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思わず出た言葉

 縦長で異様な瞳孔でこちらを見る超巨大なドラゴンを前に俺の思考は恐怖で完全に停止した。


()()は、どこだ?』


 突然、頭の中に響いた深く渋い声音がドラゴンからのテレパスだと認識することも出来ず、俺はただ反射的に女神の居た方を向いてしまった。

 それを見たドラゴンはその目だけをギョロリと動かして視線をそちらに向ける。

 そこには、巨大生物落下の衝撃で倒れ込んだ女神が今、ふらつきながらも立ち上がろうとする姿があった。


『ククク……、

 世の秩序から外れた、哀れな女神よ。

 その身を供物として、我が血肉となれ』


 ドラゴンは、頭を持ち上げ首を後ろへと引きながら大気を吸い込むと、その口から女神めがけて豪炎を一気に吹き出した。


 ゴゴゴゴゴゴゴォォォォォウゥォーーーーー!!!!!


 それが女神に届く寸前、虹色六角形のバリアがそれを迎え撃つ。

 女神の最大防御魔法、"ATミルフィーユ”だ。

 バリアは、女神の前にぶ厚く展開して炎を完全にはじいた。しかし、ドラゴンの吐く豪炎は(とど)まるどころか、なお威力を増してゆく。


 ピシッ……、ピシピシッ、バキンッ!


 女神のはったATミルフィーユが、増大する炎の威力に耐え切れずにヒビが入ってゆく。


「まずい。このままだと女神がやられてしまう」


 俺は、恐怖を強引にねじ伏せて無理矢理その場で立ち上がった。


「ファイアーボール!!!」


 呪文を唱えてドラゴンの目をめがけてそれを投げる。

 しかし、俺の非力な魔法など巨大なドラゴンの顔にも届かなかった。

 だが、他の方法なんて何もない俺は必死になって何度もそれを繰り返す。


「ファイアーボール!!! ファイアーボール!!! ファイアーボール!!!」


 とその時、女神の防御魔法"ATミルフィーユ”がドラゴンブレスに耐え兼ねて半分に割れた。


 バリ――ンッ!!!


『バっ! バっカヤロ――――っ!!!!!』


 俺は、思わずドラゴンに怒鳴り叫んだ。


 ――――【告】――――


 特殊スキル《あんた、バカぁー?》を発動。

 対象の属性を"世界最強の生物”から"愚者”に書き換えました。



 目の前に見たことがあるような文字列が並んだが、俺はそんなものは知ったこっちゃなかった。


「その女神は、俺を初めて男だと認めてくれた神様なんだっ!!!

 砂漠の真ん中で、何度も命を救ってくれた神様なんだっ!!!

 ちょっと()()()()()()けど、俺の大切な大切なお嫁さんなんだよっ!!!

 手を出したらタダじゃおかねえっ!!!

 今すぐ自分の家に帰りやがれっ!!! ただデカいだけの爬虫類野郎がっ!!!」


 ――――【告】――――


 特殊スキル《愚者の大親分》を発動。

 範囲対象内の愚者に対して大親分の絶対命令を行使します。



 俺の目の前にこう文字が並んだ時、ドラゴンの豪炎がピタリと止んだ。


 そして、ドラゴンは叫び過ぎて息切れを起こす俺に驚愕の眼差しを向けたのだった。











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