営業スマイル
城田浩二はごく普通の営業である。毎日自社製品を売り込み、毎日営業先で笑顔を振りまく、齢30の営業である。今日も今日とて、営業先の仲のいい担当者と飲みに行った後、行きつけのコンビニでタクマ式ドロップとソイミルクを買って家路についていた―――のだが。
ギュウ―――キキ―――ッ!ギギキギュイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。城田浩二の魂と、女神が対面している。
「城田浩二さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
城田浩二(44)
レベル22
称号:転生者
保有スキル:営業スマイル
HP:25
MP:10
「というわけで、いきなり草原に放り出しますか…うちの会社並にブラックだな…。。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が営業の前に現れた!
「うわっ!スライムだ!やばいかな、襲ってくるかな?」
うろたえる、営業。
「そうだ、保有スキル試せば…って?!営業スマイル…。」
スライムは、今にも襲い掛かろうとしている!
「ど、どうも、はじめまして、私ラブラブアイテム異世界担当の城田と申します…にこぉ…。」
笑顔が硬い!!なっとらん!スライムはにっこり微笑んで見せ付けてから営業を丸のみした!
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
営業は時間を巻き戻されて、コンビニの入り口に立っていた。コンビニの入り口で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
営業はコンビニでタクマ式ドロップとソイミルクを買って帰路に就いた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「うわぁ!!もう少し早く通りかかってたら今月の売り上げ巻き返せないとこだったよ!!」
営業は、サービス残業当たり前のブラック企業に飼い殺されていましたが、営業先の店舗に引き抜いてもらってずいぶん生き生きと仕事をこなすようになり、営業成績もアップし、昔いた会社を見返すことができたのを自慢しながら70歳でこの世を去ったということです。




