あんあん、あーん
高宮晴れの日優れはごく普通の赤ちゃんである。毎日にっこり笑って、毎日おむつを替えてもらう、齢0の赤ちゃんである。今日も今日とて、新しいベビー服を着ておばあちゃんちに連れていかれたあと、コンビニでお母さんの買い物が終わるのをベビーカーの上で眠って待っていた―――のだが。
ギュギュギ―――ギュ―――イッ!!ギュウキッギュイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。高宮晴れの日優れの魂と、女神が対面している。
「高宮晴れの日優れさん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「だあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
高宮晴れの日優れ(0)
レベル1
称号:転生者
保有スキル:あんあん、あーん
HP:1
MP:1
「うー、ぶぅ・・・。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が赤ちゃんの前に現れた!
「えへ!あん、なー。」
うろたえない、赤ちゃん。
「あんあんあーん、あー、ぶー!」
うわあ!この子めっちゃ可愛い!スライムは大喜びだ!スライムは赤ちゃんを育てることにした!しかし自分には毒がある、仕方がない、毒素をすべて排出しよう。スライムは毒素をすべて排出した。そして赤ちゃんを乗せたベビーカーとともに、草原を進み始めた。二人で行く草原のなんと心地いいこと!スライムは赤ちゃんに栄養満点の体液を与え、おむつを洗浄し、献身的にお世話をした。すると、ある日二人の目の前に腹をすかせたヴォジャノーイが現れた。スライムは戦おうとしたが毒を捨てていたためなすすべがなく赤ちゃんとともにひとのみにされてしまった。
「あぶ、あーん!あーーーん!!」
赤ちゃんは時間を巻き戻されて、コンビニの前に立っていた。コンビニの前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
赤ちゃんはコンビニでお母さんの買い物が終わるのをベビーカーの上で眠って待ったのち帰路に就くと、家の近所の交差点で車の暴走事故が発生していた。
「ぶー。」
赤ちゃんは、いわゆるキラキラネームを付けられてしまったのでそれなりに気苦労は多かったものの、改名するほどではなかったのでそのまま大人になり就職をし、営業職でばっちり覚えてもらって成果を残したのちずいぶん裕福な家庭を築き上げ、80歳でこの世を去ったという事です。
なお、自分の子供たちにつけた名前は、薫、純、遊、至という名前だったとのことです。




