でした。強盗傷害ともなると、七年以上にはなるでしょうね。

 さらに最悪のケースが、店員を殺してしまった場合です。これは、強盗殺人となります。この場合、無期懲役もしくは死刑です。前にも書きましたが、初犯の殺人事件の場合は、ひとり殺しただけでは死刑にはならないケースが多いそうです。しかし強盗殺人の場合、ひとり殺して死刑……というケースも珍しくありません。強盗殺人は、本当に重いんですよ。

 運よく無期懲役になったとしても、その後のほとんどの時間を刑務所で過ごさねばなりません。仮釈放で出られるのも、だいたい三十年後だとか。

 たまに「俺の人生詰んだ」などと口にする人がいますが、本当に人生詰んでいるのは、こういう人たちでしょうね。まあ自業自得と言ってしまえばそれまでですが。


 


 さて、ここで考えてみて欲しいのですが……そもそも、何のために罪を犯すのでしょう。お金が欲しいから、ですよね。お金を手に入れるために、死刑になるかもしれないリスクを冒す……これ、バカらしいと思いませんか。

 強盗の上に殺人ともなると、警察の力の入り方が違って来ます。刑事ドラマに登場する捜査本部みたいなのが設置され、落ちている髪の毛一本をDNA検査したり、路上に設置されている防犯カメラの映像を隅々までチェックしたりするとか。これが本当だとすれば、強盗殺人をやらかして逃げ延びるのは、宝くじに当たるのと同じくらいのレベルの運の良さが必要でしょうね。

 もとより犯罪というのは、様々な不確定要素が絡んできます。想定外の事態も起きやすいです。計画では、店に押し入り店員に刃物をちらつかせれば、簡単に金を出すはずだった……ところが、店員が抵抗してきたため、刺してしまった。こういう事態は、現実には珍しくありません。

 かつて強盗で逮捕され刑務所に服役していた知人は、しみじみと語っていました。


「強盗だけは、本当に割に合わない。強盗で捕まるのは、ほとんどが罪の重さをわかってない奴だ。でも、俺は誰も怪我させなくてよかったよ」


 そう、強盗がいかに重い罪なのか……わかってない人が、意外に多いんですよ。ワイドショーなどでよく言われるのが「刑罰を重くすれば犯罪の抑止力になる」という意見ですが、そもそも重いことすら知らない人の方が多いんですよ。ですから、刑罰を重くすることが抑止力になるとは、私には到底思えません。

 話がちょっとズレましたが、このエッセイを読んでいる人には知っておいていただきたいんですよ。何度も言いますが、強盗は割に合いません。特に強盗殺人は……被害者の命と、加害者の命をも奪う罪です。そもそもの目的が金であるならば、これほどバカバカしいことはありません。自分の命がなくなったら、金を遣うことは出来ないんですよ。戦場に赴く兵士でもあるまいに、僅かな金のために命を賭ける必要があるのでしょうか。

 しかも、世の中というのは計画通りに行くとは限りません。強盗だけで終わらせるつもりが、終わってみれば強盗殺人になってしまった。これは、充分に有りうる話です。

 強盗は、何かの弾みで強盗殺人になってしまう……すなわち、死刑になるリスクが常につきまとうんですよ。

 本当に、強盗だけはやめましょう。








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