鋭い眼光
足立博之はごく普通のボディーガードである。毎日体を鍛え上げ、毎日要人を警護する、齢40のボディーガードである。今日も今日とて、BGをテーマにした映画の演技指導をした後、行きつけのコンビニでボタン電池CR2032とマカダミアナッツチョコを買って帰路についていた―――のだが。
ギュキイギギギュ!!ギュイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。足立博之の魂と、女神が対面している。
「足立博之さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
足立博之(40)
レベル37
称号:転生者
保有スキル:鋭い眼光
HP:100
MP:36
「というわけで、いきなり草原に放り出す、理不尽極まりないな、これだから権力者は…。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がボディーガードの前に現れた!
「スライム?!未知の生命体だ…!」
うろたえる、ボディーガード。
「保有スキルを使ってみなければ…鋭い、眼光…?」
目からビ――――――――ム!!!じゅっ!
ボディーバードの目から鋭すぎるビームが発射され、スライムは真っ二つになった!あまりにも鋭すぎて飛び散る隙もないまま、スライムの体の水分は地面にしみていった。
てれれてっててーーー!!!レベルが上がった!ボディーガードはレベルが38になった!
おっと?!草原の向こうから季節外れのイエティが現れたぞ?!
目からビ――――――――ム!!!じゅっ!
ボディーバードの目から鋭すぎるビームが発射され、イエティは真っ二つになった!
てれれてっててーーー!!!レベルが上がった!ボディーガードはレベルが39になった!
「くん、くーん!」
何やらかわいい子犬がボディーガードの足元に駆け寄ってきた!うはあ!めっちゃかわいい!!ボディーガードは無類のモフモフ好きだった!子犬を撫でまわすその目はにこやかに微笑んでいる!
がぶー!!
ボディー―ガードは子供を探しに来たガルムにがぶりと捕食されてしまった!ボディーガードの血は、ガルムの胸元を赤く染め上げたという。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
ボディーガードは時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
ボディーガードはコンビニでボタン電池CR2032とマカダミアナッツチョコを買って帰路についた。自宅近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「あと少し早く通りかかってたら明日の首相官邸がノーガードになるところだったな。」
ボディーガードは、鍛え上げた肉体で要人を守り続けていたのですがある時その目に転びそうなおばあちゃんが目に入り駆け寄ったその瞬間要人が狙撃され大問題になった挙句解雇となり、実は老人が組織の一員だったことを聞き自分の思い込みと軽率な行動を恥じて後悔の念が晴れないまま70歳でこの世を去ったという事です。




