力強すぎるお手
綱吉はごく普通の大型犬である。毎日散歩に一時間行って、毎日ご主人様の顔をべろんべろんとなめる、齢9の大型犬である。今日も今日とて、ドッグランでお友達犬のジミーちゃんと遊んだ帰りに、ご主人様行きつけのコンビニ前でご主人をお座りして待っていた―――のだが。
キキィイイ!!キ――イイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。綱吉の魂と、女神が対面している。
「綱吉さん、あなたは気の毒ですが犬生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「ばふ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
綱吉(9)
レベル15
称号:転生犬
保有スキル:力強すぎるお手
HP:100
MP:20
「ばふ!!わふ!!!!」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が大型犬の前に現れた!
「ばっふ!!ばうわう、ぶっふ!!」
興奮する、大型犬。
スライムは無邪気に飛び掛ってくる大型犬に躊躇した!ヤバイ!大型犬の手がお手を狙っている!!
ぶちゅびちゃああああ!!!
大型犬のお手が炸裂!!スライムはつぶれた!!大型犬はつぶれたスライムの感触を楽しんでいる!!スライムの体表が破れて、体液が染み出した!…ああ!!やっぱり安定の毒で絶命してしまった!!
「ばう!ばう!!!」
大型犬は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口でご主人様を待っていた。コンビニに入る前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
大型犬はコンビニ前でおとなしくご主人様の買い物が終わるのを待ったあと、家路についた。家の近くのコンビニで、車の暴走事故が発生していた。
「ばふ!!」
大型犬は、時折人が好きすぎて無遠慮に顔をべろりと舐めあげてしかられる事があったもののその温厚な性格から地域の住民に愛され続けた後、15歳でこの世を去ったとのことです。
なお、子孫の犬は皆温厚で、やはり舐め癖があるとのことです。




