あーあー、はいはい。
下平徹はごく普通のお調子者である。毎日図に乗って怒られて、毎日話も聞かずにいいよと返事をする、齢21のお調子者である。今日も今日とて、ハンバーガーのお持ち帰りの袋の中身が違っていたのをまるで気にせず、行きつけのコンビニでモカコーラとペポシコーラを買って家路についていた―――のだが。
ギュウギュキュ―――ギュギュキュキュ!!キギュイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。下平徹の魂と、女神が対面している。
「下平徹さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
下平徹(29)
レベル3
称号:転生者
保有スキル:あーあー、はいはい。
HP:8
MP:2
「というわけで、いきなり草原に放り出されたー!まーいっか!何とかなるわ!!だいたいこういうのってさ!」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がお調子者の前に現れた!
「お!スライムじゃん!僕は悪い人間じゃないよ!仲間にして!」
うろたえない、お調子者。
「保有スキルあるねえ、使った方がいいのかな?あーあー、はいはい、何これ?まあいいか、ははは!!!」
スライムは、今にも襲い掛かろうとしている!真剣な場でナニ笑ってんだ!!
「まあまあそういきらなくても。仲良くしようよ、ね?人類皆兄弟!ぎゃはは!!」
私は人類じゃないんですけどー?!スライムはお調子者をがっつり捕食した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
お調子者は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
お調子者はコンビニでモカコーラとペポシコーラを買って家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もーちょい早く通りかかってたら異世界転生でチートぶっ放してハーレム状態?フヒヒ!!」
お調子者は、懇意にしている先生に失礼な発言を何度も繰り返しているうちにブレーキが利かなくなり、相当やらかした後自爆してからはずいぶん落ち着きを取り戻し、思慮深い落ち着きのある人間になったものの飲酒で箍が外れてしまうこともしばしばで、人の本質とは変わらないものなのだという事を周りに知らしめたのち66歳の時に深酒をした次の日の朝、人生を終えているのを通行人に発見されたという事です。




