調書
久森直人はごく普通のおまわりさんである。毎日町をパトロールし、毎日事件現場に駆けつける、齢28のおまわりさんである。今日も今日とて、孫の家を探して迷っていたおばあちゃんを送り届けた後、行きつけのコンビニでカップラーメン味噌とんこつ味とアーモンドフィッシュを買って帰路についていた―――のだが。
ギュキイギギーギュ!!ギュイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。久森直人の魂と、女神が対面している。
「久森直人さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
久森直人(28)
レベル18
称号:転生者
保有スキル:調書
HP:58
MP:25
「というわけで、いきなり草原に放り出されたな、ここはいったいどこなんだ。管轄は。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がおまわりさんの前に現れた!
「むむ、スライム?!これは戦うべきなのか?!」
うろたえる、おまわりさん。
「保有スキルを使ってみよう…調書?」
うばほん!!!
おまわりさんがいつも乗ってるバイクが現れた!
「ちょっといいですか、あのね、少しお時間下さい、ええとお話を聞かせてもらいたいんですよね、貴方はここで何をしているんですか。危険物は持ってませんか。少し確認させて下さい、触りますよ…。」
スライムはおとなしく職務質問を受けているが…。
「ぎゃあああああああ!!!!」
あーあ、安定の展開だよ。おまわりさんは毒が回って絶命した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
おまわりさんは時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
おまわりさんはコンビニでカップラーメン味噌とんこつ味とアーモンドフィッシュを買って帰路についた。自宅近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「電話連絡はしてるな、事故処理車が来るまで車の誘導をしておくか。」
おまわりさんは、地域の住民が安全に暮らせるようパトロールに出かけたり小さな事件をいくつも解決したり、真摯な態度でまじめに仕事をして定年をむかえた後、酒に酔っ払って警察のお世話になるという失態を犯してしまったものの特に気にする様子はなく77歳でこの世を去ったということです。




