二枚舌
湯浅亜紀はごく普通のうそつきである。毎日息を吐くように嘘をつき、毎日ついた嘘のつじつま合わせにてんてこ舞いしている、齢24のうそつきである。今日も今日とて、いつもケンカばかりしている幼馴染からプロポーズされたけど断ったんだと会社で自慢した後、行きつけのコンビニでアイプチデラックスとロングマスカラを買って家路についていた―――のだが
ギュギュイッ!!ギュウキッギュイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。湯浅亜紀の魂と、女神が対面している。
「湯浅亜紀さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
湯浅亜紀(24)
レベル8
称号:転生者
保有スキル:二枚舌
HP:15
MP:28
「というわけで、いきなり草原に放り出されるとか。めちゃくちゃだよ、ほんと。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がうそつきの前に現れた!
「はああ?!スライム?!武器も何もないじゃん!どーすんの!むりげじゃん!」
うろたえる、うそつき。
「あっ!保有スキル!試したら勝てる?!二枚舌?…嘘つけってこと?!」
スライムは、今にも襲い掛かろうとしている!
「スライムは逃げない!!」
スライムはなぜか逃げないといけない気がしたので逃げ出した!!
「なーんだ!!この世界めっちゃ楽勝じゃん!」
ずざああああああああああああ!!!
いきなりうそつきの目の前にモンスターというモンスターが勢ぞろいした!!!これは相当苦労しそうだぞ?!
「ひいいいいいイイイイイ!!!モンスターは全員逃げ出さない…」
ばたっ。嘘つきは魔力枯渇で倒れた。逃げ惑うモンスター軍に踏みつぶされて嘘つきは絶命した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
うそつきは時間を巻き戻されて、コンビニの前に立っていた。コンビニの前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
うそつきはコンビニで行きつけのコンビニでアイプチデラックスとロングマスカラを買って帰路に就くと、家の近所の交差点で車の暴走事故が発生していた。
「もう少し早く通りかかってたらひかれてた?…恐わ!気を付けたところで引かれる時はぺっちゃんこか…。」
うそつきは、口を開けば嘘しか出てこなくなってしまい、自分でもナニが本当の事なのかわからなくなってしまった挙句人と話すことが怖くなってしまい急速に無口になったのち、その経験をツギッターで呟き始めたところフォロワー数が爆あがりし一瞬人気者になったのかと錯覚したもののはっと我にかえっておとなしく過ごし、70歳でそっと人生の幕を下ろしたという事です。




