ヤンチャの代償
先日、かつての知人から電話が来ました。三年ぶりでしょうか……話を聞いてみると、予想通り刑務所に入っていたとのことでした。私は複雑なものを感じながらも、知人といろいろ話をしました。その時、つくづく思ったのですが……人生というものは、基本的には蒔いたものを刈り取るように出来ているんですね。
かつてヤンチャをしていた人たちは、三十代あたりになると、いきなり死んでしまうことがあるんですよ。死因は様々ですが、こっちが「えっ?」と思うような病気で亡くなるケースも少なくありません。
しかし、それも当然なんですよね。彼らは、十代の頃から無茶ばかりしています。タバコ、酒、さらには薬物……そうした体に悪いものを、成長しきっていないうちからガンガン摂取しています。さらに、健康に良いことなど全くしていません。ろくな栄養も取らずに、仲間と徹夜でバカ騒ぎ。これが、当たり前の生活ですからね。
それでも、十代のうちなら問題はありません。若いから、少々の無茶をしても翌日には回復しています……表面上は。しかし、そのダメージは体に蓄積していきます。やがて、そのダメージが表に出てくる時が来るわけですよ。
特に悲惨なのが、俗に言うアッパー系の薬物(覚醒剤やコカイン)をやっていた連中ですね。
彼らの多くは、十代のうちから薬物をやっています。仲間と一緒に薬物をやり、夜通し騒ぎます。薬物が効いているため眠気もないですし、食欲もありません。飲まず食わず眠らず、ただ薬物のみを摂取する……下手すると、一週間寝ないこともあるとか。
やがて、そんな日々にも終わりが訪れます。仲間が薬物でおかしくなったり、警察に逮捕されたり……悲惨な姿を間近で見ているうちに心底から嫌になり、薬物をやめていきます。青春ドラマや映画ならば、主人公が薬物をやめて真面目になり、そこでハッピーエンドとなるのでしょう。
しかし、現実はそこで終わりではありません。年老いてから、若い頃にやったバカ騒ぎのツケを払わされるケースは少なくないんですよ。
当たり前の話ですが、薬物をやって一晩寝ないだけでも体にはダメージがあります。その上、食べていないというのは致命的ですね。これは、寿命を削っているのと同じ行為なんですよ。結果、体には深刻なダメージが蓄積していきます。
やがて、そのダメージはシャレにならない形で表面化します。心臓や肝臓といった臓器の病、さらには血管の異常として現れるケースもあるようです。三十代に入り、いきなり心臓発作を起こして死んでしまう。あるいは、突然の脳梗塞で帰らぬ人となる。とにかく、若い頃にシャレにならないようなヤンチャをしていた人たち(今はパリピとでもいうのでしょうか)は、三十代あたりで突然死するケースがありますね。
また、死亡まではいかなくても、一生残るようなダメージを負うこともあります。私の知り合いの中にも、三十代になってから胃ガンになり胃の半分を切除した人がいます。また、三十代になって急に持病が悪化した者や、体質が変わり数種類のアレルギー保持者になってしまった者などいます。皆、かつて薬物にハマった経験のある者です。
冒頭に登場した知人は「シャバに出てきたら、友達が二人死んでた」と言っておりました。どちらも三十代から四十代で、病死とのことです。病気には様々な要因が有るため、若い頃のヤンチャだけが原因だとは言いません。しかし、一因となっている可能性は高いでしょうね。
ここに書いていることは、全て私の見聞きした体験に基づくものです。数百人単位のデータを取り、詳細に考察し発表しているわけではありません。ですので、そんな説もあるよ……くらいのイメージで読んでください。
そんなわけですので、飲み屋などで「俺も若い頃は、すげえヤンチャしてよう」などと元気よく語ってるおっさんは、基本的には嘘か、もしくは大したことはしてないと思って間違いないでしょう。
ちなみに私も、大したことはしていません。そのため、今のところ体調には問題ないです。
ここまで書いてきましたが、実は若い頃からヤンチャの限りを尽くしてきたのに……何のダメージもなく、ピンピンしている奴もいるにはいます。
しかも、こういう奴に限って、人格的にもクズだったりします。周囲にさんざん迷惑をかけながら大病もなく、しぶとく長生きしたりするんですよ。世の中というのは、公平には出来ていないですよね。




