表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/19

特訓編 3

「クトリール様、クトリール様っ!」


 プロネアに起こされて、目を覚ます。


「えへへ、すみません。あちらの世界に置き去りにしてきちゃいました」

「まったく、どうやって戻ろうかと思ってたぞ」

「本当は自力で戻れるんですけどね。クトリール様ももう少し慣れたら、勝手が分かると思います。あっ、ちなみにメニューはこちらの現実世界でも使えるので、是非とも活用して下さい」


 ためしに指先で中空を、トントンと叩いてみる。

 するとメニュー画面が表示された。

 おっ、本当に出てきたぞ。


「これでいつでもステータスを確認できますね。それでは区切りもいいですし、そろそろ、お昼休みにしましょうか。しっかり食べて午後に備えないとですね」

「もしかして、お昼休みのあとも訓練なの?」

「当然です。まだほんの少し、レベルアップしただけじゃないですか」

「他にもスキルだって習得したよ」

「私が差し上げたスキルじゃないですか」

「で、でも、ちゃんと覚えたし」

「それだって使いこなすには、訓練が必要だと思いますよ」

「大丈夫だよ、スキルの能力だって知ってるし」


 その言葉にプロネアがピクりと、眉を動かした。


「へぇー、先ほどクトリール様が手に入れたスキル。確かに元を辿ればゲームデータの保有者であるクトリール様のものです。能力もゲームをご存知であれば、分かることもあるでしょう。ですが、だからと言って、いきなり使いこなせると?」

「う、うん。そうだよ」


 ちょっと勢いよく啖呵を切り過ぎたかも。

 でも訓練なんて、もうしたくないし。


「分かりました。マスターであるクトリール様がそうおっしゃるのであれば、私としても無視はできません。予定を変更をして、これから卒業テストとします」

「えっ、お昼休みは!?」

「クトリール様には差し上げません!」


 そう言うと、プロネアは詠唱を唱え始めた。

 最初から魔法攻撃を仕掛けるつもりか!?

 でも俺だって、自信がないわけでもない。

 これでもかつでは廃ゲーマーだったんだ。

 スキルの能力さえ把握してしまえば、勝機だってあると思うんだよね。


 ふぅ……

 呼吸を整えて、こちらも魔法を迎え撃つ。


 ――ワールドフレーム、起動。


 感覚に任せてスキルを発動させると、全身から熱を感じる。

 それが爆発的に高まると、頭の中で何かが弾けた。

 

 ――フォームコンバート/

 エディション:スタンダードモード  

 

 次の瞬間――

 俺は攻撃的な衣装を纏い、右手には長剣を携えていた。

 その他にも全身、機械的なパーツが所々についており、武器とも融合している。

 見かけだけなら、かなり戦闘的なスタイルだろう。

 これがワールドフレームのさらなる能力か。

 まさか戦闘形態にもなれるスキルだったなんて。


「な、なんですかそれは。私のアナライズですら能力が見えないなんて」

「ふーん、プロネアでも見抜けないんだ」

「すごいです、クトリール様。とはいえ、この魔法で倒れたら不合格ですよ!」


 プロネアは手をかざし、氷の塊を放ってきた。

 それと同時に、こちらもスキルを重ねる。

 習得したばかりだけど、このくらいなら使いこなしてみせるさ。


 ――アナライズ/カリキュレート


 スキルを発動させると、空中に解析結果が表示された。  



 予測速度、171m/秒

 推定質量、8700グラム

 弾道予測――

 危険範囲予測――

 被弾時予測被害、即死。生存率0%――



 そ、即死って……

 プロネアちゃん!?

 この魔法、ちょっと危険すぎないですか。


 まあ、弾道が予測できているので当たらないですけど。


 俺は全力で走りながら魔法を躱すと、そのままプロネアへと駆け寄った。

 そして投げ飛ばそうとするが――


「クトリール様、私は体術も得意なんですよ。家庭学習というやつで」


 それって、ただアプリをインストールしてただけだろ。

 人工知能の学習能力は反則すぎる……


 ――ドンッ!


 考えているのも束の間、俺は地面に叩きつけられた。


「ふふっ。やっぱりまだまだ訓練は必要なようですね、クトリール様。でも、すごかったですよ。私もすこし焦りました。これならダンジョンに入っても大丈夫でしょう。卒業テストは合格です」


 なにはともあれ、訓練からは解放されたらしい。


「それではクトリール様、訓練は第二段階へ移行です。ギルドへ行きますよ」

「えっ、訓練は終わりなのでは……」

「はい。基礎は終わりですよ。次からはもう少し、実用的なことをしましょうね」


 今のって、ただ基礎をクリアしただけなのか。

 騙されたかも……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ