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第2話:正体は大魔道士



川辺に座る少年――フィンは、釣り糸を巻きながら言った。


「この村、いい風が吹いてるね。空が澄んでる。

空翔ける者が住んでる場所は、やっぱり違うな」


セレナは思わず目を見開いた。

「空翔ける者……それ、私のこと?」


フィンはにこりと笑った。

「もちろん。君とルゥの共鳴魔法、王都での活躍、全部見てたよ。

遠くからだけどね。あれは、なかなか面白かった」


レオニスが一歩前に出る。

「君は何者だ。村の子ではないし、旅人にしては妙に詳しい」


フィンは釣り竿を地面に置き、両手を広げた。

「僕はフィン。年齢は……そうだな、三百とちょっと。

見た目は少年でも、中身は大魔道士さ」


沈黙が流れた。


セレナは思わず笑ってしまった。

「三百歳? 冗談でしょ」


「冗談じゃないよ。長寿の種族でね。魔力の流れを調整すれば、見た目は好きにできる。

この姿が一番気楽なんだ。誰も警戒しないし、釣りも楽しい」


レオニスは目を細めた。

「確かに、君の魔力は……異質だ。

流れが深すぎて、底が見えない」


フィンは肩をすくめた。

「まあ、三百年も魔法をいじってれば、そうなるよ。

でも今日は、君たちに会いに来た。特にセレナにね」


セレナはルゥの背に手を添えながら、少し身構えた。

「私に……何の用?」


「君の魔法は、面白い。共鳴魔法っていうけど、あれはもっと深い可能性を秘めてる。

だから、少し教えてあげようと思ってね。魔法のこと、もっと自由に使えるように」


セレナは驚きながらも、心の奥に小さな興味が芽生えていた。

王都では戦うために魔法を使った。

でも、今は違う。

この村で、もっと穏やかに、もっと自由に魔法を使えたら――


「教えてくれるの?」

セレナが尋ねると、フィンは満面の笑みを浮かべた。


「もちろん。ただし、退屈な理論は抜きでね。

魔法は、楽しくなきゃ意味がない」


ルゥが静かに鳴いた。

それは、期待の音だった。


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