腸活マスター
有馬美晴はごく普通の便秘気味である。毎日ヨーグルトを二パック食べ、毎日水を二リットル飲み干す、齢31の便秘気味である。今日も今日とて、こんにゃくゼリーを三袋一気食いした後、行きつけのコンビニでファイバードリンクとサイリウムカップヌードルを買って店に戻ろうとしていた―――のだが。
ギュキギッ!!ギュウキギュ―イイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。有馬美晴の魂と、女神が対面している。
「有馬美晴さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
有馬美晴(31)
レベル22
称号:転生者
保有スキル:腸活マスター
HP:12
MP:17
「というわけで、いきなり草原に放り出されてもなあ…。ちょっと、ここ、トイレあるの?今来たらどうすんのよ…。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が便秘気味の前に現れた!
「ひっ!!!スライム出たー!!うんこは出ないのにー!!!」
うろたえる、便秘気味。
「はっ、保有スキル!!試したら切り抜けられるかも!って!!腸活マスターって何よ!!」
うばほん!!!
便秘気味の前にでっかいテーブルと毎日食べてるものがわんさか現れた!横にはトイレも現れたぞ!!
「あ、この食べ物食べさせたらいいんじゃない?!ヨーグルト、ゴボウの煮物、こんにゃくゼリーに納豆、味噌、キムチ、漬物、納豆、ヨーグルト、バナナ、チーズ、アーモンド、アボカド、ひじきの煮物に、もち麦ごはん、コーヒーにおからの煮物、抹茶ラテ、よーし、全部食べさせよう!!」
便秘気味は食欲旺盛なスライムに次々と食べ物、飲み物を与えた!
ぎゅーぐるるるる・・・ヤバイ!!スライムがおなかを壊したぞ!!慌ててトイレに駆け込むスライム!!ひぃー腹いてえ―!!
「ちょ…!!!何爽快にうんこしてんのよ!!こちとらこれ全部食べても一週間音沙汰なしなんだけど?!腔腸動物のくせにイイイイ!!あんたのその透明な体のどこに大腸と小腸持ってんのよ!!キイイイイ!!!」
羨ましさから便秘気味はトイレで苦しむスライムに暴言を吐いている!トイレの中でスライムは怒り心頭だ!!!
ばん!!
スライムは全部出してすっきりした後便秘気味を捕食した!!うんこが出ないならお前がうんこになればいい!!スライムはひどい便秘になって、ようやく9日目にトイレに駆け込む羽目になったという。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
便秘気味は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まった前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
便秘気味は行きつけのコンビニでファイバードリンクとサイリウムカップヌードルを買って店に戻ろうとしていた。店の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「すこし早く通りかかってたらひかれてたよね?…ひかれたら出るもん出ちゃったよねえ、きっと…。」
便秘気味は、腸活に励むものの全然成果が上がらず、重たいおなかを抱えてどうしたもんかと頭を悩ませていましたがおなかの弱い人と付き合うようになってから急激におなかの調子が良くなり、88歳でこの世を去るときはどちらかといえばおなかの弱い人になっていたという事です。




